Roninシリーズが更に進化した新しいカメラ「DJI Ronin 4D」

ドローンによりその名を有名にしたDJIは、一つ一つ確実にその技術を次の製品へと繋げて進化してきた。そして、ドローンからジンバルへと受け継がれた技術は、Roninシリーズへと進化した。誰でも簡単に安定した移動ショットの撮影が可能になり、映像表現の可能性が大きく広がった。

そのDJIから登場した「Ronin 4D」は、DJIのこれまでの歴史の良いところを全部詰め込み、さらに新しい技術も取り込んだ革新的なカメラだ。

カメラ重量はレンズなしで4.6kgと軽い

カメラ内部は今の流行をオールイン

まずはファーストインプレッション。独特なフォルムをしたRonin 4Dは、ジンバル・レンズ部分とカメラ収録部分の前後2パートに分けられる。初めて見た時は、前後バランスの悪さを感じたが、そもそも三脚に搭載することをメインに考えられていないのだろう。ジンバル・レンズ部分は、センサーとレンズマウントがジンバルと一体型だ。しかもこのセンサーがフルサイズセンサーのため、高画質・高感度を可能にしており、解像度は最大6008×3168。感度はデュアルISOを搭載し、ISO800/4000の2つが基準ISOとなっている(X9-8Kの場合)。さらに9ストップの内蔵NDも搭載。またコーデックも、ProPres RAWを含んだProResシリーズで収録され、最近流行りのスペックを網羅している。

また、マウントはDJI専用のDLマウント、MマウントやEマウントが用意されており、自分でマウントごと交換できるのも魅力の一つだ。DJIのレンズを持っていなくても、Eマウントレンズの資産をそのまま導入できるため、オプションにはなるが、Eマウントを選択できる点はとてもありがたい。

3つのマウントが用意されており、Eマウントはユーザーも多く導入には最適だ
フルサイズセンサー搭載のため、狭い屋内でもワイドに撮れることはうれしい
レンズ交換時に、間違えてマウント交換のノブを触らないように、レンズ交換時に使用するノブに印をつけると安心だ

そして今回、レンズ選びに悩まされた。フルサイズ対応・高画質・そして2kg以内という条件を考慮すると、ZEISSのフルサイズ対応短焦点レンズのBatisシリーズが最もRonin 4Dと相性がいいと考えた。Batisの解像感、ボケ感、そしてコーティングとその性能はスチルレンズの中でも高性能で、素晴らしい画質を持ったシリーズだ。さらに驚きなのが、各レンズの重量が330g~614gと驚きの軽さだ。2kgのペイロードに対してこの軽さのため、多少雑にバランスをとっても、ジンバルのパワーで調整もしてくれるのでとても使いやすい。Batisシリーズは、18mm/25mm/40mm/85mm/135mmの5本シリーズで、ジンバルの使用できるいいレンジは18mm、25m、そして40mmだ。さらに電子接点を持ち、ソニー製カメラのAF設計を考慮されているため、AFも問題がなく動作する。現段階でRonin 4Dとのベストマッチレンズだろう。

ZEISSのBatisシリーズはRonin 4Dにはベストマッチだろう。軽量かつ高画質だ

5つのセンサーによるZ軸の縦揺れ抑制

今回のRonin 4Dの大きな特徴の一つである4軸によるカメラ制御。この4つ目にあたるZ軸の存在が、このカメラの存在を際立たせている。このZ軸は、アーム内にスプリングが入っており、スプリングの強度の調整が簡単に行える。カメラ上部にあるノブで調整を行い、ステディカムのアーム調整のような感覚のため、直感的でわかりやすい。

また、Z軸のさらに優れた点は、5つのセンサー(前方・下方・ToF・IMU・気圧計)すべてがZ軸専用に用意されており、センサーの組み合わせによりモーターが稼働し、抑制を行っていることだ。ステディカムやTILTAのFLOATのように、スプリングのみで動いているわけではなく、様々な揺れに対し各センサーが連動して検知しているため、非常に高い精度で安定した動きになっている。筆者もRS2ユーザーとして縦揺れを抑制するために、ステディカムやTILTAのFLOATを導入し、いかにしてRS2の縦揺れを安定させられるか、試行錯誤をして来た経緯があった。

