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最終日 戦い終わって…

エキシビジョン最終日は2時間早く、16時で終了。もっとも、午前中から早くも終戦モードが漂い始めるのは毎年のことだ。エキシビジョン初日から3日目まで午前版と午後版が配られているTV TECHNOLOGY誌のNAB DAYLY NEWSも、最終日は配られない。展示時間も短い最終日は、来場者の出足も遅く、人数も少ない。ラスベガス・マッカラン国際空港は帰宅ラッシュだったりもするのが実情だ。

最終日の取材は気をつけないと、来場者が集まらなくてデモがキャンセルになったり、1コマブースなどは既に撤収した後だったりする。幸い撤収していなかったとしても、落とし穴が待ち受ける。来場者も少ない最終日は、話したりなくてウズウズしているブースも。話し込んでいるうちに他のブースが撤収しはじめるなんてことも…。とにかく時間との勝負なのだ。

Adobe Systems – Premiere Pro CS3でXDCAM EXのネイティブ編集をサポート

Adobe Systemsは、Adobe Creative Suite 3 Production Premiumをはじめとするプロフェッショナルビデオ製品をデモした。テープレスワークフローへの取り組みとしては、2007年9月にAdobe Premiere Pro CS3でのPanasonic P2カメラ フォーマットをサポートしたが、今回のNAB Showに合わせて、SONY XDCAM EXカメラフォーマットにネイティブで対応したことを明らかにした。

帯へのFlash Video配信に向けたアピールをしてきたAdobeだが、フラッシュメモリー記録型カメラとして注目を集めているPanasonic P2HSカメラレコーダーとSONY XDCAM EXのサポートをすることにより、 放送分野でのワークフロー改善にも引き続き取り組む姿勢を示したと言えそうだ。

Avid – ノンリニア編集製品の新ラインアップと価格を発表

SONY、Panasonic、HPの各ブースのパートナーコーナーで、新製品としてAvid DNA入出力デバイスNitris DXとAvid Mojo DXを投入したAvid Technology(写真はHPブース)。この製品公開を受けて、アビッドテクノロジーは、日本におけるプロフェッショナルデジタルビデオ編集システム製品の新ラインアップを発表し、第2四半期から発売すると明らかにした。

Media Composer、Symphonyは、Mac OS X LeopardとWindows XP/Vistaをサポートし、NewsCutterでWindows XP/Vistaをサポートする。

各製品の価格は、Media Composerソフトウェアは312,900円、HD/SD SDI入出力をサポートするMojo DXハードウェアとMedia Composerソフトウェアを組み合わせたMedia Composer Mojo DXが1,047,900円、ポストプロダクションやフル装備の編集室へ。

デジタル/アナログ入出力とAvid DNxHDエンコード/デコードをサポートするハードウェアNitris DXに、Media Composerソフトウェアとストレージ加えたターンキーシステムのMedia Composer Nitris DXが4,179,000円?。

SymphonyソフトウェアとNitris DX、ストレージを組み合わせ、MacとWindowsの両システムに対応したターンキーシステムSymphony Nitris DXが7,854,000?。

CAVISION – シネアクセサリーMatte Boxをデモ

Cavision Enterpriseは、シネアクセサリーMatte boxesのラインアップを出展。ガラスケースの上には5″ x 5″ Matte BoxのMB513H-2, 5″ x 5″ Matte Boxがデモ用に置かれていた。


FUJIFILM – P2カードの供給を開始を発表、今夏16GB・32GBを投入

富士フイルムは、PanasonicのP2互換カードを発売することを決定した。ブースでPanasonic P2カメラレコーダーとともに、16GB・32GB・64GBのP2カードを展示したほか、Panasonicブースのパートナーコーナーにも3種類のカードラインアップを掲示した。16GBと32GBのメディアを初夏に先行投入し、64GBメディアを晩秋に投入するという。価格は未定。


JVC – ProHD 200カメラシリーズ専用のHDD/SDHC記録ユニットを発表。

JVCは、HDVカメラProHD 200シリーズ用のレコーディングユニットMR-HD200を発表した。ブースでは、ProHD 200のバッテリー部に装着したMR-HD200のモックアップを公開した。

m2tフォーマットまたはmovフォーマットのネイティブファイルとして、HDD/SDHCカードにテープと同時に収録できる。HDD容量は100GBで、QuickTimeファイルの場合で10時間の収録が可能。32GBのSDHCカードを使用した場合では、32GBで1.5時間の収録時間となる。価格は未定で、第4四半期に発売する。

VOCAS – 5.65インチ角フィルタ5枚に対応したマットボックスMB-450を出展

VOCASは、5.65インチ角フィルタに対応したマットボックスMB-450を、RED Digital Cinema製Red Oneカメラに装着してデモした。

MB-450は、5.65インチ角フィルタ3枚をセットでき、2枚が回転可能で、1枚がチルト可能なマットボックス。オプションでフィルタを5枚まで装着することができる。上部と左右のフラッグ、19mmレールサポートを加えた場合で、5345ドルとなる


Schneider Optics – SONY XDCAM EXに対応したCenturyレンズアクセサリーキットをデモ

Schneider Opticsは、SONY XDCAM EX PMW-EX1に対応したCenturyプロシリーズレンズコンバータを出展した。

デモを行ったレンズコンバータは、0.75倍の.75X HD ワイドアングルコンバータだが、PMW-EX1対応のプロシリーズには、0.6倍の.6X HD ワイドアングルコンバータ、魚眼のFisheye HDアダプタ、対角で視界180度を実現するXtreme HD Fisheye、1.6倍の1.6X HDテレコンバータ、マクロズームアタッチメントのAchromatic Dioptersがある。


