Blackmagic Designの発表によると、パリに拠点を置き、フィルムのリマスタリングを専門に行うKinografikが、Ultra HD 4Kでのマスタリングのワークフローの一環としてBlackmagic Cintel Film Scannerを導入しているという。また、Kinografikはビデオマスタリングのワークフローの一部としてDaVinci Resolveのカラーグレーディングも導入した。

Kinografikの創設者アルノー・ガリニエレ氏は、80~90年代に撮影されたフィルムの修復、および現在もフィルム撮影を行っている映画制作者のためのデジタルスキャンの作成/加工に、これらの機器を専用に使っているという。この時期に撮影されたインディーズのフィクションとドキュメンタリーフィルムに重点を置くことに決めた理由は、修復作業が複雑ではないからだとアルノー氏は説明する。

アルノー氏:近年に撮影されたフィルムは概して状態が良いので、それらのリマスタリングを行っています。それから高品質のマスターを作成し、それをコンテンツのオーナーが配給会社を通して、またはインターネット上で4KのDCPフォーマットで提供することになります。

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Kinografikが過去に取り扱ったフィルムには、ラウル・ルイス氏の1987年の劇場映画「Brise-glace」があり、これはCinémathèque Chilienneのためにリマスターされた。また、フランス人監督のピエール・アルト氏がショートフィルムを4本と劇場映画1本を、個人的な16mmと35mmアーカイブの一環としてデジタル化した。デジタルマスタリング処理により、フィルムはスタビライズされ、また傷やダストが目立たないようになり、その後グレーディングやリフレーム、レタッチが行われるとガリニエレ氏は語る。

アルノー氏:Cintel Film Scannerはグレイン除去機能に優れており、Image Mill機能を使ったスタビライゼーションは機械的にも、デジタルでも極めて高性能ですね。スキャナーのオプティクスがどんなに小さな欠陥でも検知した場合、DaVinci Resolveのノイズ除去ツールやグラフィックのパレットを使い、残りのダストを除去しています。

Cintel Film ScannerはRGB LEDを使っているので、白熱電球を使っている従来のスキャナーで起こりがちな熱や色あせの原因となる要素にフィルムが晒されません。また、かさばらなく、インストールも簡単だという点も気に入っています。Thunderboltなどのスキャナーのプラグアンドプレイ技術により、Cintelは極めて使いやすくなっています。

しかし、KinografikがCintel導入を決めた最大の要因は、フィルムの状態によってスキャン速度を変えられることだったという。Cintelは1秒間に最大30フレームをスキャンが可能だ。

アルノー氏:Blackmagicのフィルムスキャナーは、16mmと35mmリールの両方を簡単に扱えます。他のスキャナーでは、オプティカルブロック全体を取り替える必要がありますが、Cintelではスキャンのウィンドウを手早く調整でき、すぐに使えます。