Z軸をコントロールするためにある、5つのセンサーのうちの1つ、前方ステレオセンサー
RS2を縦揺れをしないために使用したTILTA FLOATシステム。シネマレンズ使用時はおすすめ

ステディカムやFLOATは、導入してすぐにオペレーションができるほど簡単ではなく、やはり習得には時間が必要である。また、バランス調整などセットアップを素早くするにも、経験値が必要になるなど、敷居の高さは否めない。しかし、得られる映像のクオリティの高さは圧倒的であり、現場に常にオペレーターがいてくれれば…とも思ってしまう。

そこをなんとかすべく、Roninシリーズで工夫をして来たわけだが、Ronin 4Dでは練習なしでもある程度安定した映像が撮れることが非常に大きい。さらに言えば、カメラ1台で事足りるので、省スペースでの機動力はRonin 4Dは優れている。

実際に、Roninシリーズと同じ感覚で、ゆっくりした歩きのシーンを撮影したところ、1回目でバッチリなテイクが撮影できたのである。もちろん、ゆっくりとした歩きではあるが、Z軸の安定性は一度使ったら離れられないだろう。歩くスピードを上げていくほど当然揺れの抑制は厳しくなるが、これまでのRoninシリーズユーザーの足運びであれば、前方への移動では相当縦揺れは消える!走るとさすがに揺れるかな…と思ったが、多少気になるもののRS2と比べれば非常に抑えられている。

また、オペレーションが少し難しい後方へのひっぱりのテイクをしたところ、前歩きで歩いたテイクと同程度の揺れであり、非常に安定した画を撮影できた。実際は後ろ歩きの方が揺れは激しいはずだが、センサーによる制御も相まって、縦揺れはかなり抑制されているのだろう。

このようにこれまでにない縦揺れ抑制の機能であるZ軸だが、かなり安定した映像が撮れることがわかった。ただし、重要なのはRonin 4Dの最大積載量が2kgということだ。シネマレンズを使用する場合は当然ステディカムや大型のジンバルを必要とするため、現段階のスチルレンズ運用に限定すれば、Ronin 4Dは相当使えると感じる。

2kg以内のレンズという条件はあるものの、スチルレンズ運用ではRonin 4Dの安定性は抜群だ

LiDARフォーカスシステム

Ronin 4Dの最も驚かされるシステムが、LiDARフォーカスシステムだ。赤外線による被写体との測距システムは、CMや映画撮影においては当然の様に使用されており、ハイエンドな撮影現場で使用されるものだ。今回搭載されたLiDARシステムは、赤外線で計測した被写体の位置情報を元に、モニター上に俯瞰からの映像で視覚的に表示され、正確なフォーカシングを行えるアシスト機能である。現在のフォーカスが被写体のどこにあるか、が一目瞭然のため、マニュアルフォーカスの経験が浅いスタッフでも安心してフォーカシングを行える機能だ。

また、この測距を元にAF機能や顔認識機能も当然ながら活用ができるため、その時々の撮影状況に合わせて、コントロールの方法を選択できるのである。また、レンズにフォーカスギアを取り付ければMFレンズでもAFを行うことができるなど、フォーカシングに関してのアシスト機能が充実している。さらに付け加えると、Roninで搭載済みの、アクティブトラッキング機能も装備されているため、常に被写体をフレーム内にとどめ、なおかつ正確なフォーカシングを実現してくれるなど、革新的な機能だ。

ジンバル部分の上に取り付けるLiDARシステム。軽量でジンバルに影響が少ない

実際に使用した第一印象は、絶対的な安心感だった。ピーキングやフォーカスマグで確認していたフォーカスが、視覚化された俯瞰映像になったことで、今、どこに、フォーカスが来ているのかはっきりわかり、安心してフレーミングに集中できる。被写界深度が浅い場合、欲しいところに来ているのかが微妙に分からない時があるが、LiDARであれば被写体の奥行きが判断できるので、不安が一切なく、精度も非常に高い。現場でアシスタントに「フォーカス見ておいて」とお願いしても、このLiDARを見ていてくれば安心である。

