アドビ システムズは、VRコンテンツ制作の機能強化や保護機能の付加など、VRコンテンツに関する機能を始め、FacebookなどのSNSや動画共有サイトなどへの機能強化、HDRカラースペースメタデータへの対応、3Dレンダリングエンジンの効率化、クラウドを用いた共同作業の利便性向上など、コンテンツ制作で求められるさまざまな新機能を搭載したAdobe Creative CloudとAdobe Marketing Cloudを出展した。

同社は今年もIntelと共同で出展しているが、IntelのCPUというわけではなく、両社のイメージアップを目的としているようである。ブースは、Adobe Creative CloudとAdobe Marketing Cloudの新機能を解説するイベントスペースを中心に、Adobe StockやAdobe Creative Cloud、Adobe After Effects CCに同梱されているMaxon Cinema 4D、マウスコンピューター動作確認モデルなどを出展。機能強化点はHDRカラースペースメタデータへの対応。Adobe Premiere Pro CCのLumetriカラーツールに新しいHDR対応テレビやディスプレイ向けのタイトル毎に規定されるメタデータに対応したほか、ビデオの出力先として、YouTubeやFacebook、Twitter、Behanceにも対応する。

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マウスコンピューターのMousePro Adobe CS動作確認モデルやクリエイター向けのDAIVシリーズ

複数ツール間でのプロジェクトの同時共同作業も可能となり、コラボレーション機能Team Projectsが強化された。Adobe Premiere Pro CC、After Effects CC、Adobe Prelude CC内で、同時に共同作業ができるコラボレーション機能を統合することで、Team Projectsで用いられるデータはクラウドに保管され、共同作業者間で参照されるメディアファイルには、ローカルに保存されるソースファイルまたは共有されるプロキシが利用可能となった。

VRコンテンツ制作機能関連では、VR用に撮影した映像を通常のPC用ディスプレイで使用するAdobe Premire Pro CCの編集画面上に表示し、360°パンする機能や立体視VR用コンテンツのための機能、YouTubeやFacebookなどのVR用Webサイトへの映像データ出力機能などがあったが、入力したプロジェクトを自動でVR映像として認識し、立体視か平面視で正しく表示されるVR自動識別機能を追加。さらにVRビデオの再生やVR対応の広告表示機能、アドビが提供するVR専用のコンテンツ保護機能Virtual Reality Digital Rights Management(VRDRM)が付加されている。

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VR撮影カメラシステム。16台のHERO4カメラを1台のリグにまとめたOdysseyとiZugarのVRカメラ

3Dレンダリングエンジンを強化により、Adobe After Effects CCにバンドルされやいるCINEMA 4D Liteにおける、テキストレイヤーやシェイプレイヤーなどの編集可能な3D要素をAfter Effects CC内から直感的に生成することが可能になったほか、ライブモーションキャプチャーツールであるCharacter Animatorを使ったパペット作成とアニメーション化の使いやすさが向上した。

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Adobe After Effects CCにバンドルされているCINEMA 4D Liteはテキストレイヤーやシェイプレイヤーなどの編集可能な3D要素をAfter Effects CC内から直感的に生成可能

また、Adobe Photoshop CCとAdobe Illustrator CC間の統合ラウンドトリップ機能により、処理の高速化を実現。After Effectsのビデオプレビューでのリアルタイム再生時、事前のキャッシュが必要なくなり、未編集の映像をリアルタイムで再生できるようになったほか、GPU高速処理によって、コンポジションのレンダリングがさらに高速化した。