ブラックマジックデザイン株式会社は、2018年2月上旬に発表した新製品展示会を2月28日に東京・浜町にあるPANDASTUDIO.TV浜町スタジオにて開催した。同展示会では、新製品の紹介や、導入事例紹介、新製品の実演、内覧会が行われた。2月に発表された新製品は以下の通り。

同社は昨年から、NAB、IBC、InterBEEなどの展示会開催に合わせての製品発表ではなくなった。その理由として、できるだけできた製品から順々に発表していこうという同社の意図があるようだ。今までは新製品発表→作成→リリースという流れだったが、昨年からは製品が完成してから発表する流れになったという。

2月上旬に発表された新製品は、ライブ配信向けの製品が多く、ハイエンドもしくは放送局向けのクオリティとなっている。同社のCEOであるグラント・ペティ氏は、今回放送局クオリティの製品を目指したのは2つの理由があるとしている。1つ目は世界中の放送局でUltraHDや4K化を進めようとしているが、なかなかそれが進まないのは4K機材が高価というのが大きな要因と考えており、そこを打破したいということで今回放送局向けの製品をたくさん用意した。2つ目は放送局以外のWebストリーミングやライブプロダクションの分野では、予算などの関係でコンシューマー系やプロシューマー向けの安価な機材しか使用できないため、放送局と比べてクオリティが劣ってしまうことが大変残念だと考え、放送局クオリティの製品を幅広いユーザーに使用してほしいからだとしている。

近年、放送局やWebストリーミングの現場で同社製品を使用する事例が増えており、ユーザーからは「4 M/Eが欲しい」「パネルが高額」「10倍ズームを使いたい」「B4レンズの資産を活用したい」「4K60pの信号を100m延ばしたい」などのフォードバックや要望があったという。そのフィードバックが今回の新製品に反映されているのだろう。

URSA Broadcastの形状はURSA Mini Proと似ているが、違うポイントがいくつかある。まずは価格面。URSA Mini Proは60~70万円、URSA Broadcastは30万円台と価格が大きく異なる。そして大きな特長は、既存の既存のB4レンズが活用できる4Kカメラだという点だ。4KのB4レンズだけではなく、HDのB4レンズも使用可能。URSA Mini Proではセンサーサイズが大きいため4K解像度でB4レンズを使おうとするとイメージサークルの関係で周りが切れてしまうため使用できなかったが、URSA Broadcastではセンサーが小さくなり、4K解像度でもHDでもB4レンズが使用可能となった。B4レンズはパーフォーカル(同焦点)レンズで被写界深度が広いため、ズームイン/アウトを行ってもフォーカスがずれないとしている。また、標準のB4レンズマウントはオプションのEF、F、PLマウントに交換も可能。

その他の特長として、CFast 2.0およびSD/UHS-II用のデュアルカードレコーダーの搭載や、レコーディングオプションによりDNxHD、DNxHR方式での収録が可能な点、新しいダイナミックレンジとして、Video(Rec.709)とFilm(Log)の中間となる新しい拡張ビデオモードExtended Videoを搭載している。

カメラの新しいオプションとなるStudio Fiber ConverterとCamera Fiber Converterは光ファイバーを使用することで最大で2kmの長距離伝送が可能。Camera Fiber ConverterとStudio Fiber Converter間の接続には、両端にSMPTE 304のコネクターが付いているSMPTE 311Mハイブリッド光ファイバーケーブルを使用する。ケーブルは、2-Way光ファイバーペア、データペア、電源ペアで構成され、中心の強化部材により継続的な使用にも持ちこたえる耐久性がある。

ファイバーケーブルを使用することで長距離伝送が可能になるだけでなく、ケーブルの中に映像やトークバック、タリー、カメラコントロールなどの信号と、電源を含んでおり、1本のSMPTEケーブルで双方向伝送が可能なためケーブルがシンプルになるとしている。

Camera Fiber Converter

Camera Fiber Converterは、2系統の5ピントークバック接続、3系統のリターン出力、2系統の追加音声入力、アイリス調整機能を搭載。URSA MiniあるいはURSA Broadcastカメラの背面に取り付けて使用し、すべてのビデオ/オーディオ接続、カメラコントロール、PTZ、トークバック、タリー、電源を変換し、SMPTEハイブリッド光ファイバーケーブルを使用した通信を可能にする。

Studio Fiber Converter

Studio Fiber Converterは、インカムの入出力、4系統の音声出力、3系統の映像入力、イーサネットポート(1G/10G)を搭載。スタジオや中継車などのカメラネットワークのもう一方の端に設置し、カメラからのすべての信号をテレビ業界標準の接続に変換するため、カメラコントロールユニット、ライブプロダクションスイッチャー、オーディオミキサーなどに接続可能。将来的には1Gもしくは10GのIP伝送が可能になる。

ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4Kは、20系統の入力、4つのM/E列、16系統のATEMクロマキーヤーを搭載し、Ultra HD 2160p60対応のスイッチャー。主な特長は、12G-SDI技術の搭載、コンパクトな筐体で4K60pのライブ制作を実現、価格も税別681,800円とアフォーダブルな価格設定だとしている。4 M/E導入のメリットとしては、4系統のM/E列でのライブイベントの制作効率化や、各キーヤーにクロマキーヤーの装備、スーパーソース入力画面でのM/E使用可能な点を挙げていた。

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ATEM 1 M/E Advanced Panelの上部には、内蔵の5インチLCDスクリーンと4つのソフトボタン、4つのソフトノブが付いており、その左側には専用の機能ボタン、右側にはテンキーパッドおよびプロ仕様のジョイスティックや、特注デザインのTバーフェーダーを搭載。M/E選択ボタンの搭載により、4つの独立したミックスエフェクト列を切り替えてコントロールでき、1台の1 M/Eハードウェアパネルで、4 M/Eまでのスイッチャーをコントロール可能。

一番大きな特長はソースネームディスプレイと発光ボタンだとしており、3列まで表示でき色も変更することができる。

開発中の「ATEM Camera Control Panel」2018年6月発売予定。1台のコントロールパネルで4台のカメラをリモートコントロール。黒レベル、ゲイン、カラーバランス、シャッタースピードなどの技術的なパラメーターをモニタリング/調整が可能。NAB2018では実機が見れるのではないだろうか。

パネルの下部には、カメラ番号を表示するLEDが付いており、プレビュー/オンエアの状況が確認可能。ジョイスティックを使用することで、アイリスやマスターブラックの調整が可能。また、カメラマンとのトークバックに仕様するコールボタン、パネルロックボタン、ネットワーク、電源、カメラとのケーブル接続を確認できるインジケーターも付いている。