Canon – HDV XLシリーズの新製品XL H1S、XL H1Aを初公開

先日のレポートと重なるが、キヤノンは、HDV XLシリーズの新製品として、XL H1S、XL H1Aの2機種を出展した。

新製品は、レンズ操作系を改善。マニュアル絞りリングやズーム操作中のマニュアルフォーカス操作に対応し、絞り込み制限も無しへと変更した。

マイク入力系の取り扱いも変更。2系統のXLRは従来通りだが、XLRマイクとXLRライン、フロントマイクとXLRラインの同時記録を可能にした。

さらに、マイクまたはラインいずれか同一入力の場合に、両チャンネルのオートレベルコントロールを独立して設定可能とした。XL H1Sはエンベデッドオーディオ/TCの取り扱いが可能で、GenLockやTC入出力も可能。XL H1Aでは、これらの機能を省いた。XL H1Sは5月中旬に95万円で、XL H1Aは6月下旬に70万円で発売する。


FOR-A – メディアマネジメントシステム関連の新製品を初公開

FOR-A(朋栄)は、InterBEE2007で発表したメディアマネジメントシステムのコンセプト紹介と、コンバータの新製品として、MXFファイルとベースバンド信号の相互変換が可能なハードウェアのベースバンドコンバータMBP-100SX、MXFファイルのラップ/アンラップ、相互変換を行うソフトウェアファイルコンバータのMCS-100Mを初公開した。

MBP-100SXは、SONYのXDCAMフォーマットとベースバンドの相互変換が可能で、ブースでは19台をビデオサーバクライアント端末として使用してデモした。MCS-100Mは、メタデータを変換したり追加したりする際に、MXFファイルのラップ/アンラップを行うことができる。変換時にロゴジェネレータ、レベル補正、フレームレート変換といった映像プロセス処理も可能。


IDX System Technology – ビデオカメラ搭載用の次世代LEDライトX5-Liteをデモ

IDX System Technologyは、ビデオカメラ搭載用の次世代LEDライトX5-Liteを展示した。X5-Liteは、5600K・50Wハロゲンライトに相当する小型のLEDライト。入力電圧は11?17Vで、消費電力は最大13W。照射角度は45度。写真はオプションのFour-leaf barn door X3-BDを装着している。

池上通信機&東芝 – 出荷前最終段階のテープレスソリューションGFシリーズを出展

池上通信機は、昨年のNAB 2007で発表した次世代テープレスソリューションGFシリーズを、出荷前最終段階の実機を使用してデモを行った。

MXFファイルフォーマットによるMPEG-2 Long-GOP 50MbpsまたはI frame 100Mbpsの圧縮方式を採用したフラッシュメモリ記録テープレスカメラGFCAM HDS-V10と、16GB・32GB・64GBのフラッシュメモリパックGFPAKのラインアップを展示したほか、VTRライクな操作性とテープレスならではの機能性をフラッシュメモリレコーダGFSTATIONを紹介した。

同時に、フラッシュメモリポータブルレコーダGFSTATION PORTABLEと、フラッシュメモリプレーヤーGFPLAYERもモックアップで参考出展した。2製品は年末発売を予定している。

池上通信機と共同開発をしてきた東芝も、ブースでGFシリーズによるテープレスワークフローをアピールした。


SONY – PMW-EX3の筺体とレンズ部分

XDCAM EXカムコーダーの新商品「PMW-EX3」。現行のハンディ型であるPMW-EX1に比べて、一番の大きな違いは、レンズマウント方式でレンズ交換も可能になったということだろう。

会場では実際にフジノンレンズが装着されていた。正式発表時期は未定(夏ぐらいか?)だが、気になる声が多かったのでソニーさんにお願いしてそのレンズ部分と筺体部分を切り離してもらった!

HITACHI

日立国際電気ではHD化とテープレス化が急速に進行しつつあり、従来のテープシステムからのリプレース需要が高まりつつあることをうけて、フルデジタル・マルチスタンダードHDカメラ「SK-HD1000ドッカブルシステム」を紹介。

SK-HD1000は、デジタルトライアックス、光アダプター、P2カードアダプター、ワイアレスなど各種用意されている。

P2カードを採用した部分で注目されているが注目すべきは、用途に応じてのシステム構築が可能なことだろう。

その他のブース

InterBEE以上規模の展示会を1日で取材して、4日間で4つの展示会を回るようなNAB取材は、トライアスロンならぬクアッドアスロンみたいなもので、毎年来るたびに、これだけ広い会場をわずか4日で取材するというのは本当にキツイと思う。

それでも、「Take care! See you again next year!」なんて声が聞こえ始め、終戦モードでブースの片付けなどが始まり出すと寂しい気持ちになる。取材スタッフたちは10年間NABに通ってきた。なんだかんだいってNABが好きなのかもしれない。

ある日突然参加したブースが時代に風穴をあけ大きな時代の流れを作ることがある。その現場に立ち会えることを心から喜びたい。映像が好きな人、そして映像に関わる人にはぜひこの展示会に参加してほしい。

来年はどんなNABになるだろう?

そう、”NAB2009“はすでに始まっているのだ!