ブラックマジックデザインは、2020年1月30日に「DaVinci Resolve Monthly SAMPLER Vol.8 Power to change everything!~DaVinci Resolve & New Mac Pro/Pro Display XDR~」を開催した。

同イベント会場では、Apple協力のもと「Mac Pro」と「Pro Display XDR」が用意され、DaVinci Resolveとのパフォーマンスを中心としたプレゼンテーションや、参加者が持参したデータでパフォーマンステストやモニターチェック、意見交換会などが行われた。

同記事では、ブラックマジックデザインの岡野氏によるプレゼンテーションの中で紹介された、DaVinci ResolveとMac Proを組み合わせたワークフローについて紹介しよう。

ブラックマジックデザインは昨年のNAB Showで多数の8K製品を発表した。もちろんDaVinci Resolveも8Kが大きく関わっているという。8K編集システムを導入したNiTRo SHIBUYA(株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ)では、DaVinci Resolveを使って編集・カラーグレーディングを行っている。このようなシステムでMac Proが使用されることが増えているという。

DaVinci Resolveでの8K編集が可能な理由はいくつかあるが、その1つにGPUの演算が関係している。GPUの演算でアルゴリズムの最適化が進んでおり、特にMetalとCUDAのパフォーマンスの最適化が進んでいるため、8Kも快適に動作するという。

プレゼンテーション資料より引用

DaVinci Resolveの処理ワークフローでストレージとCPUとメモリーも大事だが、DaVinci Resolveでは特にGPUが重要だ。グレーディング、エフェクト、レンダリングなどにはGPUを使用しており、基本的にはGPUをよいものにするとパフォーマンスが上がり、GPUを使用する際にはMetalやCUDAなどの演算方式を使用している。DaVinci Resolveが一番Metalの最適化が進んでおり、同じGPUでもDaVinci Resolveでのパフォーマンスが一番良いため、DaVinci ResolveとMac Proの組み合わせが推奨されている。

DaVinci ResolveからみたMac Proの特長として、最初にMac Proの価格が安いことを挙げた(Mac Pro価格:599,800円~)。従来、8K編集を行うにはサーバーグレードのマシンに複数のハイエンドGPUを搭載する必要があり、300~400万円の費用がかかっていたが、Mac Proであれば少ない費用で8Kのパフォーマンスに対応している。

■4K60p編集、グレーディング:税別1,050,800円
Mac Proハードウェア

  • 3.3GHz 12コアIntel Xeon Wプロセッサ(Turbo Boost使用時最大4.4GHz)
  • 48GB(6x8GB)DDR4 ECCメモリ
  • Radeon Pro Vega II(32GB HBM2メモリ搭載)
  • 1TB SSDストレージ
  • キャスター付きのステンレススチールフレーム
  • Magic Mouse 2
  • Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)
  • アクセサリキット

■8K60p編集、グレーディング:税別1,710,800円
Mac Proハードウェア

  • 2.5GHz 28コアIntel Xeon Wプロセッサ(Turbo Boost使用時最大4.4GHz)
  • 48GB(6x8GB)DDR4 ECCメモリ
  • Radeon Pro Vega II(32GB HBM2メモリ搭載)
  • 1TB SSDストレージ
  • キャスター付きのステンレススチールフレーム
  • Magic Mouse 2
  • Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)
  • アクセサリキット

■8K60pノイズリダクション:税別2,018,800円
Mac Proハードウェア

  • 2.5GHz 28コアIntel Xeon Wプロセッサ(Turbo Boost使用時最大4.4GHz)
  • 48GB(6x8GB)DDR4 ECCメモリ
  • Radeon Pro Vega II Duo(2 x 32GB HBM2メモリ搭載)
  • 1TB SSDストレージ
  • キャスター付きのステンレススチールフレーム
  • Magic Mouse 2
  • Magic Keyboard(テンキー付き)- 日本語(JIS)
  • アクセサリキット

また、今までのMac Proでは拡張性がなかったが、新製品のMac Proでは8つのPCleインターフェースがあり、そこにGPUやブラックマジックデザインのIOボードなどが挿せるようになっており、機能拡張ができるようになったことも大きな特長だ。

今回、GPUはRadeon Pro Vega IIが標準搭載となっている。これ1台で32GBと大きなメモリーを搭載しており、DaVinci Resolveでの作業時にこのGPUが大きく影響し、一世代前のMac Proと比較すると5~10倍のレンダリング速度になったという。

プレゼンテーション資料より引用

また、Mac Proの静音性もポイントだ。ファンの音がうるさいマシンもある中、Mac Proだと8K60pの再生時、レンダリング時ともに静かな状態が保たれるという。

カラーグレーディングを行う人に注目してほしい製品として、Mac Proと同時発売となったPro Display XDRを紹介。Pro Display XDRはマスターモニターとしての多彩な機能が搭載されており、HDRで必要なフルスクリーンの持続輝度1,000nits、ピーク時の輝度1,600nits、コントラスト比1,000,000:1、色深度10ビット、広色域P3を実現している。カラーグレーディングではキャリブレーションが正確に出るかが重要だが、Pro Display XDRは。すべてのディスプレイに対してAppleによる最先端のカラーキャリブレーションが施されているため、ポスプロやエディターがマスターモニターを使用する際の選択肢に入ってくるのではないかと岡野氏はコメントしていた。

イベント当日の展示機スペック(プレゼンテーション資料より引用)

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/02/200206_BMD_event_Mac-Pro-36.jpg

イベント当日の構成(プレゼンテーション資料より引用)
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イベント当日の展示機と構成は上記図の通り。Teranex Mini SDI to HDMI 8Kで8K60pをシャープ社製8Kテレビに出力。映像を正確にモニタリングしたい時にはDeckLinkのシステムが必要となる。また、DaVinci ResolveはAfterburnerにも対応しており、ProResの再生も非常に速いという。

DaVinci ResolveはAfterburnerにも対応※画像はリリース前のベータ版(プレゼンテーション資料より引用)

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/02/200206_BMD_event_Mac-Pro-39.jpg

8K60p再生でも十分なパフォーマンスを発揮(プレゼンテーション資料より引用)
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機能面、パフォーマンス、価格面を考慮するとDaVinci ResolveとMac Pro/Pro Display XDRを組み合わせたワークフローはとても魅力的だ。