パナソニック株式会社は、ボックススタイルのフルサイズミラーレス一眼カメラ、LUMIX BOX「DC-BS1H」(以下:BS1H)を2021年12月16日に発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格は税込404,000円。

BS1H(フルサイズ)に既存のBGH1(マイクロフォーサーズ)を加えたLUMIX BOXシリーズは、手持ち撮影に特化した一般的な一眼カメラのボディ形状を採用しないことで、接続機器や搭載端子の自由度が向上し、フレキシブルにカスタマイズできるカメラ。BS1HとBGH1は概ね同等レベルのサイズとインターフェース(BS1HはFnボタンとロックスイッチが追加されている)で、周辺の接続機器や電源供給の共用が容易だとしている。

マルチカメラでの撮影時には1台のパソコンから最大で合計12台のLUMIX BOX(本機及びBGH1)をコントロール可能。一般的なテザー撮影のような簡易的な撮影設定を複数台一括で設定することや、カメラ本体のメニューをパソコン上に表示して個別のカメラごとに詳細に設定することが可能。複数のアングルを用いたスタジオ撮影などの際にカメラ一台一台を直接操作する必要がなく、オペレーション卓のパソコンで便利に使用できる。

さらに、LUMIX BOXシリーズ両機種とも同じガンマカーブのLog撮影(V-Log/V-Log L)に対応。また、ライブ配信においてもHDMIやSDIからの映像出力に709LUTやカスタムLUT(.vlt)を適用でき、絵作りにこだわったシネマティックなライブ配信を行うことも可能だとしている。

最大4K60p 50Mbpsの有線IPストリーミング(RTP/RTSP)に対応しており、本機とパソコンを有線LANケーブルで接続することで配信プラットフォームを活用したライブ配信が可能。専用ソフトウェア「LUMIX Tether for Multicam」を使用することで、IPストリーミング中の各種設定や操作も行える。また、それ以外にHDMI出力や3G SDI出力に対応しており、キャプチャーボードやスイッチャー等の映像入力機器との接続時にも、接続先の機器に合わせて解像度を優先したり、接続の安定性を優先したりと、現場に合わせた最適な接続方法を選択可能だ。

小型で対称性の高いボディを採用したことでジンバルやドローンへの搭載や特殊なアングルからの撮影への対応力に優れ、また同社製フルサイズF1.8単焦点レンズシリーズは各レンズのサイズや重心バランスがほとんど同一となるよう設計しているため、シリーズ内の別のレンズに交換する際にもバランスを取ることが容易だとしている。

Log撮影においても、同社製シネマカメラの映像ルック「VARICAM Look」を追求しV-Log/V-Gamutに対応しており、同社製シネマカメラと組み合わせた際のグレーディングが容易となる。また、ポストプロダクションの際にはV-Logに対応したフルサイズ一眼カメラ LUMIX Sシリーズや、同社製シネマカメラ「VARICAM」、V-Log Lに対応した「LUMIX BGH1」などのLUMIX Gシリーズで撮影した動画と組み合わせて、一貫した絵作りの映像編集を行うことも可能だ。市販のシネマカメラやミラーレス一眼と組み合わせた際も、HDMIから出力した動画RAWデータを他社製の対応レコーダーで記録することにより、自由度の高いカラーコレクション・カラーグレーディングが可能だとしている。

有効画素数24.2M CMOSセンサーを採用し、低照度環境下でも美しい描写を実現し。また、1画素ごとに専用回路を2系統備えた「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載。ノイズが増幅してしまう高ISO感度設定時に「低ISO感度回路」から「低ノイズ・高ISO感度回路」に切り換えることで、ノイズを抑えたより自然で美しい静止画・動画記録を可能にしたという。常用の最高ISO感度はISO51200、拡張ISO感度はISO204800。

14+ストップの広ダイナミックレンジを実現。V-Log撮影時に、LUT適用後の映像を外部モニターに表示するV-Logビューアシスト機能で仕上がり時のルックを確認することが可能。

センサー全域を使った「横縦比3:2 6K/24p(5.4K/30p)、横縦比16:9 5.9K/30p動画記録」などの高解像撮影を実現。また、「フルエリア画角でのCinema4K/30p 4:2:2 10bit動画記録」や、「スーパー35mm画角でのC4K/60p 4:2:0 10bit動画記録」などの動画記録モード選択が可能だ。4:2:2 10bit動画記録モードでは、パソコンの処理負荷を抑えたスピーディーな編集が可能な「ALL-Intra動画記録」を選択でき、最大400Mbpsの高ビットレート記録が可能。また、HDMI端子からは4:2:2 10bitの映像出力を行うことができ、動画記録中のHDMI映像出力にも対応。HDMI端子からC4K/60p、4K/60pの4:2:2 10bit映像を同時に出力することや、カメラ内のSDメモリーカード記録を行いながら、外部レコーダーで高画質な映像を同時記録することも可能だ。

