txt:稲田出 構成:編集部

SDI入力とSDI/HDMIの2系統の出力を備え力強い味方MultiView 4

一つのモニターに複数の画面を表示する機器は、デジタルサイネージや中継車におけるスイッチャー入力の確認用のほか、スタジオなどでも各種ビデオ入力の素材確認で使用されている。特に最近は民生機のテレビモニターの性能も向上し、大画面の製品もリーズナブルな価格で、一つのモニターに複数の画面を表示する方向になりつつある。ピクチャーモニターを使用していた部分を、こうした方式での表示が一般的になってきた。

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4つの入力を1画面に4分割できるMultiView 4。写真はオプションのTeranex Mini Smart Panelを装着したもの

今回取り上げるブラックマジックデザインのMultiView 4は、主に放送やビデオ制作で使用されるように設計されており、4つのSDI入力とSDIおよびHDMIの2系統の出力を備えている。入力はSD、HD、UHDとなっており、自動検出で混在可能。出力はHDまたはUHDが選択可能なので、安価な民生用テレビモニターをディスプレイとして利用できるのが特長と言える。また、入力に対応した画面には任意のラベルと音声レベルメーターを2ch表示が可能だ。

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専用のユーティリティをインストールしたPCでMultiView 4の設定を行うことが可能。裏面のEthernetまたは写真のように前面のUSBコネクターでPCと接続する

入力と表示画面の位置やレベルメーターの表示、ラベルの文字は背面のEthernet、または正面にあるUSBとPCを接続して、専用のユーティリティをPCにインストールしたものを使用して設定が行える。また画面の位置とラベル文字設定以外は、本体のディップスイッチでの設定も可能となっている。なお、オプションのTeranex Mini Smart Panelを装着すれば、こうした設定をパネル面で行え、スタンドアローンで設定を頻繁に行う場合やラックに組んで結線を固定して使う場合など、状況に応じて様々な設定方法に対応している。

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オプションのTeranex Mini Smart Panelを装着したMultiView 4(写真左)とMultiView 4(写真右)

MultiView 4はTeranex Miniコンバーターシリーズと同じデザインとサイズを採用しているので、これらのコンバーターと一緒にラックマウントすることも可能。電源はTeranex Miniシリーズと同様にAC対応となっており、ACアダプターの設置場所を考慮する必要はなく、スマートな設置が可能だ。ただし、ACのみでDCには対応していないので、屋外でのマルチカメラ収録で使用する場合は不便なこともあるかもしれない。

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背面のコネクターパネル面は4つの入力にそれぞれループスルーのコネクターがあり、出力はSDIとHDMI。さらにEthernetやACのインレットが並んでいるため、かなり密集している

背面のコネクターパネル面は4つの入力にそれぞれループスルーのコネクターがあり、出力はSDIとHDMIを搭載。さらに、EthernetやACのインレットが並んでいるためかなり密集している。なお、各入力のループスルーはリクロック対応となっており、ケーブル長が長くなってしまう場合でもMultiView 4が間に入ることでケーブル長を稼ぐことができそうだ。特にUHDではHDよりも伝送路の有効長がかなり短くなるので、助かる場合も多いだろう。ループスルー出力にはリクロック回路が入っているので、終端する必要はないが、電源が入っていないとループスルー出力されないので注意したい。

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民生用のテレビモニターにMultiView 4の4分割画面を表示したところ。個々の画面下にあるラベル文字は任意に設定可能

実際に各入力にビデオ機器を接続して4分割表示された出力画面を見ると、長年コンバーターを世に送り出し、定評のあるメーカーだけに画像のクオリティがいい。近い将来ファームウェアアップデートにより、4分割だけでなくシングルでの出力(Soloモード)にも対応予定とのこと。ちなみにシングル出力に対応すると、4入力のセレクターとしても使用できるだろう。

そうなるとMultiView 4はTeranex Miniシリーズコンバーターと同様に税抜51,980円なのでお買い得感があるように思うが、Teranex Miniシリーズコンバーターは12G-SDIでUHD60pまで対応しているが、MultiView 4は6G-SDIなのでUHD30p対応となっており、それなりに違いはあるようだ。

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Teranex Mini Smart Panelを装着したMultiView 4では画面を確認しながら設定が行える

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本体だけでも出力フォーマットの設定やレベルメーターおよびラベルの表示設定、エンベデッドオーディオチャンネルの選択などの設定が可能

PCからの設定では音声レベルメーターのチャンネル選択やラベル表示の文字設定、ラベルの表示・非表示設定、画面の入力チャンネルアサインなどを行える。こうした設定のためのPCとのインターフェースが、すべて裏面のみであるとラックにマウントした状態で設定するのが大変だが、正面のUSBからも同様の設定が行えるので、ラックマウントしても、設定のためにラックの裏に回らなくても良い。同社の機材のほとんどはEthernet対応なので、こうした機器と組み合わせてラックマウントする場合はハブを使用してそれぞれの機器のIPアドレスに重複がないようにしておけば、機器が複数あってそれそれに対応したIPアドレスで設定したい機器を選択することが可能だ。

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MultiView 4を2台使って表示画面を増設することが可能

MultiView 4は4つの入力に対応しているが、それ以上の入力が必要な場合はMultiView 4を複数台使用することで4入力単位でさらに入力数を増やすことも可能だ。ただし、16入力のMultiViewがすでに税抜154,800円で発売されているので、MultiView 4が2台以上の入力が必要ならMultiView 16をはじめから導入したほうが良いだろう。そもそもMultiView 4は元々MultiView 16では入力数が多く、ラックマウント可能なモニターサイズに16分割の画面では一つ一つの画面が小さくなりすぎることから、MultiView 16より少ないチャンネル数を要望するユーザーに応えたかたちで開発されたものだという。

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16入力に対応したMultiView 16。これもEthernetまたはUSBで各種設定が行えるほか、パネル面で設定可能

同社のATEMスイッチャーもそうだが、他社のスイッチャーも標準でマルチ画面表示に対応している製品がほとんどだ。中継車やスタジオなどのマシンルームではスイッチャーのオペレーションルームとは別に、入力素材の画面確認が必要となり、このような機材が有用になるわけだ。同社は音声モニターやビデオルーターなどをすでに発売しており、今回のMultiView 4もそうした設備機器のラインナップの一つで、今まで高価だった設備機器もリーズナブルな価格で提供している。ただ、既存のスタジオ機器をリーズナブルな価格で提供するだけでなく、たとえばMultiView 4でいえばシングル出力の機能を備えることで、別の用途も開けるわけで、同社独自のユニークな機器の開発にも期待したい。

WRITER PROFILE

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。