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[InterBEE2017]クラウディアンブース:オブジェクトストレージを展示。4K/8K映像時代のアクティブアーカイブを紹介

2017-11-27 掲載

クラウディアンブース 360°全天球動画
RICOH THETA Vで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)

クラウディアンブースレポート

大手クラウドサービスのクラウドの技術をパッケージソフトとして製品化した「HYPERSTORE」で話題のクラウディアンが、今年のInterBEEに初出展した。HYPERSTOREは国内ではNTTグループや、石川コンピュータセンターなど、大手クラウドサービスやデータセンターでの採用が相次いでいる。海外でも着実に実績を積み上げてきており、今年のNABでは40年続く米国コメディ番組のアクティブアーカイブ事例を紹介して高い評判を得た。

放送業界は今後、4K/8K放送によってデータ量は一気に膨らみ、これまで以上にアーカイブの手間やコストの増大の問題に直面すると予想される。その問題の解決策として映像業界でも、アマゾンやグーグルが活用しているクラウド技術をアーカイブに活用という動きも始まっている。

オブジェクトストレージで今話題のクラウディアンとはいったいどのような会社で、どのような製品をリリースしているのか?InterBEEの会場で取締役 COOの本橋信也氏に話を伺った。

過去40年間のアーカイブを全てデジタル化して、瞬時に呼び出せる仕組みを実現

クラウディアンの取締役COO 本橋信也氏
――クラウディアンとはどのような会社なのでしょうか?

本橋信也氏(以下、本橋氏):クラウディアンは日本で生まれたベンチャー企業です。今はシリコンバレーに本社を移し、欧米で手広くビジネスを行っています。

クラウディアンは社名だけを見るとクラウドのサービス会社と勘違いされることがよくあります。実際はソフトウェア開発会社で、「CLOUDIAN HYPERSTORE」と呼ぶソフトウェアとアプライアンス製品をラインナップしています。これらの製品はサービスプロバイダーやセンター事業者の中で使われたり、アマゾンやグーグルが活用しているクラウドの技術を使うストレージ製品として、企業のITインフラに採用されています。

――初出展となる今年のInterBEEではどの辺りをアピールしていますか?

本橋氏:今年NABにクラウディアンの米国オフィスが出展しました。クラウディアン主催の特別イベントとして米国で40年以上続いている長寿深夜番組「サタデー・ナイト・ライブ」でポストプロダクションスーパーバイザーとして活躍しているMatt Yonks氏が「次世代アクティブアーカイブ」をテーマに講演を行いました。

同番組では過去40年にもおよぶアーカイブをデジタル化し、HYPERSTOREに移行しました。現在、テープストレージがメディアアセットをアーカイブするのに推奨されていますが、なぜテープストレージから離れる必要があるのかを「サタデー・ナイト・ライブ」の例で紹介しました。その事例をNABで紹介したところ、たいへんな反響を頂きました。同じように、国内でもテープでアーカイブをしていたものをアクティブなアーカイブにする需要は確実にあると考えています。

HYPERSTOREは汎用的なサーバをハードウェアとして使い、特別な装置を必要としないのも特徴
――オブジェクトストレージは各社から発売されていますが、その中で御社のストレージを同テレビ放送局が選んだ理由は何でしょうか?

本橋氏:Matt氏には、完全にオープンなシステムに作り変えたいという目的がありました。Amazon Web Service(AWS)には「Amazon S3」というクラウドのオブジェクトストレージのサービスがあります。そのインターフェースを私たちはS3 APIと呼んでいます。それがある意味、クラウドの事実上の標準となっています。今や映像のアプリケーションやいろいろなサービスのアプリケーションもS3 APIに対応するような形で開発されています。

HYPERSTOREは、クラウドの事実上の標準ともいえるS3 API完全準拠を目指し、ネイティブで開発されているので、S3 APIに対応していればどんな製品からでも使えます。例えば、「サタデー・ナイト・ライブ」の現場では今まで使っていたクローズドなアプリケーションのMAMではなく、S3 APIに対応しているMAMを使い始めました。日本ではあまり見かけませんが、「Evolphin」というS3 APIに対応しているオープンなアプリケーションです。バックアップ製品なども、すべてオープンなS3 APIに対応する製品を使うことによって垂直統合型システムやソリューションへの依存性をなくしたそうです。

Matt氏は利用環境の拡張性も課題に挙げました。その点、HYPERSTOREはスモールスタートができます。例えば、他社のオブジェクトストレージは数百テラバイトからの利用を前提としていますが、弊社のHYPERSTOREは最低台数3台からスタート可能で、10TBぐらいからでも始めることができます。また、データが増えたらノードと呼ばれるハードウェアを追加することで、数百ペタバイト級のようなスケールまで拡大可能です。こうしたメリットは競合製品と圧倒的に違うところです。

今後、映像とAIを組み合わせた動向に注目

――テープデータをアクティブアーカイブに移行することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?

