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PXW-Z280/Z190の顔検出オートフォーカスはいかに?!

前回、PXW-Z280のインプレッションを書かせてもらったが、この時フォーカス性能に関して突っ込んだ検証が出来ずにいた。今回再度デモ機をお借りすることができたので、このオートフォーカス性能に絞って検証をしていきたいと思う。

4Kハンドヘルドカメラでの収録で問題なのは、フォーカスの確認をどのように行うのかという事で、カメラマンにとっては大きな問題であると思う。シビアな現場ではカメラのビューファインダーやLCDモニターでは4Kまでの解像度は無いため、外部4Kモニターへの出力という方法が最良なのかもしれない。しかしながら機動性を重要視するハンドヘルドカメラでは撮影内容にもよるがロケ現場で外部4Kモニターを使用してフォーカスを確認という現場はそう多くはないのではないだろうか。そうなるとある程度カメラのオートフォーカス機能を使うという事が重要になってくると感じる。

このところのSonyのカメラはオートフォーカス性能を大きく向上させてきている。2017年末に発売されたPXW-Z90、HXR-NX80からの性能アップが話題となったことはご存知の方も多いだろう。そして今回発売されたPXW-Z280はAF機能をさらに強化してきた。今回搭載されたAF機能は顔を検出する機能がより強化された。PXW-Z280/Z190には「顔優先AF」「顔限定AF」「顔登録機能」という3つのモードが搭載されている。今回はこれらについて検証していきたい。なお、今回のテストはZ280で行ったが、Sonyによると顔検出性能についてはZ280とZ190は同じとのことだ。

今回検証にあたっては実際の現場で想定されるであろう、今までのカメラではどこを優先してフォーカス位置を決定させるのか迷うようなシチュエーションを考えていくつかのパターンをPRONEWS編集部の協力のもと検証してみた。

■顔優先AF

顔優先AF機能は、人の顔を他のオブジェクトよりも優先させてフォーカスを合わせる機能である。番組取材やイベントなど人物の顔にフォーカスを合わせる事の多い現場では大変重宝する機能だ。人物の背景にコントラストの強い物が映り込んでいると今までのオートフォーカスではこの コントラストを頼りにフォーカスを合わせようとするため、人物がボケてしまうという事が発生していた。しかし本機に搭載されている顔優先モードでは人物を優先して選択できるので、4Kのシビアなフォーカスに頭を痛めていた撮影者にとっては心強い機能と言えるだろう。

通常のAFで撮影した時(OFF)と顔優先機能ONにした時の違い。

顔優先OFFのノーマルAFでは、ほぼ画面の中心部分のフォーカスを追っているが、顔優先ONの時には、画面中心部のチャートから徐々にカメラが引いてきて、女性のボケている顔が見えるとすぐ顔の認識が終了し、女性の顔にフォーカスがすっと移動する。今までのカメラでは到底できなかった芸当だ。

※顔認識の条件
実際に顔を認識する場合の条件として正面の顔以外ではどうなるのか検証してみた。

ご覧の様に横顔であればほぼ認識できるという結果になった。この場合特に女性など髪が目にかかっている場合は認識率が下がってしまう。横顔でカメラ側から目が認識できる状態であればカメラもしっかりと認識してくれる事がわかった。

※暗い環境下での認識率

コントラストを頼りにフォーカスを探す従来の方式では暗い環境では認識率が低かった。Z280は元々F12、2000lxと元々明るいため、暗い環境でも顔認識率が高いようだ。実際に部屋の照明をかなり落とした状態で顔認識が出来てしまうという優秀ぶりに驚いた。

■顔限定

人の顔を検知すると顔にフォーカスする。一時的に人の顔が検知できなくなった場合フォーカスはその位置に留まる。この顔限定機能は都度フォーカス位置が動いてしまうのを防いでくれる。

■顔登録機能

顔を複数名認識している時に、特定の人物にオレンジのカーソルを合わせて登録する事でその人の顔にフォーカスを合わせ続ける事ができる。

RECボタン脇にあるマルチセレクトボタンを使い、登録する人にカーソルを合わせセットすると、その人のみを追うようになる。インタビュー取材などではこの機能は非常に重宝するのではないだろうか。

■顔限定+顔登録

かなりカメラにとっては迷いやすいシチュエーションを考えてみた。以下の動画を見ていただければわかると思われるが、登録してある女性が手前にある障害物の裏側に隠れ、その後他の女性がいる中で、顔登録した女性が現れるという設定だ。

ご覧の通りちゃんと顔登録した女性を認識する。全てこのようにうまくいくとは限らないと思うが、なかなか健闘しているのではないだろうか。

最後に面白い機能をご紹介する。レンズ鏡筒側面部のスイッチ群の下にプッシュオートボタンがある。皆さんは既にご存知だと思うが、マニュアルフォーカス時に被写体にピントが合ってない時などにワンプッシュでAFでフォーカスを合わせるというボタンなのだが、それ以外にもZ280には役割が割り振られている。

どういう機能かというと、マニュアル操作時のAFとは真逆の機能で、AF時にこのボタンを押すと押している間だけマニュアルフォーカスになるという機能だ。この機能はアサインボタンに割り付けできるので、右手グリップのアサインボタンにアサインして使用することを想定しているという。オートフォーカスで収録している最中にマニュアルにしたいという時に使うボタンだ。

以前のカメラでは撮影中にオートフォーカスからマニュアルフォーカスにする場合、レンズ鏡筒の側面にあるスイッチを切り替えるか、フォーカスリングをスライドさせてマニュアルにするという選択しかなかった。これらの場合振動が付きまとうので撮影中にはなかなか触ることが出来ない。このボタンは正にそういう時に使う機能と考えてよい様だ。

例えば上記のようなシチュエーションを想定してみた。手前に花、奥に女性がいる構図で、手前の花にフォーカスを合わせてその後奥の女性にフォーカスを送る演出を行う場合、顔優先ONの状態で、このプッシュオートボタンを押すと、オートフォーカスは解除されマニュアルフォーカスになる。この状態でピントリングを使い花にフォーカスを合わせRECスタート。キリのよい所でプッシュオートボタンを離すと顔認識された女性にピントが送られる。この機能を使うことで滑らかなピン送りが可能となる。

最後に

いかがだっただろうか。Z280に加え、今秋に発売される弟分のPXW-Z190にもこれらの機能が搭載される。4K収録時のフォーカス問題をカメラに任せることが出来るというほどの高性能ぶりと言ってもよいのではないだろうか。これらの機能を有効に使うことで4K収録時でもピントの合った映像を収録することが出来るようになると思うので、ぜひ活用していただきたい。

WRITER PROFILE

猿田守一

企業、CM、スポーツ配信など広範囲な撮影を行っている。PRONEWSではInterBEE、NAB、IBCなどの展示会レポートを行った経験を持つ。