今回借りたモデルには5インチベイ部分を利用した小物入れが標準でついていて便利

黎明期の救世主

4K映像がスマートフォンで撮影可能な時代。プロフェッショナルとアマチュアとの間には、絶対的な機材の差があったことは昔話になりつつあります。大きくて高価なカメラとレンズを駆使するスキル、高価な編集機を操ってマジカルな映像を作り出すスキルなどなど。

完成したエモーショナルな映像を見て「さすがプロフェッショナル!」だったわけですが、大きくて高価なカメラとレンズ、巨大な編集機であるが故に触れる人が限られた寡占だった業界も、ワークステーションの小型化・低価格化によるデスクトップビデオの隆盛、DSLRに端を発するハイクオリティ映像のコモディティ化の波に押され、純粋な撮影制作スキルとセンスでの勝負に様変わりしました。映像の民主化がDSLRやデスクトップビデオによって果たされた訳ですね。

その民主化の波を支えたのが自作派の手作りパソコン。機械いじりの好きな人が、己の要求を満たすパソコンがないから自分で作ろう、とマザーボードを買って、グラフィックボードを刺して、メモリを付けて、OSインストールして…と製作を試みていました。

しかし、PCのパーツには相性があり、スペック上は適合していても、実際には動作しない組み合わせが出てきます。そうなると、どちらかを活かしてどちらかを捨てざるを得ず、同じ機能で別メーカーの製品と買い換える必要がでてきます。

組み立ててからすぐにその不安定さがわかれば良いのですが、ちょっと仕事が進んだころにポコッと発生したりします。そうなると、仕事は止まるしトラブルシューティングに時間は奪われるし、大変極まりなくなってしまうのです。

そんなユーザーの苦しい声を聞いたドスパラを運営する株式会社サードウェーブが、ユーザーのニーズを良い具合に押さえた自社ブランドのPCをリリースし、「救世主!」「白馬の騎士!」とユーザーは大喝采で迎え、独立系クリエイターの名ブランドとして絶大な支持を受けました。

その後も徐々にバリエーションを増やし、3DCG向けや写真・動画編集を含むクリエイター向けワークステーション「raytrek(レイトレック)」がリリースされました。

「raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル」登場

raytrekシリーズの現在のラインナップ上での最高峰「ZGシリーズ」は、その時代ごとの量産安定最新のボード、CPU、GPUをバランス良く搭載しながらも、腰が抜けるくらいのリーズナブルな価格でリリースされており、筆者もいつもワクワクしながら見ていました。

「raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル」。前面には必要な端子が使いやすく並んでいます。ちゃんと光学式ドライブは健在

今回、「raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル」の試用機会に恵まれたので、ワクワクしながら触り倒しました。井上浩輝氏といえば、米国ナショナルジオグラフィック主催のコンテストにて日本人ではじめてネイチャー部門1位を獲得したり、北海道の動物や風景を撮影し大活躍されているすごい人ですよね。そんな方が監修されたモデルなら、かなり期待できます。

主な触り方として、やはり気になるのは動画性能なので、Blackmagic DesignのDaVinci Resolveを使って検証します。その前にスペックをみてみましょう。

スペック

CPUはIntel Core i9 10850K。基本性能は以下の通り。

  • 10コア20スレッドで動作する、ソケットLGA1200対応のデスクトップ向けCPU。基本クロックは3.6GHz、単コア最大クロックは5.2GHz、TDPは125W
  • 最速コアを特定し、最も重要なワークロードをそのコアに割り当てることで最適化する「ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー3.0」を搭載
RTX3080。極太なこの一枚から、ほとばしるパワーが発揮されます

GPUはNVIDIA GeForce RTX3080。当代で一番コストパフォーマンスに優れたGPUですね。筆者のメインマシンがGeForce1080Tiなので、理論上実に3倍近い演算能力の差があります。ちょっと楽しみですね。

コア
クロック

ブースト
クロック

CUDA
コア数

メモリ
クロック

メモリ量

メモリバス

メモリ
バンド幅

TDP
単位 MHz MHz MHz MB bit GB/s W
GTX 1080 Ti 1480 1582 3584 11000 11264 352 484.0 250
RTX 3080 1440 1710 8704 19000 10240 320 760 320

メモリは64GB DDR4。ストレージは2TB NVMe SSDです。raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルの特筆すべき点は、Thunderbolt 3を搭載している点。おかげで、大容量のRAID HDDを高速接続できます。動画はどうしても素材の量が増えてしまいます。そして、高速アクセスが必要です。

Thunderbolt 3!これが繋がることで、無限の可能性が開かれます。ディスプレイポートも3本搭載

SSDは高速ですが、容量とコストに難点があるため、どうしてもHDDに頼ります。HDDは単発ではSSDに勝てませんが、数を増やして並列に処理すると、結果的にストレージ接続のバンド幅いっぱいまでリードライトのスピードを上げることができます。

