日本電信電話株式会社(NTT)は、専用LSIで8K/HEVC並列分散符号化処理を行うシステムを開発した。同社が昨年3月に発表したH.265/HEVCに対応した4K/60p映像対応HEVCリアルタイムエンコーダーLSI「NARA」を4チップ連動動作させ、チップ間で相互データ転送を行うことにより、8K/60p映像をリアルタイムにHEVC符号化処理を実行できる。ビットレートは最大約85Mbps。

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4K/60p映像対応HEVCリアルタイムエンコーダーLSI「NARA」

8K(7680×4320)を4つの画像に分割し、NARAで並列エンコード処理を行う。従来の映像処理は映像の動きに追従して符号化した映像との差分をとって情報量の削減を図るが、本技術では4チップ間で参照画像を相互に転送し、分割境界を跨ぐ動きに対応したエンコード処理を行うことで、高符号化効率を実現する。更にチップ間のデータ転送の間で、分割境界を跨ぐ平滑化フィルタ処理、分割画像間の画質を均一化する符号量制御処理を行うことで高画質も保つ。

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4基のNARAと周辺回路を1枚の基板に搭載でき、この基盤ボードと入力映像信号のインターフェースボード等を搭載した5RUの小型なエンコーダーシステムを構築できる。

NTTでは今後、本8Kエンコーダーを用いて、パブリックビューイング、ODS等の超高精細8K映像配信サービスや、医療用途での実証実験を進めていく予定。また来る2月18日~19日に開催する「NTT R&Dフォーラム2016」にて、本8Kエンコーダーを一般初公開する。

(山下香欧)