© 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

Blackmagic Designの発表によると、20世紀フォックスの映画「フォードvsフェラーリ」が、EFILMのシニアカラリストであるスキップ・キンボル氏により、DaVinci Resolve Studioを使用してカラーグレーディングされたという。

ジェームズ・マンゴールド氏を監督に迎えた同作品は、設計士のキャロル・シェルビー(マット・デイモン)とテストドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)が、1966年のル・マンでのフェラーリ打倒を目指して、フォード・モーターのために画期的なスポーツカーの開発に奮闘する姿を描いた物語。

フェドン・パパマイケル撮影監督は、同作のルックのインスピレーションを得る上で、ジェームズ・ガーナーが主演した1966年の「グラン・プリ」を主に参考にしたという。

パパマイケル氏:「グラン・プリ」は古典的なシネマスコープの70mm Kodak映画で、同作のフレーミングとシンプルさを本当に気に入っています。当時は、高性能のクレーンを搭載した撮影車やドローンなどの技術はありませんでした。また、当時のレースカーは、極めてシンプルな作りの車体に巨大なエンジンを搭載しただけのものだったことを伝えるのは、本作にとって非常に重要でした。ブレーキも満足に機能しなかったんです。そういったことを踏まえると、レースカーのドライバーがいかに危険と隣り合わせだったかが分かると思います。

キンボル氏とパパマイケル氏は以前に3度共に仕事をしたことがあり、同作で用いるルックの方針でも意見は一致したという。「フォードvsフェラーリ」は1960年代を舞台にしていたが、ありがちなビンテージなルックは避け、その代わりに制作の初期段階で独自のLUTが作成された。

キンボル氏:カメラテストの段階でLUTを作成しました。古い映画であるように感じさせずに、当時の空気感を伝えることが重要だったんです。

年代物のように見せるために広く使われる、彩度を下げる手法は論外だった。映画を見ることで、あたかも60年代を実際に経験しているようにしたかった、とキンボル氏は語る。プリプロダクションでは、当時をしのばせるスタイルの参考にするために同氏はリサーチを重ねたという。

キンボル氏:父親の車の雑誌が、その当時のものだったので、それを参考に使うことが多かったですね。これにより、60年代のルック、自動車メーカー、マーケティング、写真家について良く把握できました。

本作では、物語の進行に合わせてシーンごとにスタイルが調整された。その一例が、フェラーリ工場とル・マンのレースのシーンだ。

キンボル氏:作品前半におけるフェラーリの工場には、夢のような美しいルックを適用し、フォードの工場には金属感のある工業的なルックを用いました。これは、それぞれの自動車製造における当時の信条を反映しています。シェルビーの自動車修理工場は、この2つのミックスです。

同作のスタイルは60年代を反映させる要素が多く用いられたが、キンボル氏は他のソースからもインスピレーションを得たと語る。

キンボル氏:リー・アイアコッカとエンツォ・フェラーリの交渉のシーンには、「ゴッドファーザー」からの影響が強く出ていると思います。

DaVinci Resolveは作品のグレーディングだけでなく、すばやくショットを確認でき、VFXを継続的に更新できた点で同作において重要な役割を果たしたという。同作はDaVinci Resolveでコンフォームされ、ジェームズ・マンゴールド監督がルックとバージョンを比較できるように、EFILMのコンフォームエディターであるタシ・トゥリュー氏がカットのコンフォームを行った。

トゥリュー氏:DaVinci Resolveでネイティブにコンフォームされたため、デジタルインターミディエイト・シアターでクライアントの要望に対して完全に柔軟に対応できました。監督とエディターのマイク・マカスカーから特定のVFXのタイミングを色々と試したいとリクエストされた場合、その場で様々な編集を試すことができました。

大画面でサラウンド・サウンドミックス込みで変更点をテストできたため、実際の放映環境に似た状況でルックと変更点を評価できたという。

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キンボル氏は、DaVinci Resolveのネイティブツールを様々な方法で使用した。撮影には最低7種類のカメラが使用されたため、RAWフォーマットのフッテージを扱い、15種類のサイズ調整を行う上で、DaVinci Resolveの解像度非依存性には助けられたとキンボル氏は語る。エネルギーに満ちたシーンを作り出すために、多数のショットにDaVinci Resolveのカメラシェイクツールが使用され、時にはVFXの揺れに追加する形でも使われた。

「フォードvsフェラーリ」の制作はチャレンジに満ちていたが、ル・マンの最終レースほど難しいシーンはなかったという。5ヶ所のロケ地で撮影され、様々なフッテージが入り混じっていたため、キンボル氏は、ショットごとに異なっていた照明、空、時間帯の特徴を一致させる必要があった。

キンボル氏:本当に緊迫感のある刺激的なシーンなんです。ケン・マイルズのように、誰もがレースだけに集中する必要があるシーンです。監督からは、ルックが大げさにならないようにとのリクエストを受けました。この業界で豊富な経験を積んできていて、繊細なディテールにこだわりながらも、リアルさを追求した描写を行う監督です。

マンゴールド監督は、このシーケンスをいかに撮影したいかに関して、はっきりとしたビジョンを持っており、撮影では詳細に及ぶ指示を行った。

マンゴールド氏:あのシーケンスは、様々なインスピレーションを持ち寄って、様々なルックを試した結果として生まれた産物です。