txt:黒田伴比古 構成:編集部

Filmpower発ROXOR(ロクサー)の真価はいかに?

一昨年から映像業界のトレンドになっているブラシレスモーターを使用したジンバルカメラスタビライザー。中でもドローンメーカーの雄DJIが昨年10月に発売した小型の4Kカメラにジンバル、コントロールグリップを一体化させたDJIのOsmoが、その簡便な操作性とスタビライズ性能で一躍ヒットしたのは記憶に新しい。

そんなOsmoブームの中、同10月に発表されたのがNebulaジンバルシステムで名高いFilmpowerの4Kカメラ一体型3軸ジンバル「ROXOR(ロクサー)」だ。

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しかも発表時はプリオーダー価格として199ドルという圧倒的低価格で受注を開始し(現在は終了)、世界中から多くのオーダーが寄せられ、今もその到着を待ちわびている状況だ。

今年1月のCESで実機が展示され、ようやく発売が開始されたばかりのROXORが本国から筆者の手元に早々に到着したので、さっそく使用感をお伝えしよう。

システム一式を収納できるSPACE X-CASE

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到着したROXORを開梱すると、姿を現したのはコンパクトなプラスチック製のケース。この中にROXOR本体、充電ACアダプター、ワイヤレスリモコン、スマートフォンホルダーなど一式が収められている。運用に必要なものが一式収められる点では、弦楽器型ケースに本体とスマートフォンホルダーのみを収めるOsmoのケースに比べ利点が高い。

価格なりの本体構造

Osmoの造形の美しさと仕上げの良さに比べるとROXORは、総プラスチック仕上げで幾分チープな感じが否めない。ジンバルのアーム部分もOsmoは金属仕上げに対し、ROXORはプラスチックで耐久性がやや心配だ。

またカメラ部はOsmoに比べ大きく頭でっかちな印象だ。ただOsmoにはない背面液晶ディスプレイを搭載しているので、このような大きさになるのは致し方ないだろう。背面液晶があることで、スマートフォンをペアリングしてモニターせずとも本体のみで映像確認ができる点はROXORの優位点だ。ただ、背面液晶ディスプレイの視野角は広くなく、ハイアングルやローアングル時にその視認性は著しく劣るのはやや残念だ。

重量ではOsmoがおよそ430g(バッテリー込み・実測)に対し、ROXORはおよそ500g(バッテリー込み・実測)とやや重めだが、Osmoは実際使用する時には、スマートフォンホルダーとスマートフォンを装着する場合が多く、実運用ではROXORに軍配が上がる。

各部名称と操作

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ROXORはグリップ部手前に十字コントローラと録画/決定ボタン、スタビライズモードボタンと電源スイッチがある。Osmoはグリップの裏側、握った時に人差し指にあたる部分にトリガーがあり、アングルを固定するフォローモードキャンセルやセンターリセット、セルフィーモードなどのモード切替ができるが、ROXORにはこれがない。この機能に相当するのは、グリップ部手前のスタビライズモードボタンだ。各モードは以下の通り。

  • 1回押すことでジンバルをオフにできる。カメラメニューを設定する際などに使用
  • 2回連続押しするとセミフォローモードになり、ピッチとロールは固定されるが、ヨーはフォローする動きになる(グリップを前後左右に動かしてもカメラは固定されるが、グリップの左右にねじる動きにはカメラが追随)
  • 3回連続押しするとロックモードになり、ピッチ・ロック・ヨーともに固定される(グリップを前後左右に動かしてもねじっても、カメラは固定される)
  • 4回連続押しするとピッチ・ロック・ヨーともにフォローになり通常のフォローモードになる(グリップの動きに合わせて、カメラが前後左右に傾斜及び回転する)
  • 5回連続押しは加速度センサーのキャリブレーションモード
  • 長押しはジャイロのキャリブレーションモード
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また、前述の通り背面液晶ディスプレイを利用し、本体のみで使用することができるよう、各種ボタンがカメラ部に配置されている。カメラの側面に上下ボタンとWi-Fi/撮影モード切替ボタン、そしてカメラ上部に録画/決定/カメラ電源ボタンだ。カメラの設定に関することはカメラ側面の上ボタンを長押しすることでメニューに入り設定できる。

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メニュー画面

メニューはカメラ設定と各種設定の2層構成になっている。操作は、上下ボタンで項目の移動、録画/決定ボタンで設定する仕組みだ。ただ、カメラ設定と各種設定の移動だけは、なぜか上下キーでどの項目も選択されていない状態にしてWi-Fiキーを押して移動するという少々ややこしい操作になっている。カメラ設定では録画モードやホワイトバランス、フリッカー抑制の周波数設定が行え、各種設定では言語設定やWi-Fiなどが行える。

