Blackmagic Designの発表によると、世界最大規模のエレクトロニック・クラブミュージックのイベント「BigCityBeats World Club Dome」のライブビデオプロダクションが、ATEM 2 M/E Production Studio 4K、Smart Videohubルーター、さらに複数のTeranex AVスタンダード/フレームレートコンバーターを使用したカスタムメイドのマルチカム・ライブプロダクションPPUソリューションで配信を行ったという。

3日間に渡って開催される同イベントは、フランクフルトのヴァルトシュタディオン・アリーナがナイトクラブへと変貌する。70万平方メートルにおよぶ野外エリアに20以上のステージが造設され、世界各国のDJやVJアーティストが、花火やビデオディスプレイを背景にパフォーマンスを繰り広げる。

過去5年間、イベントプロデューサーのBigCityBeatsは、ライブプロダクションを専門とするVPS Mediaにスタジアムの大型スクリーンへのライブビデオ送信や、プロデューサーおよびアーティストたちのWebサイト、ソーシャル・メディアチャンネルへのライブ配信を依頼してきた。VPS Mediaのビョルン・アスモス氏は次のようにコメントしている。

アスモス氏:イベント中、あらゆる端末製品に同等の高品質ビデオプログラムを配信することに重点を置いています。そうすることで、視聴者は家にいてもアリーナにいるのと同じ体験ができるのです。これを実現するため、私たちは9台のカメラと強固なライブプロダクション・デスクを使用して、膨大な量のビデオ入力、グラフィック、次戦収録したDJ/VJのコメントなどを扱っています。これでライブビデオ監督が没入型の体験を作り上げることを可能にしています。

アスモス氏によると、2017年のVPS Mediaのライブプロダクション・ワークフローの要となったのは、Blackmagic Design製品を組み込んだカスタムメイドのデュアルラックPPUであるという。

アスモス氏:イベントスケジュールは変化に富んでいるため、このシステムは可能な限りコンパクトで多機能である必要がありました。このソリューションを構築した際、タイムコード同期と超低遅延であることが絶対条件でした。ATEM 2 M/E Production Studio 4KとHyperDeck Studio Proレコーダーのコンビネーションにより、ライブビデオ配信で求められる低遅延と各カメラフィードの同期収録が可能となり、ポスプロで確実にシームレスな編集ができるようになりました。

VPS Mediaのセットアップで必要不可欠だったのがTeranex AVだった。

アスモス氏:中央コントロールラックに4台設置し、World Club Domeでは4系統のAuxパスをルーティングしてフォーマットの面で可能な限り優れた柔軟性を実現しました。信号フォーマットに関しては、LEDウォール、スタジアムのテレビチャンネル、そして各VJのすべてで必須要件が異なりますが、Teranex AVは驚くほど低遅延で素晴らしい仕事をしてくれました。LEDウォールでは1,000分の1秒の違いでもすぐに視聴者に分かってしまうので、遅延は私たちにとって非常に重要なポイントだったのです。

VPS Mediaはイベントで収録したコンテンツを使用して、ショー終了後の映像や、BigCityBeatsの将来的なイベント用の宣伝素材を作成した。

アスモス氏:Blackmagic Design製品を私たちの最新のPPUに組み込んだことで、自信を持って信頼性と耐久性に優れたプロダクション・ハブを使用できるようになりました。また、プロダクションを際立たせるためにエレメントを追加するなど、自由に創造性を発揮することもできます。今年のWorld Club Domeのハイライトは、スロモーションのループをLEDスクリーンとLEDキューブでライブ再生したことです。これには、オーディエンスだけでなくDJたちも驚いていました。