登場からまもなく10年のP2P技術が、増え続けるサーバ負荷を減らす

コンテンツ配信サービスでは、再度P2Pネットワークにも焦点が当たり始めている。展示会場では「P2Pネットワーク」コーナーがそれだ。

2001年初頭に米国ブロードバンドビジネス、ストリーミングビジネスが活性化したときに、本格的に動き出したP2Pビジネス。

エンロンやアットホームの破綻で、あっという間にブロードバンドバブルが弾けると同時にP2Pも一段落してしまった。

その後、サーバに負担をかけずに配信できる技術として再度P2Pに焦点が当たるも、Winnyなどのファイル交換ソフトを通じた違法コピーの話題が上り、P2P自体がダーティなイメージを持たれてしまったことは否めない。

そんな歴史を持つP2Pネットワークサービスだが、ブロードバンド回線が十分に普及し、マシンパフォーマンスも向上した現在、暗号化やユーザ認証などのセキュリティ面の強化を経て、サーバ負荷を軽減できる大容量コンテンツ配信サービスのコア技術として実用化されようとしている。

「P2Pネットワーク」コーナーでは、BitTorrent、ブラザー工業、グリッド・ソリューションズ、ドリームポート、Peering Portalなどが出展した。

そのなかで、フェイスの持つFelica内蔵 携帯認証・課金技術と組み合わせたWindows Mediaコンテンツ配信を提案していたのはドリームポートだ。

コンテンツ配信サーバとP2Pネットワーク技術、認証・課金を組み合わせることで、安全、安定、低コストを実現するソリューションとなった。

日本市場に初めて進出してきたのは、韓国企業のPeering Portalだ。すでに韓国では、コンテンツ配信プロバイダの配信時にP2Pソフトウェアを配布。

P2P機能を使用すると、コンテンツ料金を割り引くといったサービスで実用化されているという。2001年当時から大学における研究レベルで開発を開始。国策としてブロードバンド環境普及を進める段階で実用化してきた背景があり、ブロードバンド環境が進む日本市場にも早くから注目していたようだ。しかし、ちょうど違法コピーがクロースアップしていた時期でもあったことから、今年まで参入を控えてきたという。

セキュリティ面の向上や、携帯認証、セットトップボックス組み込みなどで、実用段階に入ったP2Pネットワーク。以前のように、帯域幅をP2Pで使い切ってしまうことがないような配慮もしてきており、今後の活用範囲が拡がりそうだ。

出展企業

  • 株式会社ドリームボート
    株式会社ドリームボート = P2Pによる新しいコンテンツ流通をリード http://www.dreamboat .co.jp/ 金子勇氏を技術顧問に迎えたドリームボートは、P2P技術を生かした「SkeedCast」を提供しています。「SkeedCast」は、安全、高速…(続きを読む)
  • 株式会社グリッド・ソリューションズ
    グリッド・ソリューションズでは3年以上のPC向け映像配信実績を持つ独自P2P技術の「グリッド・デリバリーR(GD)システム」のWindows/Linux版SDKを公開します。またGDのさまざまな…(続きを読む)
  • BitTorrent株式会社
    既に世界中で1億5千万以上がインストールされているBitTorrentは、ソフトウェアやコンテンツ配信のグローバルスタンダードです。BitTorrentブースでは、ユーザーが増えるほど…(続きを読む)
  • Peering Portal Inc.
    Peering Portalはピア-to-ピア技術の先導的プロバイダです。AoD、VoD、オンラインゲームの分野で多くのお客様にサービスを提供しています。現在、競争の激しいインターネット…(続きを読む)
  • ブラザー工業株式会社
    ブラザー工業(株)では昨年の9月に発表しました、Einy(アイニー)というP2P技術を用いたコンテンツ配信システムを出展します。Einyは高画質動画のような…(続きを読む)
  • P2Pネットワーク実験協議会
    インターネット利用の急速な拡大とブロードバンド化の進展に伴い、今後のインターネット利用における映像配信はいよいよ本格化していくものと思われます。そのためにはネットワーク…(続きを読む)