Blackmagic Designの発表によると、クリント・バーン撮影監督がPostmodern Jukeboxの演奏による「Don’t Stop Believin’」のミュージックビデオの撮影にBlackmagic URSA Mini ProデジタルカメラおよびVideo Assist 4Kモニター/レコーダーを使用したという。バーン氏は、邸宅で繰り広げられるパーティーの様子を描くミュージックビデオ全体をワンショットで撮影した。

スコット・ブラッドリー氏が立ち上げたPostmodern Jukeboxは入れ代わり式のグループで、ポップ・ミュージックをタイムマシンに乗せ、現代や過去のヒット曲を20世紀前半のスタイルにアレンジした楽曲で知られている。ニューヨークのピアニストであるブラッドリー氏により結成された同バンドは、これまでに70以上の異なるアーティストを招いて活動を行なっており、5大陸でのツアー実績がある。

同ミュージックビデオのコンセプトは、ブラッドリー氏とディレクターのエイブラハム・ルーフェ氏が作り上げた。

ルーフェ氏:Postmodern Jukeboxは、バンドが1ヶ所でワンテイクのライブレコーディングをすることで知られています。そのワンテイクのアイデアに少し違うひねりを加えて、動きを加えることにしました。

この作品の中で「Don’t Stop Believin’」の苦境の中でも望みを捨てない姿勢を表現しました。ビデオの舞台は豪華なパーティーの出席者と、そこで働く人たちの2つの対照的な世界を描いています。曲の冒頭ではバンドに焦点を当てているので、一見通常のビデオのように見えます。しかし、接客係が歌いながら横切り、そこから物語は大きく展開し、邸宅の中をクネクネと動き回り、ストーリーを追っていきます。

パーティー会場である豪邸の多数の部屋と庭を舞台としていたため、バンドとスタッフ両方に対して事前に入念な演出と計画を行う必要があったという。

ルーフェ氏:様々なアクションが展開する中でワンテイクでの撮影だったため、その場に居合わせる人たち全員の動きを事前に綿密に計画する必要がありました。これにより、家の中での移行や転換がスムーズに行えました。これは人物だけでなく、ドアの開閉、小道具の移動、影にならないように照明のオン/オフの切り替えなど、本当に細部に渡って計画されたので、撮影が滞ることなく安全に行えました。

バーン氏:撮影にURSA Mini Proを選んだ理由は、非常に自然なイメージを生み出すからです。Postmodern Jukeboxのようなアナログ的なバンドに向いている映像を撮影できたと思います。バンドのスタイルを反映した、古いハリウッドのような雰囲気をミュージックビデオに取り入れたかったんです。URSA Mini Proのレンズマウントは交換できるため、PLマウントを使用して年代物のコーティングなしのレンズを取り付けて撮影しました。これにより、面白いフレアが得られ、動きに一種変わった要素を加えられました。

カメラの内蔵NDフィルターを使ったことで、マットボックスやその他の重いアクセサリを加えることなく、T2.2までのレンズを使用でき、バンドメンバーやダンサー立ちが動き回る中で小回りの利くサイズに収まりました。

本作では、約40名のミュージシャン、俳優、ダンサーが動き回る間を縫うようにして、スタッフは7部屋を移動しながら撮影をする必要があった。

バーン氏:カメラは簡単に動かせるように軽量である必要がありました。大豪邸で撮影したのですが、それでも狭い出入り口があり、撮影中にシームレスに通り抜けられるサイズであることが必須でした。URSA Mini Proは小型なため、そのような狭い場所でも問題なく、また軽量なため17テイクの撮影を行うことができました。

バーン氏はURSA Mini Proと合わせて、Video Assist 4Kをモニタリングとプロキシの収録に使用した。

バーン氏:ありとあらゆることが作中では展開するので、希望通りのワンショットが得られるまでに17テイク撮影しました。Video Assist 4Kでテイクの再生を行い、出演者と一緒に見ながら、次のテイクでは何を修正する必要があるか確認しました

ワンショットですべてを完璧に撮影する必要があったため、カメラの信頼性の高さにスタッフは非常に感心していたという。

バーン氏:以前のプロジェクトでURSA Mini Proを使用した経験から、頼りになる製品だとルーフェさんも私も分かっていました。撮影スタイルの関係で、カメラに問題が発生した際に対応している余裕はなかったので、本当に期待通りの仕事をしてくれて助かりました。部屋の間だけでなく、屋内から屋外へも移動したため照明が変わったので、ダイナミックレンジは非常に重要でした。暗すぎたり、明るすぎたりすることなく、各ショットのディテールがきちんと得られました。

代替策としてカットを入れる準備もあったのですが、最終的には必要ありませんでした。撮影を始め、すべてが動き出したのを見た後、本当にワンテイクで撮影して希望通りの作品が撮れると気づいたんです。出来上がった作品には、これ以上ないくらい満足しています。