6月10日から11日の2日間、東京国際フォーラムで開催された「ケーブル技術ショー2015」では、昨年から更に進んだケーブル市場の4K/8K放送への取り組みがアピールされていた。

日本CATV技術連盟と各種メーカーがタイアップした「New Challenge of CATVゾーン」では、より高い伝送効率の次世代ケーブル伝送路符号化方式「J.382」を使った4K放送受信の実演が行われた。J.382はITU-Tにおいて2014年1月に勧告化されたケーブル伝送方式で、現行のJ.83 Annex Cの変調方式が64/256QAMに対して1024/4096QAMまで対応できる。たとえば、1024QAMの1チャンネル(6MHz幅)で、64QAMの約70%増の最大50Mbpsの伝送が行えるようになる。さらに複数チャンネルを連結することで8Kといった大容量の伝送が可能だ。今回の実証実験では、12MHz幅で3本の4K番組を伝送する仕組みを行っている。

150612_SPA 150612_sample

広帯域衛星デジタル放送では、1つのトランスポンダに3本の4K番組(100Mbps)が伝送できる。CATV再送信側では4096QAMでそれらを受け、現行の2チャンネル分(12MHz)で、デジタルスライスした3本分の4K番組データを連結して伝送する

ブースでは3チャンネル分の伝送から受信までの一連を、各試作機を揃えてデモンストレーションを行っていた。ソニーが開発しているJ.382対応チューナーと、HEVCデコーダーを搭載した4KUHD TV試作機で受信し再生する実演は世界でも初めてのこと。

150612_denso

伝送側。NEC製エンコーダーおよび各種の変調器を通り束ねて光伝送

150612_demo_receiver 150612_4K_CH1

1つの4Kチャンネルは、ソニー試作機J.382チューナーで受けて、NEC製のHEVCデコーダを介して4K UHD TVに再生

150612_sony

ソニー社が開発を進めているJ.382チューナー。この基盤を介して1チャンネル4Kのコンスタレーション表示を行った

(山下香欧)