なお、到着時は言語が簡体中国語に設定されているので、中国語を読めない方は早々に言語を変更した方が良いだろう。言語設定には英語のほかに日本語もあるが、日本語は一部に英語表記が残る状態なので注意したい。ちなみにメニューで設定できるのはあくまでカメラ部の設定で、ジンバルの設定は存在しない。また、メニュー操作時にジンバルとして駆動しているとモーターが暴れるので、スタビライズモードボタンを1回押してジンバルをオフにした上で設定しよう。

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記録用のmicroSDカードは、反対側側面に挿入口があるのだが、かなり奥まで挿入しなければならず、ピンセット等が必要になるほどだ。当然取り出し時もカードの吐き出しスプリングの反動力では手で摘めるところまで出てこない。これもピンセット等で取り出さなければならず苦労する。ここはぜひ改良してほしいところだ。

実写

記録モードは1080/60p、フリッカー抑制は60Hz、ホワイトバランスはオートに設定している。

非常にビビッドな色味かつエッジが強調された画作りだ。音声にはブラシレスモーターの駆動音がかなり入ってしまう。Osmoのように外部マイク端子はないので、音声は別収録したほうがいいだろう。

ROXORのカメラ部は残念ながら絞りやシャッタースピードといったマニュアル設定が一切ないので、日中の撮影は高速シャッターの入ったパラパラ感のある映像になってしまう。かつ、オートのアイリス・シャッター制御が怪しく、明るさがいきなり変化するショックがみられた。ジンバルも含め399ドルなのだから、あまり贅沢もいえないが。

ちなみにROXORもOsmo同様に4Kでの記録も行えるが、フレームレートが10fpsなので、事実上動きのある映像の表現には向かないだろう。また、SDカードへの録画フォーマットは、movコンテナでコーデックはiCatch AVCCというH.264形式の一種だ。筆者所有のEDIUS Pro 7 (Ver7.40.4884)で読み込むことができた。

スマートフォンアプリによる外部リモート

ROXORにはOsmo同様にスマートフォンアプリによる外部モニター/リモート機能がある。 アプリはAndroidとiOS対応版があり、いずれも説明書に記載されているQRコードからGoogle playストアもしくはApple App storeにアクセスしダウンロードする。Osmoと違い、あくまでカメラのリモートビューワー/コントローラーのアプリなので、ジンバル部の設定は何もない。

なお、今回のFilmpowerから直接発送されたROXORは日本国内の特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク(いわゆる技適マーク)がない。そのため、本レポートに際しても、実際のWi-Fi通信は行わず、アプリの機能紹介のみとしている。

Osmo単体ではできない自己再生に対応。さらにHDMI出力も

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ROXORにはOsmoにない優れた点として、自己再生機能がある。背面液晶があるので当然だが、現場で即プレイバックできるのはありがたい。さらに、カメラ部にあるMicro HDMIと液晶モニターを繋げば、多人数での現場プレビューもできる。残念なのはHDMI出力にOSDが表示されてしまう点だ。メニューも調べてみたが、残念ながら消す方法は見つからなかった。

総評

ROXORを使用してみて感じたのは、Osmoとは設計思想が違うということだ。Osmoはあくまでジンバル・カメラを一体として思考・設計されているが、ROXORはジンバルありきでそこにカメラをくっつけて一体化したという感じだ。その論にたどり着いたのが電源だ。グリップにある電源スイッチで電源を切ると、カメラの設定がオールリセットされてしまい困っていたところ、説明書を読むと、カメラの電源ボタンがあることに気がついた。実は録画ボタンは長押しするとカメラの電源ボタンになっていたのだ。

要するにグリップにある電源スイッチはバッテリーからジンバルとカメラへのいわばハードスイッチのようなもので、ここで入切すると、カメラ側はいわゆる強制電源断の状態になってしまう。つまり、グリップのスイッチを入れてジンバルとカメラに給電が開始され、録画ボタンを押すことで、カメラの電源をオンにして撮影する。電源を切る際も、先にカメラの録画ボタンを長押しして、カメラの電源を切り、グリップの電源スイッチで給電を切るというような使用をしなければいけないのだ。

やや抱き合わせ感の残るROXORだが、やはりNebulaを有するFilmpowerだけにジンバル部分は非常にこなれているというか、低価格だが基本を押さえた出来だと思う。カメラ部はもう少しいいものが搭載されてもいいのだが、値段を考えれば1080/60pが撮れるところで及第点ではないか。

ROXORは、これまでブラシレスモーターのジンバルに興味はあったが、価格や調整の難しさで敬遠してきた層には、第一歩の製品として、非常になじみやすい製品ではないだろうか。

WRITER PROFILE

黒田伴比古

報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。