モニターで視覚化された測距情報。誰でもマニュアルフォーカスをオペレーションできるだろう
ピーキングも同時に表示できるため、より正確なフォーカシングを実現

ただし、一つ注意点がある。この高精度なフォーカスを実現しているのは、レンズキャリブレーションを正確に行っているからだ。赤外線による測距と実際のレンズの焦点を合わせて行うのだが…うまく成功するのに時間がかかった。その理由は明白で、室内でキャリブレーションを行った際、部屋が広くないため、測距情報とレンズの実測値がマッチしなかったのである。家屋が狭い日本の室内ではこのINF設定がなかなか難しいらしく、キャリブレーションは屋外で行うのがいい。ちょっとでもキャリブレーションがズレるときちんとフォーカスが来ないので、結果的に従来のフォーカスピーキングに頼るほかなくなってしまうので、是非気をつけて頂きたい。一度設定してキャリブレーションは記録して残すことが出来るので、自ら記録の削除やファクトリーリセットを行わない限り安心である。

特に気をつけたいのが、カメラをレンタルする場合だ。状況によっては、午後の遅い時間に機材のピックアップをし、夕方から機材チェックになってしまうと、屋外でのキャリブレーションが厳しくなるため、機材準備の際は日が暮れる前に、まずキャリブレーションを屋外で行うのがいいだろう。

    
顔認識もあり、トラッキングもあり、フォーカスを逆外せないくらいアシスト機能が熱い
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6kmも飛ぶ、ケーブルレスワイヤレストランスミッター

ドローン技術の一つに、映像のワイヤレス伝送が挙げられる。その技術がRonin 4Dにもいかんなく搭載されており、オプションとしてカメラ本体後部に取り付ける4D ワイヤレストランスミッターがあるのだ。しかも驚きなのが、その距離。遮蔽物無しで、6km(ただし日本国内では4km)!!そのサイズ感は特に大きいアクセサリーでもなく、カメラの大きさにマッチした2cm厚のバックパックだ。しかもケーブルレスで、SDIやHDMIも不要で、ワイヤレストランスミッターをわざわざ用意することもなく、トランスミッター用の電源も不要。これで3km近く映像が飛ぶ。DJIの伝送システムの強みを詰め込んだ1台である。

そして、カメラアクセサリーである、タッチパネル式の高輝度遠隔モニターの存在も大きい。SDI入力、HDMI入力があるモニターだが、ワイヤレスレシーバー内蔵のため、こちらもケーブルレスでカメラの信号がほぼ遅延なくモニタリングが可能なのである。「ほぼ」と書いたのは、4km離れてテストを行っていないからわからないだけで、実際のMAX30m程度しかカメラと離れない現場では、遅延は全く感じられなかった。

さらに言えば、カメラのメニュー設定の変更やLiDARシステムなどのフォーカスアシスト、さらにフォーカスコントロールまでも行えるのである!Ronin 4Dのサイドグリップがそのままモニターの左右に取り付けられるため、カメラをオペレーションしている様にレンズコントロールが出来るので、カメラマンはオペレーションに集中をし、モニタリング兼フォーカシングをアシスタントが可能なのだ。

確かに、一人でなんでも出来てしまうカメラではあるが、カメラマンはやはり移動ショット時は安定して動くことに注力をすべきだと感じている。いくら安定するとは言え、足運びは何よりも大切であり、逆に言えば、足運びに集中をさせるために、AF機能が優秀であったり、モニタリング性能が高いのである。そのためにもフォーカスはアシスタントに託すべきだろう。その際、モニターにサイドグリップをつけてしまうと、カメラにサイドグリップがなくなりトップハンドルだけになるため、サイドグリップは1セット多めに用意するのがオススメだ。

高輝度遠隔モニターで、サイドハンドルをつければフォーカスやカメラ設定までも行える
モニター裏にはSDI/HDMI出力がある。しかし、クリーン出力がないため、改善してほしいところ

そしてこのサイドグリップの形状が、これまでにない程に持ちやすい。丸い形状ではなく棒状のため、これまでのカメラアクセサリーとしてのグリップの延長のイメージで使用できるだけでなく、ボタン配置が素晴らしい。右手用グリップには、RECボタンやフォーカスノブがあり、しっかり握りながら親指と人差し指でフォーカスノブの微妙なコントロールをするわけだが、実際のオペレーション時の指の配置がうまくRECボタンに触らない様に出来ており、REC中に間違えて押してしまうことがない形状なのだ。

