Blackmagic Designの発表によると、今年のエミー賞ノミネート者のうち、カリフォルニア州に在住または拠点を置く26名が、Pocket Cinema Camera 6KおよびATEM Mini Proスイッチャーを含むキットを使用して、第72回エミー賞のテレビ放送にライブ配信で出演したという。史上初のバーチャルによるエミー賞授賞式のテレビ放送の一貫として、同キットはロサンゼルスのC Mount Incにより構築された。今年の授賞式には、世界10ヵ国、20都市からノミネート者が出演した。

第72回エミー賞は、ロサンゼルスのステイプルズ・センターで開催され、ジミー・キンメル氏が司会を務めた。アリーナはほぼ空の状態で、ノミネート者とプレゼンターはライブ配信で授賞式に参加した。世界各国に配信された同番組は、各賞の授与前と後、受賞スピーチ、ABCバーチャル・メディアルームでの記者会見における100名以上のバーチャルでの出席者の様子を映し出した。

ビデオ機器レンタルサービス会社であるC Mountは、カスタムメイドのワイヤレス制作も専門としている。今回、授賞式の放送を一任した制作会社であるDone and Dustedは、リモートキットの構築をC Mountに依頼した。このキットには、大きなイメージセンサーのカメラと、複数のビデオ入力を搭載し、ノミネート者が簡単に操作できるスイッチャーが必要だった。また、カリフォルニア州グレンデールのC Mountの施設から、これら全てをリモートでコントロールできる必要があった。

エミー賞で使用されたキットの設計および設置の指揮を取った、C Mountのカスタム機材サービスのリーダーであるジェイソン・リコリ氏は次のようにコメントしている。

授賞式は極めて円滑に進みました。Blackmagic Designのカメラとスイッチャーが、それに非常に大きく貢献したと思います。今回のキット構築においては、シネマルックでありながら、放送規定や規格の範囲内で使用できるカメラを使うようにとのリクエストを受けました。

また、放送品質のスイッチャーも含める必要がありました。すべてをリモートでコントロールでき、各キットからのフィードは、ステイプルズ・センターのコントロールルームと弊社の施設から簡単に送受信できる必要がありました。

同氏は、カスタムメイドのリモート放送ソリューションの構築において何年もの経験があり、過去にはBlackmagic Designカメラをジミー・キンメル氏およびAppleの「Carpool Karaoke」や「エレンの部屋」などの番組に使用した実績がある。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まった2020年3月より、Done and Dustedが手掛けた「ABC/Disney Family Singalong」、「The Late Late Show with James Corden」のガレージからの放送、「The Voice」、Foxの「The Masked Singer」などの話題の番組に対して、C Mountは多数のリモートキットを構築・設置している。

同賞のノミネート者には、Pocket Cinema Camera 6K、ATEM Mini Pro、27インチモニター、マスター電源コードを含むキットが送られた。キットからのストリームをC Mountがリモートでコントロールすることで、ノミネート者が機器の操作に気を取られることなく、番組に集中できるようにした。キットからのフィードは、ステイプルズ・センターに設置されたDone and Dustedのメイン・コントロールルームと、C Mountの施設に送られた。

ATEM Mini Proは柔軟にコントロールできるため、スタッフに負担をかけることなく、ノミネート者に対しても余計なストレスを与えることなく作業が行えました。弊社で構築したキットをノミネート者の自宅に送り、接続するだけで使用できるようにしました。ノミネート者に科された最も重大な仕事は、Wi-Fiの受信感度が良い場所にキットを設置することだけでした。それ以外は、基本的にプラグアンドプレイに対応したキットでした。

Blackmagic DesignカメラOSに対して最近リリースされたソフトウェアアップデートがきっかけとなり、ATEM Mini ProとPocket Cinema Camera 6Kを組み合わせて使用することを思いつきました。このコンビネーションにより、完全なカメラコントロール、ウェブカメラ用のUSBインターフェース、シネマルックが得られる大きなセンサーのカメラを使用して制作が行えました。また、両方ともコンパクトなため、ノミネート者が撮影に使用した場所を機材で埋め尽くすことなく、非常に小さなスペースで効率的に撮影できました。

カメラコントロール機能に加え、ATEM Mini Proでは番組放送中にオーディオ入力のコントロールおよびモニタリングも実行できた。

今回のエミー賞で行おうとしていたことは非常に野心的な試みでしたが、エミー賞であるがゆえ不具合が起きる余地はありませんでした。しかし、Blackmagic Designの製品は完璧に機能してくれました。また、常にクリエイティブでいられるための機能を搭載しています。