Blackmagic Designの発表によると、数々の受賞歴を持つスタンダップコメディアン、ケヴィン・ハートのワールドツアー「Wnat Now」における英国でのライブコンテンツ配信に、Blackmagic Studio Camera 4KおよびATEM 1 M/E Production Studio 4Kが使用されたという。同ツアーは、ロンドンのO2およびウェンブリー・アリーナなど、大規模な会場で開催されている。

「What Now」では、映像がツアーの全体的な美的構成に大きな役割を果たすだけでなく、ケヴィンのパフォーマンスや観客との相互作用にも影響を与えるため、Blackmagid Design製品がライブプロダクション・ワークフローにおいて重要な役割を担ったという。LEDスクリーン、IMAGプロジェクター、PPU(周辺処理装置)、そしてスタッフを含むこのワークフローを手がけたのは、SXS Events。その創始者であるジョニー・パルマー氏は次のようにコメントしている。

パルマー氏:私たちが採用したBlackmagic Design製品は、ライブプロダクション・セットアップのターンキーとして機能し、放送局クラスの画質を得られたのです。私たちに与えられた準備期間は非常に短かかったのですが、優れた映像をデリバーでき、なおかつクライアントにとって価値が高く、堅牢で信頼性の高いシステムを構築する必要がありました。高画質かつ低レイテンシのBlackmagic Designのライブプロダクション・インフラは、このニーズを完璧に満たしてくれると私たちは確信していたのです。

3台のBlackmagic Studio Camera 4Kが舞台上のケヴィンのパフォーマンスを追う。2台はピットに、3台目はテレフォト望遠ズームと組み合わせて舞台前部に設置された。

160201_black-magic-stuydio-camera-with-EF-lens-FOH

パルマー氏:O2など、会場によってはステージから50m離れたところで撮影することもありました。そのため、望遠ズームで確実にクリーンで鮮明なイメージが得られるヘッドルームが必要だったのです。

今回のツアーをクリエイティブに演出するのに、Blackmagic Studio Camera 4Kのタリーとトークバック機能は不可欠でした。タリーシステムは、一般的にライブパフォーマンスの舞台ではほとんど使用されないのですが、ケヴィンとカメラとの関係はライブのステージというよりは映画のセットでのそれに近いため、彼はこのタリーシステムを非常に気に入っていました。

ライブのIMAGミックスはATEM 1 M/E Production Studio 4Kでスイッチングされ、作成されたライブプログラムは3台のIMAGスクリーンへと送信された。2台のスクリーンはステージ両サイドに、そして3台目はステージ上部に設置された。2台目のATEMスイッチャーは、ステージの背景として使用されているLEDスクリーンへのフィードを担当し、ツアープロモーターのメディアサーバーからのコンテンツを送信した。

パルマー氏:ツアーインフラの一環として2台のATEMプロダクションスイッチャーを所持することは、すべての日程が完全な冗長性でカバーされていることを意味します。これは今まで予算の関係で実現できなかったことです。

各カメラはそれぞれ担当のオペレーターが操作しているが、チームとしてATEM Camera Controlソフトウェアを使用し、3台のカメラのホワイトバランス、ガンマ、露出を調整しているとパルマー氏は言う。映像は完全に光ファイバー経由で配信され、照明、オーディオ、コミュニケーション信号もまた同様に配信された。

160201_Johnny-Palmer,-Founder-and-CEO-of-SXS-2

SXS Eventsの創始者、ジョニー・パルマー氏

パルマー氏:私たちは照明条件が刻々と変化する環境で作業しています。つまり、これらの変化に対応するだけでなく、すべてのライブフィード間で一貫性を保つことで、最終的なイメージを完全にコントロールできるのです。

以前は膨大な量の機材キットを扱っていたのですが、Blackmagic Designのインフラの優れた接続性により、光ファイバーケーブル束を直径1インチ以下まで格段に効率化することができました。40人のスタッフとトラック3台分の機材を抱えているため、これは私たちのワークフローにとって非常に大きなメリットですね。