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FS7 IIユーザーからみた「Sony FX9」

2019年12月10日に発売されたSony「PXW-FX9」(以下:FX9)を紹介します。

筆者は2017年2月からのFS7 IIユーザーであり、映画「ディープロジック」などの映画撮影から、CM撮影などに使っています。FX9をFS7 IIユーザーの視点で気になるポイントを紹介していきます。

まず、FX9の主な特徴としては、フルサイズ6Kセンサーという部分ではないでしょうか?

ただし、記録は4Kまでという部分に注意してください。この6Kセンサーを採用したのは、ダウンサンプリングすることによって、画質の向上を狙うものです。

内部収録はXAVC-Iでは、FS7 II同様10bitですが、FX9を利用することによって、外部16bitのRAW収録ができます。

そして、FS7 IIを所有している筆者が個人的に一番注目しているのはDual Base ISOの800と4000という部分。FS7 IIではベース感度がISO2000であったため、明るい分には今までも内蔵のND、それだけで足りない場合は角型のNDなどで対応してきましたが、低照度の現場では苦労することがありました。

しかし今回はISO4000も選べることにより、暗い現場で高感度の設定にしたために起こるノイズが1絞り分抑えられるということになります。個人的に最も歓迎すべき改善点です。

センサーの大型化

最近フルサイズセンサーの機種が増えてきていますが、受光面が大きくなったことで、感度も上げやすくなったのでしょう。上記のノイズに対する対策としても、センサーのサイズという側面からも貢献しています。

また、同じ理由で、ラチチュードも広くなっています。ソニーの機種に関して言えば、ExmorからExmor Rに変わったことで、より多くの光を受けることが出来る構造になりました。

また、センサーサイズが大きくなったことによって、背景のボケを大きくすることができます。特に単焦点レンズなどで、絞り開放で撮ると、顕著に見て取れます。

今回、ボケを生かした作例を撮ってみました。

トーンに関して

LogはS-Log3のみとなり、FS7 IIなどに搭載されていたS-Log2は廃止されました。実際、10bit機ではS-Log2を選ぶメリットはないかと思うので順当かと思います。筆者も予算の関係でα7などと組み合わせて使う時は、8bit機のa7ではS-Log2で撮影。10bit機のFS7 IIではS-Log3で撮影して、α7のトーンに、情報量が多いFS7 IIの色を合わせてゆくワークフローに最終的には落ち着いていました。

S-Cinetoneは、CineAltaカメラ「VENICE」を開発した経験により作られた、人物描写を重視したルック。正直、FX9を使用する場面で、カスタムを利用する方がいらっしゃるのか疑問ではありますが、テストしてみました。

テスト撮影した動画のS-Gamut3.Cine/SLog3と、S-Gamut3/SLog3に関しては、撮影後Davinci Resolveでグレーディングしています。

Sonyが提供している3D LUT Slog3SGamut3.CineTOLC-709を当てました。その後、明るさ、コントラストを微調整。チャートのグレーが無彩色になる様に調整したものです。そのままではいずれもスキントーンが黄色に寄っているので、多少微調整をしたものも参考までにアップしました。

同じムービーでは続いてS-Cinetone、Rec.709の映像も収録しています。撮影時にグレーでホワイトバランスを取り、そのまま収録したものです。

収録順として

  1. S-Gamut3/SLog3
  2. S-Gamut3/SLog3(スキントーン補正)
  3. S-Gamut3.Cine/SLog3
  4. S-Gamut3.Cine/SLog3 (スキントーン補正)
  5. S-Cinetone
  6. Rec.709

となります。

スキントーンの補正量でいうと、Logに関してはS-Gamut3.Cine/SLog3の方が補正が少なくて済みました。

性能が向上したAF

FX9の特徴、つづいてはAF精度と速度です。ファストハイブリッドAFは、コントラストAFと位相差検出AFを同時に利用することによって、FS7 IIと同様の正確さと、一眼レフ同様のスピードを兼ね備えました。 画面内の、縦96%、横94%と、ほとんど画面全体と言っても良いほど広範囲に像面位相差検出センサーが配置されています。

顔認識AFの動作の様子がよく分かります。55mm f1.8の開放でもよく追従してくれました。100点満点とまではいきませんが、かなり使い勝手が良くなったかと思います。

AFアシスト機能で、AF作動中にフォーカスリングを操作すれば、いつでもMFが可能になります。これは、いざという時に嬉しい機能ですね。

ユーザーインターフェイス

全体的に改善されました。NDの操作性は、かなり向上しています。FS7 IIでは少し固めのダイヤルノブを回す必要がありましたが、ON OFFがボタンのみで済むようになりました。

また、ND Dial Clearに設定をすると、NDのON/OFFがND VARIABLEのダイヤル操作のみでできます。急にNDがクリアになって欲しくない、NDを薄くしていき1/4までいったらそこで止まってほしい場合などは、このND Dial Clearの設定をOFFにする事も出来ます。

LCDビューファーは、FS7 IIでは960×540ピクセルだったものが、1280×720ピクセルに上がり、フォーカスも分かりやすくなりました(画素数約1.8倍)。実際、今回の作例撮影では、4Kでの収録に耐えうるフォーカスの確認のしやすさでした。

FS7 II所有者としての気づきとしては、メニューセレクト、決定のダイヤルの選択肢が増えたこと。側面のボタンは小さくて使いやすいとは言い難いですが、前面のマルチファンクションダイヤルは、慣れると使いやすいと感じるでしょう。

グリップのリモート端子がUSB端子になって、抜け防止の措置が施されました

トータル的に奇を衒った部分が全くない、正常進化となっております。基礎体力が増したと言いますか。今までFS7 IIを使っていたユーザーは、すぐに違和感なく使う事が出来ると思います。

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編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。