池上通信機は、9月にNHKへ8K SHV対応中継車を納車したことを発表した。8K SHVの番組制作ができる本中継車は、全長約12mで全幅2.5m、全高3.3mのハイデッカーサイズ。運用時には1m拡幅する。グローバルでの運用も配慮した「オリンピック等の世界的なスポーツイベントでの運用が可能な仕様」となっている。

NHKは海外の国際スポーツ競技の場で8K収録およびライブプロダクションの実験を積み重ねている。今回の8K中継車は、その際に現場に置かれた8Kプロダクショントレーラーの参考に、2K/4Kからのアップコンバートではなく、8K対応の機材を配置できる拡張性を備えている。NHKは来年2016年での8K中継試験を、2月にNFLサンフランシスコ49ersのリーバイス・スタジアムで開かれるスーパーボウル50とリオ五輪で実施する予定。

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本中継車は、池上通信機社製の8K対応カメラなど最大10台までの8Kカメラが搭載可能で、車内のライブプロダクションシステムは、16入力4出力の1M/Eスイッチャー(NEC社製)、8Kまでの各ルーター、VE用4K対応マルチビューワー(朋栄社製)、SSDスロー再生機(アストロデザイン社製)、8K録再機(パナソニック社製)、8Kテロップ装置(日興通信社製)などで構築されている。なお、8K中継車用の波長多重光伝送装置(CWDM)は平河ヒューテック社製。

池上通信機はNHK向けの中継車システム構築で多くの実績を持ち、これまでにNHKを含め800台以上の中継車を納入したという。またNHKと共同で8K SHV対応のシステムカメラを開発しており、今年3月には第4世代目の8K-SHVカメラとして、初代カメラと比べ約1/10の小型・軽量化した、初のハンドヘルド型の8K-SHVシステムカメラ「SHK-810」を発表、7月には米MLBのヤンキーズ対マリナーズ戦での8K中継試験にて採用された。

(山下香欧)