ATOMOS社製「Ninja V」、Blackmagic Design社製「Blackmagic Video Assist 12G HDR」モニター/レコーダーへ5.9K 30pや4K(17:9)60pなどの動画RAWデータの出力が可能。動画RAWデータ出力により、ポストプロダクション時の編集やグレーディングに有効なApple ProRes RAWを「Ninja V」で、Blackmagic RAWを「Blackmagic Video Assist 12G HDR」で記録可能。また音声データのHDMI出力にも対応している。

高精度な放熱シミュレーションと放熱ファンを搭載した放熱構造により、すべての動画記録モードにおいて、動作保証温度内における記録時間無制限を実現。

Log撮影やポストプロダクションでのカラーグレーディングを行わなくても、VARICAMやLUMIX S1Hの絵作りの思想を反映したルックを再現するシネライクガンマを活用することで、シネマライクで印象的な絵作りが可能。ダイナミックレンジを優先した「シネライクD2」、コントラストを重視した「シネライクV2」をフォトスタイルから選択できる。

AI分野の先進技術であるディープラーニングを応用した自動認識のアルゴリズムに、人体の「頭部認識」を加えることで、人物に対するAF追従性能を強化したリアルタイム認識AFを搭載。動く被写体や、人物の顔が隠れてしまうようなシーンでも、頭部と人体の位置やサイズ、画角により撮影意図をカメラが自動で判別し、背景抜けを抑えながらフォーカスし続ける。人の顔と瞳を検知し、自動でピントを合わせる「顔・瞳認識AF」も「頭部認識」により、遠くの小さな顔も認識し続けることが可能となった。強化された「人体認識AF」と「顔・瞳認識AF」の組み合わせで、人物へのより高精度なAF追従を実現。また「動物認識AF」も搭載している。

2基のSDカードスロットを搭載しており、容量がいっぱいになった際に1枚目から2枚目のSDメモリーカードへスイッチする「リレー記録」、2つのSDメモリーカードで同時に記録する「バックアップ記録」等の設定が可能。SDメモリーカードは、UHS-II Video Speed Class 90に対応している。

本体背面

マルチカメラ撮影時などに複数台のカメラを制御し、効率的なオペレーションを実現するために、3基のBNC端子とPoE+対応のLAN端子、HDMI端子を装備。

BNC端子は、3G-SDI出力、タイムコード(TC IN/OUT)、Genlock入力に対応。3G-SDIは、FHD 60p 4:2:2 10bitの外部出力が可能で、長距離のケーブル引き回しに加え、ケーブルロックバンド付属でケーブル抜けも防止できる。HDMIは、4K 60p 4:2:2 10bitの外部出力が可能。HDMIと3G-SDIからの同時出力にも対応しているため、3G-SDIとHDMIの両端子を併用または使い分けすることで、動画記録やモニタリングの自由度が向上。また、タイムコード(TC IN/OUT)は、時・分・秒・フレーム数の情報を自動で記録し、効率よい映像編集をサポート。Genlock入力は、フレーム位相を合わせるので、例えば高速の被写体を複数のカメラでスイッチング撮影する際などにも精度の高い同期を可能にするとしている。タイムコードとGenlock入力を併用することでマルチカメラ撮影での高度なオペレーションを実現する。

LAN端子はPoE+対応で、パソコンから複数台のカメラを制御。PoE+(Power over Ethernet)対応機器へ接続すればLANケーブルを使った電源供給も可能だ。

ハブとLANケーブルを使い本機とパソコンを接続し、パソコンからカメラ(合計最大12台まで)をコントロールすることが可能。BS1Hの発売に合わせて公開する専用ソフトウェア「LUMIX Tether for Multicam」をパソコンへインストールし、パソコン画面上でライブビューを確認可能。また、指定したカメラの絞り、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定を変更することも可能で、マルチカメラ撮影時の細かな設定をスムーズに行える。また、USBケーブルを経由して同様の制御を行うことも可能だ。

本体正面に「Fnボタン追加(露出補正)」と「ボタンロック」が新たに搭載された

BGH1と比較して、前面にFnボタンが追加された。初期設定では露出補正を割り当てている。また新たに追加したロック機構により、物理スイッチを個別にロック設定して誤操作を防止することも可能だ。

LUMIX制御用のSDK(Software Development Kit)に対応しており、LUMIX Tether対応機種を外部から操作するAPIを使用することで、自由なソフトウェア開発が可能となり、ユーザー独自の撮影フローを構築できる。

従来機種との特長比較

特徴 BS1H 対応機種(従来機)
一眼 BGH1
動画性能 Dual Native ISO S1H/S1/S5/GH5S
6K/5.9K/5.4K 10bit S1H/S1
4K60p 10bit S1H/S1/S5/GH5M2
V-Log/V-Gamut S1H/S1/S5
14+Stop S1H/S1/S5
動画RAWデータ出力 S1H/S1/S5/GH5S
※GH5SはProResのみ

※ProResのみ
リアルタイム認識AF S1H/S1/S1R/GH5M2
撮影アシスト
※同等性能抜粋
S1H/GH5M2
インターフェース 3G-SDI映像出力
TC-in/out S1H/GH5S
Genlock
LAN端子
(Tether操作/PoE+)
有線ライブ配信 GH5M2
※年内ファームアップ
※要USB/LAN変換
DC in