アドビは5月29日、東京・原宿のGalaxy HARAJUKUで、Adobe Premiere Rush最新製品説明&メディア限定トークイベント「令和元年”一億総クリエイター時代”の到来!?」を開催した。

アドビは、ビデオ編集アプリPremiere Rush for Android版を5月21日に提供開始。サムスンはGalaxy S10シリーズをKDDI版は5月23日を発売開始し、NTTドコモ版は6月1日発売予定。両社は、グローバルでパートナーシップを強化しており、アドビのRush、Android版をGalaxy S10で動作させた紹介やGalaxy S10とS10+の魅力、令和時代に動画の世界はどのようになっていくのか?2人のクリエイターによる対談を行うトークイベントを行った。

待望のAndroid版Premiere Rushをリリース開始

最初の登壇者は、アドビ クリエイティブクラウドマーケティングマネージャー田中氏。Premiere RushのAndroid版について紹介を行った。

アドビシステムズ クリエイティブクラウドマーケティング マネージャー 田中玲子氏

YouTuberやブロガー、インハウスで動画を一日1本以上制作するという需要が増えている。そんな市場の流れを甘味して、アドビは2018年10月にPremiere Rushをリリース。「編集やカラー調整、オーディオの調整がRushひとつで可能。Premiere Proのエンジンを基本的に使っており、プロが作成したモーショングラフィックステンプレートをそのまま使用可能。いつでもどこでも編集ができる」と3つが特徴と紹介。

田中氏は具体的な例として、「Rushは、クラウドですべての素材を共有することができ、例えば Galaxy S10で外出先で編集をしていて、家ではゆっくりとデスクトップで編集することが可能です」と紹介。撮影をS10で行い、そのままRushで粗編集、クラウドにアップして、本編集をデスクトップで行ったり、そのままS10で行うことができるという。

また、Rushのプロジェクトは、Premiere Proに持っていくということができたり、書き出しから、YouTubeやFacebook、Instagramに上げることが可能。「簡単に素早く、クオリティの高いものを作りたいという場合はぜひRushを使っていただければ」とアピールをした。

Android版のPremiere Rush登場

数多くのモーショングラフィックステンプレートも用意されている。縦書きのものや漫画文化の吹き出し、集中線などがある

Galaxy S10シリーズには、カメラに詳しくない方でも素敵な写真が撮れる強力なカメラ機能を搭載

続いて、サムスン電子ジャパンの大越氏が登壇。Galaxy S10シリーズについての紹介を行った。カメラ機能や動画機能を強調して紹介。Galaxy S10+は、カメラに詳しくない方でもプロのような写真が撮れるいうことを目指して開発をしたという。

特に約123°超広角のレンズは魅力的だ。「約123°超広角レンズを搭載しています。観光地に行って撮影したいときにちょっと見切れちゃっうなんて時があるかと思いますが、この超広角カメラを使っていただければ見たもの全てを切り取ることができます」と紹介した。

サムスン電子ジャパン プロダクトグループ 大越一博氏

123°の画角で撮れるウルトラワイドカメラを含むトリプルカメラ構造を採用

また、パフォーマンスの面では、大容量のRAM8GBの実行メモリを搭載し、Premiere Rushのような動画編集アプリも軽快に動作する。独自の冷却システムを搭載し、端末の発熱を防いで快適に使用できるという。

大容量のRAM8GB実行メモリと128GBのROMを搭載

Galaxy S10の購入を考えている人には嬉しいお知らせも行われた。Android版のリリースと同時にGalaxy専用のAdobe Premiere Rush for Samsungをリリース。Galaxyストアでダウンロードが可能。期間限定で通常価格よりも20%割引で購入できるとのこと。

今後の映像業界は、どのようなクリエイティブの表現がでてくるのか?

トークセッションはアドビクリエイティブクラウドエバンジェリスト 仲尾氏が進行

最後は、今回のイベントのハイライトでもある明石氏とあさぎーにょ氏の豪華なトークセッション。なぜオリジナルな作風を貫けるのか?という2人の対談は必見だった。

例えば、気軽に動画を扱えるようになってきているが、どのような感じで差別化していけばいいのかを仲尾氏が質問。

明石氏:みんな差別化できないと悩んでいますが、そんなの気にせずに、滅茶出しまくってほしいと思います。こだわる人ほど最初の一本目を出すのが凄い勇気がなくて、出せない系の話が多いですが、思い切ること。出さないといつまで経ってもなんか自分ぽいやつは出てきません。

スポーツもそうですが、理想のフォームでバッティングするには、滅茶苦茶筋トレしなければ無理だと思います。やっぱりいっぱい出して、自分の理想のスタイルを追求することで、「こういうビジュアルでやろう」みたいなやつができるようになると思います。

ワンメディア株式会社代表取締役 明石ガクト氏

あさぎーにょ氏:私は、休まずに投稿を1年半つづけたことがあります。自分で毎日上げるというのを決めたら、上げるしかない。

どれだけダサくても、観られたくなくても、上げる。次は絶対にこんな動画を出さない。忘れ去られるぐらい出さなきゃ、みたいな感じで、その悔しさからレベルアップしていく。最初はダサいのを上げる勇気を持つというのは一番大事なのかもしれないな、と思います。

SNSアーティストのあさぎーにょ氏。映像制作、楽曲制作、CM制作、モデル活動、タレント活動、プロデュース活動、イラスト制作を「へんてこポップ」という世界観で表現

さらに仲尾氏は、どのようにして自分の色というのを出していけばいいか?質問を続けた。

明石氏:僕は自分らしい、世界の切り取り方みたいなやつができていない映像を「おしゃれなカラオケビデオ」という表現で批判をします。凄いいいレンズでボケ味があって、ドローンを飛ばして撮ったやつと組み合わせると、だいたいいい感じに見える。そんなのYouTubeで検索すると、1万本ぐらいあるんですね。誰が撮ったか関係ないわけですよ。

その人にしか撮れないストーリーとか、思念みたいなやつがあるから、みんな興味をもつ。だから、カラオケビデオみたいなやつを撮らずに自分らしいものはなんなのか?それが大事ですね。

あさぎーにょ氏:私は自分らしさを作らなきゃとは思わず、ずっと普通に楽しんで作って、その中で「あさぎーにょってこうだよね」とか「ポップだね」と言われました。そうしていく、「私はこうなんだ」というスタイルをもっとみんなに伝えたいなと次第に見つけることができました。

最初っから自分らしさを探すよりは、作品を出していく。そしたらおのずと自ずとでてくるかもしれないのですね。

最後に、明石氏はアドビのアピールも忘れていなかった。「20年後も俺はアドビを使っている気がします」とツールについても言及。「今の若い人たちはツールにお金を払うのを敬遠しがちですが、契約をしたほうがいい」とアドバイスを贈った。「飲み会を一回我慢してでも自己投資を惜しまないほうがいい」と助言し、トークセッションを締めくくった。