このように、ジンバルのリセンターボタンや左手グリップのアサインボタンなど、各ボタンが必要に応じていい場所に配置されているのは、とても印象が良い。数多くのフィードバックがなければ実現しなかったであろうこのグリップは、とても使いやすかった。また、サイドグリップの取り付け角度をクリックではなく、任意の場所で固定出来るので、オペレーターの姿勢に合わせて細かな微調整を簡単に出来ることもカメラマンには嬉しい配慮である。

サイドグリップのボタン配置は素晴らしいが、親指をひっかけられないので、手が休まらない

ただし、親指がちょうどグリップに引っかからない作りになっており、軽く握って休ませたくても休むことが出来ないのは改善して欲しいポイントでもある。オペレーション時はかなり集中して両グリップを握ることになるため、撮影の間のカメラを持ったままの休息時に、手が休める仕様は今後望まれるポイントだろう。

そしてさらに驚くポイントが、カメラとの繋がりの速さだ。高輝度遠隔モニターの電源をつけた状態でカメラを起動すると、カメラのモニターが表示される前に、高輝度遠隔モニターにすぐに繋がるほど、表示を「待たせない」モニターなのである。これまでのトランスミッターでは、画が繋がるまで待たなければならなかったが、このモニターは瞬時に繋がるため、「繋がるかな…」という不安が一切なく、現場が止まらないのは大きな点だ。トランスミッター事情で現場待ちはよくあることだが、Ronin 4Dでは止まらない優れたカメラと言える。

ジンバル機能だけじゃない!その画質も素晴らしい

そしてなんといっても気になるのは、その画質だ。フルサイズという大きさのセンサーが捉える画は「シネマティックイメージング技術」と呼ばれる、新しいDJIの画質処理によって、より美しく描き出される。具体的にRonin 4Dには、新しく設計されたフルサイズセンサーカメラZenmuse X9を搭載し、DJI最新の映像処理システムCineCore 3.0に対応しているそうだ。このCoreはDJIが自社開発したチップを使用しており、極めてレベルの高い計算能力を発揮することが可能で、Apple ProRes RAW、ProRes 422 HQ、H.264動画の内部収録を実現している。

今回使用したX9-6Kでは4K/120fpsの動画撮影にも対応し、公表のダイナミックレンジも14+ストップとなっているとなれば、スペック上申し分のない仕上がりになっていると言っていい。今回は使用できなかったが、X9-8Kのモデルでは、8K素材の4Kクロップ使用においても、ネイティブ4Kに肉薄する画質を保証している。デジタルシネマカメラの市場において、もちろん様々なカメラがその画質について多くのこだわりを形にしてきたが、DJI Ronin 4Dも、そのジンバル機能以上に画質には相当な自信が伺える。

我々のテスト撮影では、先述のとおりEマウントの単焦点レンズ、ZEISSのBatis25mmと40mmを使用した。確かにレンズの切れ味も素晴らしいのだが、今回の撮影素材をみて実際に感じたことは、DJIが実現する画質の美しさだ。撮影はProRes RAWで行い、現像をDJIのLogであるD-Logを、今回特別にDJIから用意してもらったLUTで画を整えた。ただそれだけで、美しいと思った。カメラ自体のコストも考えても、かなりのパフォーマンスであると言える。

    
14+ストップの諧調を持つRonin 4D。シネマカメラとしてのクオリティを担保している
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上図にLUTをかけたもの。今回の撮影は6K60pで行い、解像度は6008×2512の2.39:1で行った
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そしてデュアルISO仕様のため、高ISOによる暗部の撮影もお手の物だ。X9-6KはISO800&5000の2つの基準感度を持っているため、どんな照度の低い被写体でも、そのディティールをしっかりと「捉える」ことが可能だ。実際に真夜中のテストシーンにおいては、スペック通りといってもいい画を得ることができた。

とにもかくにも、画質に関してもユーザーの期待を裏切らない、てんこ盛りの一台に仕上がっている。すでに数々のデモリールが発表になっているので、あまり美辞麗句を並べる必要もないだろう。是非DJIの新しい「シネマティックイメージング技術」の力を実感してもらえればと思う。

