NASAは4Kの新天地を宇宙に向け、NASA TV UHDを開局した。非商用としては米国初。現在、衛星からケーブル、IPTVといった有料テレビ事業者とチャンネルの提供について進めているという。映像は4K(3840×2160)の60fpsで、HEVC方式で圧縮している。ストリームのビットレートは13Mbpsということもあり、米国での一般家庭にある高速ブロードバンド網では、このままのビットレートではスムーズな視聴は厳しい。

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エンドツーエンドのUHD映像配信システムは、米ハーモニック社がマーシャル宇宙飛行センター(アラバマ州)とスペース法協定の下で提携して構築し、NASAと一緒に運用している。SES AMC-18C衛星からの伝送で、ハーモニック社の映像コーデックシステム、メディアサーバ、送出サーバやヘッドエンドを採用している。

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NASA TV UHDにはNASAの宇宙番組シリーズ8つが揃う。その中の“ISS Life”では、国際宇宙ステーションでの生活を一人の視点で伝えるシリーズとなっている。“Deep Space”はハッブル望遠鏡などが捉えた宇宙のUHD静止画をアニメーション化したもの

NASAでは6月より、YouTubeの公式チャンネルでISS内から撮影して編集した4K60p映像の公開を始めているように、過去数ヶ月間でISSから4Kカメラで撮影した映像のほか、過去の貯蔵映像をリマスタリングして提供するとしている。

ISSからは、キヤノンEOS C500に加え、スペースXのDragonロケットで飛び立ったRED DRAGONなどを使って撮影をしている。加えて2015年12月6日(現地時間)には、Atlas Vロケット(ミッションOA-4)に載せられた新たなRED DRAGON一式がISSへ向かっている。ISSへの到着は12月9日(日本時間)の予定。 このAtlas Vロケットの打ち上げの模様もREDカメラで収録しており、今後NASA UHD TV用のドキュメンタリー番組として、HDR10およびHybrid Log-Gamma(ハイブリッドログガンマ・HLG)に対応できる4K HDR形式で編集されるという。

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NASAのFacebookより引用
日本時間12月9日の18時45分頃からNASA TVで実況中継が入る予定

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RED Digital Cinema Camera Company代表・Jarred Land氏のfacebookより引用
Atlas Vロケットに積荷されるREDカメラ一式

NASA UHDトレーラー

(山下香欧)