Blackmagic Designの発表によると、制作会社SandwichがPocket Cinema Camera 6K、Blackmagic RAW、DaVinci Resolve Studioを用いて、Slackの新しいオンラインCMの撮影およびグレーディングを行ったという。Sandwichは、遠隔からライブアクションCMを作成できる新しい制作サービスのLunchboxを使用して、同プロジェクトを完成させた。

SandwichはロサンゼルスのCM制作会社で、Etsy、アメリカン・エキスプレス、Lyftなどの国際的なクライアントを抱え、2014年以来コミュニケーションツール・プロバイダーであるSlackの作品を手がけている。Sandwichが初めてSlackのCMを制作したのは約6年前。離れた場所にいる人々を繋げ、様々なことを生み出す手助けをしていることを世に知らせるSlackのCMを今回再びSandwichが制作することになった。

Sandwichのスタッフは自宅から仕事しており、他州に住む人もいる状況での最大の課題は、高い水準を満たす高品質のライブアクションCMをいかに撮影するかということだった。これは、移動型プロダクションキットを使用することで解決した。同キットは、Pocket Cinema Camera 6KでBlackmagic RAWで撮影することを主に考慮して構築され、レンズ、照明、オーディオ機器と共にSandwichのスタッフに配達された。

このキットを用いて、スタッフ自身がCMの出演者となり、自らの姿を撮影した。このキットに加え、Sandwichによるトレーニングとポストプロダクションを付加したサービスがLunchboxだ。Sandwichの創始者であるアダム・リサゴー氏は次のようにコメントしている。

リサゴー氏:最近は、品質を損なわず、素材ビデオを使用せずに、真実味のある登場人物がメッセージを伝えたり、ブランドを紹介するライブアクションの作品を制作するのは簡単ではありません。しかし、それをセンス良く、繰り返し安全に実行できる方法を構築しました。これは、Pocket Cinema Camera 6Kの機能性の高さのおかげで実現しました。また、使い方がすぐに学べ、簡単に撮影できるのも、このキットの構築において欠かせない要素でした。

今回のSlackの新CMは、いかにSandwichにとってSlackが欠かせない存在になったかを示すクリエイティブな作品で、特に、ロックダウン中に企業が仕事を継続する上での存在感の高さを表現しているという。同作品では、Sandwichの様々な部門の7名のスタッフが、それぞれの自宅で創造性と生産性を維持する上で、いかにSlackが重要な役割を果たしているかを語っている。同CMの撮影監督を務めた、Sandwichのローウェル・メイヤー氏は、カメラの使用方法を簡単に説明するビデオを撮影前に作成した。

メイヤー氏:常日頃からカメラの前に出演者として立ったり、カメラの後ろで制作を行っている訳ではない人たちに制作スタッフと同じレベルを要求するのは無理な注文です。自主性を尊重しつつ、行き詰まることがないように考慮しました。Pocket Cinema Cameraは極めてユーザーフレンドリーなので、誰もが手にとって、すばやく撮影方法を学べます。また、撮影したショットが完璧でなくても、カメラのハイダイナミックレンジとBlackmagic RAWのおかげで豊富なデータが得られるため、問題点をポストプロダクションで簡単に修正できます。

同CMでは、SlackのサイトとSNSチャンネルに加え、SlackとZoomを用いて各メンバーが撮影したフッテージで、自宅からどのように仕事を続けているかを紹介している。各ショットはSandwichのポストプロダクション・チームに送られ、Blackmagic RAWのフッテージを編集し、DaVinci Resolve Studioでグレーディングとフィニッシングが行われた。Sandwichのポストプロダクション部長であるザック・ホベッシュ氏は次のようにコメントしている。

ホベッシュ氏:ほとんどのCMに日々DaVinci Resolve Studioを使用しているので、いかにパワフルか認識しています。すべてのショットをDaVinci Resolve Studioに取り込みました。Blackmagic RAWで撮影したので、膨大な量のデータが得られたからです。DaVinci Resolve Studioは非常に高速で、Blackmagic RAWファイルを効率的に扱えます。

Sandwichは、新しいテクノロジーを用いて、CM制作を改善するクリエイティブ・エイジェンシーの一つとして広告業界で長年にわたり知られている。Lunchboxサービスは、物語を伝える上でテクノロジーを上手く活用する方法として見出した最も新しい例だ。

機会というのは、最も予期しない時に訪れるものです。3月までは、ほとんどの制作において約40名のスタッフがセットで働いていました。それが、今はそれぞれの自宅で誰もが一人で作業を行なっています。そこで、クリエイティブ・エイジェンシーを機能させ続けていくためのアイデアを練り始めました。

また、規模を最小限に抑えつつ、携帯で撮影されたような品質にならないようにライブプロダクションを行う方法についても色々と考えを巡らせました。Pocket Cinema Camera 6Kからアイデアを膨らませたことで、Lunchboxを構築するに至りました。

Slackのプロジェクトが終了した後、本作の制作に用いた手法をサービスとして提供できることに気づきました。今後も現場での大規模な制作に対する需要はあり続けると思いますが、リモートでも高品質で人々が楽しんで見ることができる作品を制作できる選択肢ができました。このキットを使用すれば、リモートでの制作を効率的かつ経済的に行えます。Blackmagic Designのカメラとソフトウェアは、それを実現する上で大きな役割を果たしています。