ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下:ディズニー)が現地時間8月8日に、BAMTechの株式75%分を購入し、ディズニーとESPNストリーミングサービスの両方を開始する予定であることを明らかにした。

BAMTechは、MLB Advanced Mediaが2015年に設立したストリーミング技術とサービスを持つ企業。同社の主要な顧客はNHL、HBO(HBO NOWサービス)、PGA Tour、Riot Games、WatchESPNや WWE Networkである。

ディズニーは昨年にBAMTechの株式33%分を10億ドルで取得していた。そして今回、さらに42%を買収するために15億8000万ドルを支払う。これには、当初からディズニーの投資計画にあったESPNのOTTサービスの権利取得が背景にある。

ディズニーは、BAMTechのインフラストラクチャを使用して、2018年初めには、MLB、NHLやMLS コンテンツを配信するESPNストリーミングサービスを、そして2019年初めにエンターテインメントコンテンツ専用のサブスクリプションサービス(SVOD)を開始するという。後者のサービスでは、ディズニーとピクサーの映画ライブラリ、ディズニーチャンネル、ディズニージュニア、ディズニーXDの番組コンテンツを独占的に提供していく。更にディズニーのCEO、ボブ・イガー氏によると、「スター・ウォーズとマーベル映画のアウトプット契約も影響する可能性」がある。

この発表により、大きな影響を受けたのはNetflixだ。Netflixは昨年、ディズニーと2018年までの有料テレビ独占権を取得している。この権利取得により、Netflixはモアナやローグワンといった最新映画コンテンツの市場先行配信を展開できた。しかしディズニーの発表により、2019年度からディズニーのコンテンツを利用できなくなる。

ディズニーの発表当時のNetflixの株式は時間外取引で3%を下回った。以来、Netflixの株式は約5%減少している

巨大コンテンツプロバイダの今回の動きにより、Netflixは転機を強いられたことになる。 ロイター通信によれば、Netflixはディズニーと2019年以降のマーベルとルーカスフィルムのフランチャイズの権利の取得について、積極的に話し合いを持っているという。 また「キングスマン」と「キックアス」といった映画作品の出版社であるMillarworldを買収し、映画、番組シリーズ、キッズショーの企画を計画、さらにABCの「グレイス・アナトミー」や「スキャンダル」といった人気テレビ番組を生み出した脚本家およびプロデューサーのShonda Rhimes氏と複数年契約を交わしている。

 

(ザッカメッカ)