ソニーは、有効約6100万画素の新開発35mmフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーExmor Rを搭載したα(Alpha)レンズ交換式デジタル一眼カメラ「α7R IV」を2019年9月6日に発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格は税別400,000円前後(ボディのみ)。

7月17日に行われた「α7R IV」発表会の様子

α7R IVは、有効約6100万画素のCMOSイメージセンサーExmor Rと画像処理エンジンBIONZ Xを搭載。従来機「α7R III」比で約1.5倍の高画素を有しながら、イメージセンサーの裏面照射構造と効率的なノイズ処理により、低中感度域においてα7R IIIと同等の高感度・低ノイズ性能を維持しているという。ギャップレスオンチップレンズ構造やARコート(反射防止膜)などの同社独自のイメージセンサー技術を結集し、高解像度や高感度、低ノイズ、広いダイナミックレンジ性能を兼ね備えたとしている。

α7R III(左)とα7R IV(右)

また微細な振動にも敏感な高解像撮影をサポートするため、手ブレ補正アルゴリズムを強化し最高5.5段のボディ内5軸手ブレ補正効果を実現しているほか、シャッターチャージユニット構造の見直しにより衝撃吸収性能を高めている。無音無振動のサイレント撮影にも対応。さらに、α7R III比約1.6倍のドット数をもつ576万画素のビューファインダーUXGA OLED Tru-Finderが、微細なピント合わせをサポートする。

最新の画像処理システムの搭載により、低感度時は約15ストップ(静止画時)のダイナミックレンジを実現。常用ISO感度ISO100~32000 (拡張ISO50~102400:静止画時)の感度域をカバー。また、フルサイズ画角での撮影はもちろん、APS-Cモードでの撮影時も約2620万画素の解像度が確保できるため、ズームを生かして野鳥撮影やモータースポーツの撮影などに活用できるとしている。

ボディ内手ブレ補正機能を高精度に制御しながら、複数画像を撮影し、PC上で合成することで高い解像感を持つ画像を生成するピクセルシフトマルチ撮影が進化。4枚に加え、α7R IIIの4倍となる計16枚の画像の持つ約9億6320万画素分(記録画素数約6020万画素×16枚)の情報から、約2億4080万画素(19008×12672)の画像生成が可能。

α7R III比約1.5倍となる有効約6100万画素の膨大なデータ量ながら、AF/AE追従による最高約10コマ/秒の連写を実現。約10コマ/秒での圧縮RAWファイル高速連写時にも、約7秒間持続する大容量バッファーを搭載している。APS-Cモードでの撮影時には、フルサイズモード時よりさらに約3倍連続撮影が持続する。フリッカーレス撮影にも対応。

撮像エリアの約74%をカバーする567点の像面位相差検出AFセンサーを、新開発のイメージセンサー上に配置。コントラストAFが優位になる低照度環境下ではAF枠を425点に分割するなど、ピント合わせが難しいさまざまなシーンで被写体を高精度に捉えるとしている。また、AFアルゴリズムの進化により、AF-SモードでのAF検出輝度範囲の下限値はEV-3(ISO100相当/F2.0レンズ使用)で、暗いシーンでも高精度な撮影が可能。

動画撮影時もリアルタイム瞳AF機能が有効

AIによる物体認識により、即時に人物の瞳情報を検出する「リアルタイム瞳AF」機能を搭載。正面からうつむき顔になった場合や、振り向いた瞬間、逆光で顔が暗いシーンなど、ピント合わせが難しい状況でも、瞬時に瞳を検出し追従する。静止画に加え、新たに動画撮影時にも有効。カスタムボタンの操作以外に、AFモード時にシャッターボタンを半押しすると同時に被写体の瞳を検出することが可能で、AF-C/AF-Aモード時には、そのまま瞳を追従し続ける。あらかじめ「オート」「右目」「左目」から設定できることに加え、「右目/左目切替機能」をカスタムボタンにアサインしておくことで、撮影中でもボタンを押すたびに検出する瞳の左右を切り替えることができる。リアルタイム瞳AFは、動物の瞳も高速高精度に自動検出し、追従する。

リアルタイム瞳AFは動物の瞳も自動検出して追従する

色や模様、被写体との距離などの空間情報を高速に検出し、複雑な動きやスピードに緩急のある動体を認識し追尾し続ける。特に被写体が人物の場合は、AIにより瞳の位置情報を並行してリアルタイムに認識する。静止画に加え、動画撮影時にも有効。また、メニュー画面にて「タッチトラッキング」を設定しておけば、捉えたい被写体をモニター上でタッチするだけで直感的な被写体選択が可能だとしている。