    
デュアルISOは高感度でISO5000が基準なので、暗所でも強い。撮影では街頭のみで行った
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CG合成においても最高の一台

今回はProRes RAWで収録したことで、ポストプロダクションにおいてもほぼ完璧で理想的な編集ワークフローを得ることができた。RAWということもあって、グレーディングにも多くの自由度がある。カメラにおける収録も高速アクセス可能な専用メディアも用意され、あらゆる面で隙の無いシステムであると思う。

そして実はこのシステムが更に効率化させた作業がある。それがCG合成だ。そう、Ronin 4Dで撮影した映像素材はCGとのマッチムーブに最適なのだ。

そもそもCG合成のためのカメラトラッキングとは、撮影時と同じカメラの動きを、パソコン内の3D空間に再現する工程である。それにより3DモデリングCGを撮影現場にあたかも存在するかのように配置し、実写と合成することが可能になる。つまりこのトラッキングをいかに「性格で精密」に行えるかがCG合成のカギになる。

    
Ronin 4Dの素材は、トラッキングが効率的に行えるのでCG合成にとても向いてる
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動視点の動きのあるカットを合成する際に問題になるのが「スタビライズ」だ。ジンバルなどを使用しても、動きがある素材は、どうしてもポストプロダクションでスタビライズを必要とすることが多い。最近では簡単に手ブレを編集で補正することができるようになったため、撮影素材に多少の手振れがあっても簡単に修正が可能だ。

しかし実はこのスタビライズをすると、トラッキングの精度が一気に落ちてしまうのだ。多くのトラッキングツールでは撮影で使用したカメラのセンサーサイズや、レンズのミリ数などを入力し、映像解析によってカメラの動きを再現する。ところが疑似的に映像を補正してしまうスタビライズは、この映像解析に当然悪影響を及ぼしてしまうことになる。

スタビライズを行うことでトラッキングで精度が得られなくなると、「トライアンドエラー」を繰り返し行う必要がでてきて、完璧なマッチムーブまで手作業が必要になることも多いのだ。CGチームにとっては、この工程が重荷になることがよくある。

トラッキングの様子。スタビライズをかけずにトラッキングを行えるので、高い精度の結果を得ることができる

つまり、より精度の高いCG合成をする素材は、基本的にスタビライズをかけないことを前提にした方がいいだろう。撮影素材そのものが、スムーズになカメラワークであれば、素材そのものをトラッキングにかけ、短時間で高い結果を得ることができる。Ronin 4Dは従来のジンバルの3軸に加え、縦揺れ軸も加わった4軸の手振れを物理的に抑制することが可能だ。手ブレを一切気にせず、動視点のカメラワークを思いのまま行うことができるとなれば、CG合成の礎となるトラッキングが効率的に行え、大切なクリエイティブに集中する時間を増やすことができるということだ。

今回のテスト撮影でも、約1分という「上下に動きつつ、回り込む」というロングカットにおいても、素材そのものをトラッキングにかけることができたので、短時間でかなり精度の高いトラッキング結果を得ることができた。

※今回、CG制作においては、精鋭集団であるfinittoの遠藤様にいろいろとアドバイスをいただきました。またトラッキングの作業も併せてご協力いただき、心から感謝したく、この場にて御礼申し上げます

まだ見ぬ、新しい映像表現へ

Ronin 4Dは恐るべき可能性を秘めた一台だ。ミュージックビデオ、シネマ、テレビ、あらゆる分野で活躍することは間違いない。あのドローンが一気に世に広まったと同じように、世界中の多くのクリエイターがこのカメラを必携することになるだろう。4軸という完璧なジンバル機能だけでなく、フルサイズを活かした画質、そして驚愕のフォーカスコントール、さらにはドローン技術で培った映像転送技術など、DJIの技術が全てつまった一台に仕上がっている。

DJIの担当者が打ち合わせの際に言っていた「コストやマンパワーがなくても、ハリウッドを超える撮影を誰もが挑戦できるようにしたい」という言葉がとても印象的だった。まだ見ぬ、新しい映像表現をこの一台が実現してくれるに違いない。

WRITER PROFILE

江夏由洋

デジタルシネマクリエーター。8K/4Kの映像制作を多く手掛け、最先端の技術を探求。兄弟でクリエイティブカンパニー・マリモレコーズを牽引する。