USB3.1接続などではどうしても転送速度で息切れしてしまいますが、Thunderbolt 3接続のRAIDだと全く心配いりません。動画編集向きPCと謳うのに、十二分なスペックと言えます。では、パフォーマンスチェックの前に筆者PCとスペックを比較してみましょう。

raytrek ZG(井上モデル) 林号
CPU Core i9 10850K
3.6GHz/Turbo Boost 5.2GHz/10-core 20-thread
Core i9-7900X
3.3GHz/Turbo Boost 4.3GHz/10-core 20-thread
メモリ 64GB DDR4 64GB DDR4
GPU RTX3080 GTX1080Ti
Storage 2TB NVMe SSD 2TB NVMe SSD
Thunderbolt端子 有り Thunderbolt 3 有り Thunderbolt 3

私のPCは2世代ほど前のスペックですが、構成としてraytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルのパフォーマンスを比較するのにバランスが良い感じです。

マザーボードは安定のパフォーマンスを発揮するASUSのPRIMEシリーズ。偶然ですが、林号も同じPRIMEシリーズ。安定のパフォーマンス、ASUSをチョイスしているのは、さすがです。

CPU冷却ファンの大きな事!これだけ大きければ冷却が間に合わない、というシチュエーションも少なそうです。冷却フィンの枚数の多さが、冷却効率に直結しますので、これだけあると頼もしい
エクステリアの美しさと、内部は高品質なパーツを惜しみなく配置していて、感心します

動画変換

筆者定番のベンチマーク用8Kショートビデオで、プロキシファイル作成と再生の安定度を見ました。安定度は主観によるものなので、ちょっと伝わりづらいかもですが…。まずは、8K H.265で撮影され素材をDNxHRの4K素材に変換する時間を計測。尺はまちまちながら、10クリップの変換です。

raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル:1分21秒
林号:2分3秒

raytrekの圧勝です。時間軸に圧縮された動画をフレームバイフレームに展開するには、CPUパワーこそが効くと聞きます。当モデルに搭載されたこのCPUは5.2GHzで20スレッドがぶんぶん廻っていました。林号はクロックで既に置いていかれ、なんかもう、張り合ってごめんなさいっという感じです。

動画再生

プロキシファイル作成後の再生に関してのレスポンスはraytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルが秀逸でした。キビキビと動きます。再生ボタンを押せばすぐにスタートし、フレームレートもグリーン表示で安定しています。ストップするときも同じです。止めたいときにピタッと止まります。筆者のPCでは、安定するまでに数秒かかります。シビアなタイミングを取る時に、見たい編集点がリアルタイムで走らないことが多々あります。ここもraytrekの快勝です。

    
快適に動いています。キビキビしていてすごく気持ちいい
※画像をクリックして拡大

ブラー書き出しテスト

DaVinci Resolveのタイムラインで、負荷が掛かる代表的なエフェクトであるブラーを3つ掛けて、ほんの少し色調整をした書き出しのテスト。

DHxHRのプロキシファイルを使い、24Pの素材をUHDサイズの1分尺で、全尺にブラー(ガウス)を掛けたタイムラインをYouTube 2160p書き出しプリセットで書き出す時間

raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル
書き出し速度:132fps
結果:10秒

林号
書き出し速度:45fps
結果:32秒

raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルが林号の3倍以上ものパフォーマンスを発揮しました。ちなみに、3つのパラメーターマックスのブラーノードをぶら下げても、リアルタイムでスムーズに再生しました。少し驚きました。

プロキシファイルを使わなかった場合

raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデル:1分21秒
林号:1分36秒

そこまで差は出ませんでした。これはH.265のように時間軸圧縮の元ファイルをイントラフレームに解凍するためには、CPU処理に依存するからです。raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルと林号でMAXのクロックに大きな差がなかったので、このような結果となりましたが、イントラフレームとなると、途端にCPUとGPUのパワーがブンブン唸りますので、大差がでます。

まとめ

惚れ惚れするくらい、シンプルに研ぎ済まされたケース

今回、短期間でしたが試用し、とても幸せでした。キビキビ、シャキシャキと動き、エクスプローラーでファイルを探すウインドウの開き方一つにも気持ちよさがありました。どんなときもパッと欲しいものを表示してくれる印象で、ストレスがなく、触っていてウキウキします。

正直、この価格でこのパフォーマンスはすごいなと思いました。これからハイパワーPCの購入を検討している方、そろそろマシンパワーの息切れを感じるクリエイターの方にraytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルを強くおすすめします。

え?予算が足りない?大丈夫、raytrek ZG 東京カメラ部10選 井上浩輝監修モデルはストレスフリーで創造力を加速してくれます。その加速力で、あっという間に元が取れると思いますよ!

WRITER PROFILE

林和哉

最新技術が好物でリアルタイムエンジンにゾッコン。Unity Technologies Japanの中の人。セミナー講師経験豊富。