4K動画の本体内記録に対応。スーパー35mmフォーマット時は、画素加算のない全画素読み出しにより、4K映像に必要な画素数の約2.4倍(24p時。30p記録時は1.8倍)の情報量を活用して4K映像を出力。4Kの記録フォーマットにはXAVC Sを採用しており、最大100Mbpsのビットレートで記録可能。

動画撮影時のAF性能が向上し、動画撮影時に求められるスムーズかつ安定したAFが可能となった。動画撮影時のリアルタイム瞳AFに初めて対応し(動画撮影中の検出対象は人物のみ)、自動的に瞳にピントを合わせ続けられる。またS-Log2に加えS-Log3を搭載。S-Log3設定時は14ストップの広いダイナミックレンジを実現。さらにHLG方式に対応している。

業務用カメラで採用しているデジタルオーディオインターフェースを追加したMIシューを搭載。MIシューのオーディオインターフェースをデジタル化することで、ノイズの少ない高音質のデジタル音声をカメラにダイレクトに伝送し録音することが可能だとしている。また、MIシュー経由でカメラ本体から給電が可能なため、マイク本体のバッテリーが不要となり、マイクとカメラ本体を組み合わせた際の大きさや重量が軽減される。また、新たに発売するXLRアダプターキット「XLR-K3M」を用いることで、既存のXLRマイク製品をα7R IVにも使用可能となる。

Wi-Fi 5GHz(802.11ac)に新たに対応したほか、「Imaging Edge」デスクトップアプリケーション(「Remote」「Viewer」「Edit」)のVer. 2.0 (2019年8月公開予定)の提供により、α7R IVでのPCリモート撮影(ワイヤレス、USB接続)が可能となった。また、「Imaging Edge Mobile」アプリケーションVer. 7.2(2019年7月公開予定)の提供により、「カメラ設定の保存と反映」機能、カメラ電源OFF時のデータ転送機能、縦位置動画情報の記録機能に加え、「RX0 II」への対応などが追加される。その他にも、USB接続時のデータ転送速度がα7R IIIに比べ約2倍に高速化している。

別売アクセサリー

■縦位置グリップ「VG-C4EM」

縦位置撮影時も、横位置と同様のホールド性と操作性を実現するα7R IV専用縦位置グリップ。Zシリーズバッテリーを2個まで装着可能で、自動的に次のバッテリーに切り替えて連続撮影が可能。α7R IVと同等のグリップ形状に、測距点をすばやく選択できるマルチセレクター、前後ダイヤル、AF ONボタン、シャッターボタンなどを配置し、横位置撮影と同じ感覚で縦位置撮影が行えるとしている。グリップの外装には、α7R IVと同様に軽量化と高剛性を両立させるマグネシウム合金を採用。各部操作ボタンやダイヤル部には防塵防滴に配慮した設計が施されている。さらに本体のUSB端子を経由して、縦位置グリップ内の2つのバッテリーに充電が可能だ。

対応機種:α7R IV
発売日:2019年9月6日
希望小売価格:税別38,000円


■ショットガンマイクロホン「ECM-B1M」

高性能な8つのマイクユニットとデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を内蔵した新開発システムにより、全長99.3mmのコンパクトな筐体と鋭指向性の両立および、3つの指向性(全指向性、単一指向性、鋭指向性)の切り替えを実現するショットガンマイクロホン。デジタルオーディオインターフェースの採用により、音声をデジタル信号のままダイレクトに伝送できるため、ノイズを徹底的に抑制した高音質伝送が可能だという。また、低域の振動ノイズを抑制する防振構造を採用。カメラとの接続はMIシューを使用するため、ケーブル接続やマイク単体での電源供給が不要。

対応機種:α7R IV 他
発売日:2019年9月6日
希望小売価格:税別35,000円


■XLRアダプターキット「XLR-K3M」

既存のXLRマイク製品をMIシュー搭載のカメラに組み合わせることが可能なXLRアダプターキット。業務用XLRマイク用入力端子とデジタルオーディオインターフェース対応により、音声をデジタル信号のままダイレクトに伝送できるため、ノイズを徹底的に抑制した高音質伝送が可能だという。付属のオーディオ延長ケーブル(約30cm)により、プロ向けリグ/ケージ/ブラケットなどMIシュー以外への固定も可能。また、低域の振動ノイズを抑制する防振構造を採用。入力端子は、XLR/TRSコンボ端子×2、直径3.5ステmmステレオミニマイク端子×1の3系統を搭載し、LINE/MIC/MIC(ファンタム+48V)入力に対応。

対応機種:α7R IV 他
発売日:2019年10月下旬発売予定
希望小売価格:税別60,000円