Blackmagic Designの発表によると、URSA Mini ProおよびDaVinci Resolve 15 Studioが、チューリッヒ保険のスポーツをテーマとしたキャンペーンの制作に使用されたという。同CMの2作品とも監督、撮影、ポストプロダクションは、ミュンヘンのThe Directors Duoが担当した。

同2作のキャッチフレーズは「高いパフォーマンス」だが、互いに全く異なっている。夏のCMは、女性が自転車で森の中をジャンプしたり、大自然の中を駆けまわる様子を捉えたものだが、冬のCM「Olympia」では、アルペンスノーボーダーが命や手足を失う危険もいとわず、アルプスの急傾斜を滑降したり、ギャップを豪快にジャンプする様子を映し出している。両作ともにシネマライクな品質で壮大なスケールで撮影されており、The Directors Duoのベンヤミン・クラツィン氏とクリストファー・シュリーフ氏のトレードマーク的なスタイルが反映されているという。

クラツィン氏とシュリーフ氏は、チューリッヒ保険の代理店であるButterと制作会社Fireappleの依頼を受け、CMの撮影および監督をすべて行った。冬の作品の撮影には、ヘリコプターとドローンを使用したワイドショットに加え、至近距離のショットが含まれていたため、両氏はスノーボーダーの動きを間近で追い、時には共にジャンプし、すべてのカメラで可能な限り接近した状態を維持するようにした。

シュリーフ氏:撮影にはURSA Mini Proを使用し、求めていたルックを得るために、アナモルフィックレンズを選びました。Easyrigに取り付けたDJI Ronin 2にカメラをマウントして、そのジンバルを身体に固定した状態で、スロープをスキーで滑りながら撮影しました。URSA Mini Proの優れた点は拡張性が非常に高い点ですね。

チューリッヒ保険は冬のCMの出来を大変気に入り、夏のマウンテンバイクをテーマとした続編の撮影も依頼されました。こちらは、冬バージョンに比べて小さな規模のプロジェクトでした。

映像とオーディオのポストプロダクションにはDaVinci Resolve 15 Studioを使用した。

シュリーフ氏:作業の内容に合わせて、エディットページ、カラーページ、デリバーページに瞬時に切り替えられ、コンフォームやラウンドトリップを実行する必要もありませんでした。1つのソフトウェアに必要なものすべてが詰まっているんです。

クラツィン氏:DaVinci Resolve 15では、クリエイティビティが未だかつてないレベルで発揮できると思います。エディットページのタイムラインのスタック表示やタブ表示などの機能は、あらゆる編集作業を行うプラットフォームとして極めて使いやすく、カラー、VFX、オーディオの面でもパワフルなツールが搭載されていますね。

インターフェース全体が、とてもモダンなデザインですね。エディットページのタイムラインはインタラクティブなので、編集作業を流れるように行えます。タイムラインでのマウスの配置によって、トリムツールが変わる点などのシンプルな機能が大きな違いを生んでいると思います。

カラーグレーディングの完了後、クラツィン氏はサウンドデザインのライブラリ全体をDaVinci Resolveに読み込み、Fairlightページでオーディオのミキシングなどの作業を行った。

クラツィン氏:その後、レベルをノーマライズし、書き出しはテレビ用の最終段階でのみ行い、それをミュンヘンのOrange Sound Studioに委託し、放送規定を満たすミックスを作成しました。FairlightがDaVinci Resolveに統合されたのは比較的最近のことですが、クリエイティビティ溢れるツールにFairlightの優れた機能が加わったことで、さらにソフトウェアとして磨きがかかったと思います。