Blackmagic Designの発表によると、監督、エディター、カラリスト、ポストプロダクション責任者のアレックス・フェラーリ氏がストリーミングシリーズ「The S.P.A.A.C.E. Program」の撮影にBlackmagic URSA Mini Proデジタルフィルムカメラ、編集にDaVinci Resolve Studioを使用しているという。

「The Scientific Pop And Also Cultural Explorations Program」の略称である「The S.P.A.A.C.E. Program」は、NerdistおよびLegendary Digital NetworksによりAlphaストリーミングサービスを介して配信されている。全8話からなる同シリーズでは、タトゥイーン、クリプトン、アラキス、ウェスタロスなどを始めとする、様々な架空の惑星や世界を訪れ、ポップカルチャーを科学の目を通して検証する。番組のホストであるカイル・ヒルとロボットアシスタントのAIが毎回、様々なポップカルチャーの舞台となった虚構の地を訪れ、太陽が2つ存在する惑星での生活やホワイト・ウォーカーの特性など、あらゆる謎や疑問を科学的に掘り下げて紹介する。

フェラーリ氏が率いるスタッフにより、同シリーズは2台のURSA Mini Proで撮影された。

フェラーリ氏:全8話を4日間で撮影する必要があったので、非常にハイペースな撮影となりました。URSA Mini Proでの撮影を選んだ理由は、その信頼性の高さと速度です。また、求めていたシネマライクなルックが得られるのも大きな理由です。箱から取り出したら、手のかかる作業をする必要なく、すぐに使用できます。メニューとOSは直感的で使いやすく、撮影中に無駄な時間を費やす必要はなく、側面にタイムコードがあるのも非常に便利でした。信頼性も他のカメラでは必ずしも得られるものではないので、重要な局面で頼ることができたのは本当に良かったです。

フェラーリ氏:撮影は全て宇宙船のセットで行いました。船内には、操縦席、通路、作戦司令室などを作りました。窓は全てグリーンバックで、宇宙空間と架空の世界はポストプロダクションで作成しました。キーをきれいに抜く必要があったのですが、カメラのセンサーが優れているので作業が簡単に行えました。撮影はすべて4.6K ProResで行ったので、ポスプロで広いラティチュードが得られました。

DaVinci Resolve StudioがオンセットでのDIT、およびフェラーリ氏による最終的な編集、グレーディング、フィニッシングに使用された。

フェラーリ氏:セットでDaVinci Resolve Studioを使用することで、リアルタイムで同期や管理などが全て行えました。撮影終了後に全てを書き出したのですが、非常に簡単に行え、すぐに編集に着手できました。全てをひとつのシステム環境で行えたので、プロキシファイルにトランスコードする必要なく、全エピソードをネイティブの4.6K ProResで直接編集できました。全てを一貫してDaVinci Resolve Studioで行ったことで、ラウンドトリップに時間を費やすことなく済んだため、多くの時間を節約できました。

フェラーリ氏:さらに、編集とカラーが個別の機能としてではなく、互いに結び付いているため、今までより一歩進んだ作業が行えました。ショットの選定や編集中に、エディットページからカラーページに移動し、白飛びや黒つぶれしているショットを使えるものにできるか確認できます。リアルタイムでショットの明暗を調整できるため、ショットの選別の幅を広げることができ、クリエイティブな作業を行う上で本当に有益な役割を果たしてくれています。DaVinci Resolve Studioでは、カラーの調整を行うことでショットを使用できるものに変えられるという確信を持って、編集における決断を下すことができます。ポスプロの何らかの処理でショットが使えるものにできるかもしれないという確証のない期待に頼ったり、優れたテイクにも関わらず最初に見た時点では使い物にならないと判断されたために編集に使わないというようなことをせずに済みます。

フェラーリ氏は、カイル・ヒルとAIが訪れる惑星や世界から得たインスピレーションを基にグレーディングを行ったという。

フェラーリ氏:シリーズ全体を通じて一貫したものにしたかったのですが、同時に、訪れる先ごとに異なる独自のルックを持たせたかったんです。例えば、LV-426を訪れるエピソードでは冷たく彩度を下げたルックにしました。ボーグの回では、緑がかったトーンを使い、ドラゴンボールZの界王星の回では、強い暖色を使用しました。このシリーズで訪れた全ての場所はすでに、それぞれ異なるルックと深く結びついていたので、それを活かした形でグレーディングしました。