本橋氏:その答えとして、なぜ「サタデー・ナイト・ライブ」が弊社の製品に移らなければいけなかったのか?という面白い話があります。いまはアメリカ大統領のドナルド・トランプ氏のおかげという内輪話ですが、「サタデー・ナイト・ライブ」のアーカイブからトランプさんが映っているカットを探す必要がありました。その際に、過去の映像を探すのにたいへん苦労したので、オンライン化して検索できるようにするプロジェクトが始まったとのことです。

しかし、検索に対応させるためには映っている人のタグ付けは人の手で入力しなければなりません。そこで、AIで対応しようという提案が、今回の展示の目的でもあります。映像はどんどんと大容量になりますので、それを人間が見て、手でタグ付けを入力していくのは容易な作業ではありません。AIで自動認識させれば、車の映像であればレクサス、プリウス、誰が映っているか?何人映っているか?というのをすべて自動でタグ付けすることができます。それにより、大量のアーカイブがあったとしても簡単に検索できるようになります。

「サタデー・ナイト・ライブ」の場合はタグ付けがしっかりしていたので、AIを使わなくても済んでいます。ただ、今後世の中はAIを使う方向にシフトしていくでしょう。テープのままではオンラインの検索ができません。ディスクに移してオンライン化して、AIによる検索を同時に行っていく動きが今後普及していくはずです。

――すでにAIを使った活用事例はありますか?

本橋氏:今回の展示の目玉は「サタデー・ナイト・ライブ」の事例ですが、昨年行った「車種判別リアルタイムターゲティング広告AIシステム」というプロジェクトもブースに展示しています。首都高を走る車をネットワークカメラで撮影し、AIを使って車の種類をリアルタイムで見分けることができるシステムです。六本木ヒルズのすぐそばにデジタルサイネージがありますが、通る車の種類に合わせた広告を流すという実験を行いました。

AIにより約300車種を見分けます。その車に合わせて広告を流しました。クラウディアンはAIの会社ではありません。どうしてこのようなデモを行ったかというと、これからは定点カメラのような映像がどんどんとインターネット経由で流れてきて、このような膨大な映像を貯める技術というのは弊社のような製品を使わないと、技術的にも経済的にも難しいとアピールしたかったのです。

さらに貯めた膨大なデータをAIを使うことによって、メタデータ化し、整理することができます。検索もできますし、通行量を出すこともできます。そういった応用の仕方ができることを展示しています。定点的な映像を扱う業種の人達にとって、このような組み合わせが次第に普通になるとご紹介しています。

ブースのデモの映像より。通行中の車を撮影し、AIにより車種を判別

また、ネットワークカメラの大手メーカーのAxisのカメラも展示しています。カメラ自体がLinuxを搭載するサーバでありますが、基本的にはLANに接続して使用する仕組みのカメラです。弊社はAxisのカメラにS3 APIを追加開発しまして、直接HYPERSTOREにデータを送ることができるようにしました。よって、このカメラを設置するだけで、弊社のHYPERSTOREにインターネット経由でデータを保存することが可能になります。

Axisのネットワークカメラを展示。S3 APIを追加開発し撮った映像を直接HYPERSTOREに記録ができるという

さらに、無線通信機能付きの小型ディープラーニング装置の「AI BOX」も開発しました。中にNVIDIAのGPUを搭載しており、カメラで撮った映像をクラウドのサーバではなくAI BOXの中で判断することができます。AI BOX一個とカメラで処理した結果をLTE、Wi-Fiで飛ばすことが可能です。カメラを設置して統計データだけや映像を取り出して送ることもできます。そんな時代が到来するのではという内容を展示しています。

NVIDIAのGPUを搭載した無線通信機能付きの小型ディープラーニング装置「AI BOX」
――最後に、現状の放送業界の映像資産管理をどのように思われますか?

本橋氏:「サタデー・ナイト・ライブ」のアーカイブのデータ量は2.5ペタバイトもの容量になります。2.5ペタバイトとなると基本的に従来のストレージであればかなり高額な投資になってしまいます。さらにこれから4K/8K移行となると、ますます対応できなくなります。

弊社の製品であれば、基本的には無制限に容量を広げられ、クラウドストレージ並みの低コストで運用できます。だから今までのテープ資産や4K/8Kなどをきちんと保存して、さらに検索できるようにするとしたら弊社の技術は役に立つはずです。誤解して欲しくないのですが、テープがダメだとお話ししているのではありません。AIとか画像認識といった新しい技術はテープのままでは使えません。

いずれにしてもオンラインにしないと便利に使えません。世の中は次第にIoTやAI、ビックデータなどの方向に動いていくと思います。この大きな流れは誰かが止めてはいけないし、止められないとも思っています。


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[ DATE : 2017-11-27 ]
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