PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [4K Ready!] 00:来るべき4K世界に備えて!

News

[4K Ready!] 00:来るべき4K世界に備えて!

2009-05-13 掲載

2008年はRED Digital Cinemaから4KデジタルシネマカメラRED ONEが登場した。これまで、4K映像収録はハリウッド映画で使うようなハイエンドな世界という印象だったが、RED ONEの登場で一気に注目されるようになってきた。3月のサイネージ特集でも触れたが、ディスプレイの枠を離れ、縦横に複数のディスプレイを組み合わせて表示するようなサイネージにおいては、既存の1920×1080を超える解像度を必要とする場合も出てきている。

日本で生まれ、ハリウッドで規格化された4K映像

現在は、「デジタルシネマ」という言葉も違和感がなくなってきた。収録から編集、配信までをデジタルで行うというデジタルシネマが認知されたのは、映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)だ。ジョージ・ルーカス監督がソニーのHDCAMを使用して24p撮影をしたほか、D-ILA、DLPの両方式でのデジタル上映も行われた。これを機に、『エピソード2/クローンの逆襲』(2002年)ではソニーのCineAlta HDCAM HDW-F900を全編に使用して24p収録が行われたほか、『エピソード3/シスの復習』(2005年)ではHDCAM-SRでRGB4:4:4収録が行われている。

とはいえ、スクリーン上映コンテンツに対してHD16:9を採用することに対しては異論もある。映画のアメリカン・ビスタのアスペクト比1.85:1(=16.65:9)からすると、フルHDはやや横幅が不足する。現在、このサイズを満たすデジタルシネマ規格としてDCI(Digital Cinema Initiatives=米国ハリウッドの映画スタジオが中心となって運営している合同会社)が標準化している2Kサイズは2048×1080画素(アスペクト比1.90:1(=17.1:9))である。縦1080画素に対し、アメリカン・ビスタのアスペクト比を適用すると横1998画素。それならば、2000画素でいいのではとも思うが、デジタル処理には4、8、16の公倍数のほうが都合がよいというわけだ。

4K映像制作は、映画収録に使用される35mmフィルムの表現を超えるデジタル収録が可能な規格として提案されてから、10年近くが経とうとしている。この4Kの取り組みは、上記のようなハリウッドをはじめとする映画市場から生まれた規格と思っている人も多くなっているのではないだろうか。4K映像への取り組みは、日本発だということを知っておいて欲しい。映画からの視点ではなく、もともとはブロードバンド・ビジネスからの視点で出てきた技術なのだ。

90年代後半、インターネット環境は大きく変化した。ダイヤルアップ接続から、ISDN常時接続へ、そしてより高速なxDSL環境へと移行しつつあった。より高速な次世代ネットワーク環境として提案されていたのが、光ファイバー接続である。この光ファイバーを使用して、高速性・広帯域性をいかしたネットコンテンツの切り札として考えられたのが4K映像ということなのだ。新しい通信産業の創出に関する研究開発を目的に1999年に立ち上がったばかりのNTT未来ねっと研究所などが中心となって技術開発を行ってきた。2000年にはディジタルシネマ・コンソーシアム設立に向けた取り組みとともに、米国SIGGRAPHなどで映像プロトタイプのアピールなどを行いながら、4K映像規格の提案を進めてきた。

その後、DCIで規格策定が行われ、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)映画テレビ技術者協会による規格承認を経て、4Kデジタルシネマ映像は2K規格の4倍の面積を持つ4096×2160画素の解像度で標準規格認定されている。DCIでは機器・視聴環境に関する仕様策定も進めており、現在DCIスペック・バージョン1.2として公開されている。ハリウッド作品については、今後のデジタルシネマ上映はDCIスペックを満たした機器を使用する必要があり、それ以外での上映を認めないという方向になってきている。上映環境としては事実上の標準となる。

4K相当にするかリアル4Kにするか、その選択は視聴環境で

日本のデジタルシネマ環境だが、2009年1月にTOHOシネマズがデジタルシネマ本格導入を表明している。2009年1月の段階で、経営館60サイト527スクリーン(共同経営4サイト44スクリーン含む)を持つ同社は、秋までに47サイトでデジタルシネマ機器移行を開始する。今後、2012年春までに、一部共同経営館を除いた全スクリーンで、デジタルシネマ機器へと置き換えるという。今回の特集では触れないが、3Dコンテンツについても、デジタルシネマ機器導入とともに対応可能となる。

日本におけるスクリーン数は2008年末現在で、シネマコンプレックスも合わせて682館3359スクリーン(日本映画製作者連盟調べ)。TOHOシネマズに限らず、すでにデジタルシネマ機器の導入をしている館も増えてきており、ここ数年でデジタルシネマ機器への移行は着実に進んでいきそうだ。デジタルシネマのプロジェクター環境ではなく、映像モニターとしてのディスプレイ環境に目を向けると、現在投入されている液晶ディスプレイで4Kをうたうものは、「4K相当」の3840×2160画素のものがほとんどだ。このアスペクト比は16:9であり、ハイビジョン用パネルの4枚分という考え方をしたQFHDサイズだ。DCIのデジタルシネマ規格に沿った横4096ピクセルを表示できる「リアル4K」液晶パネルを開発しているのは、国内ではシャープだけだ。

IMG_1822.JPG
シャープのリアル4K液晶パネルを使ったディスプレイ(2009 NAB Show計測技術研究所ブース)

確かに、ディスプレイ向けコンテンツとスクリーン向けコンテンツで、同じアスペクト比である必要はない。すでに家庭にハイビジョンが普及していく段階でデジタルシネマの規格化を行った2Kでは、アスペクト比が異なってしまうのも仕方がない面もあった。それでも、4Kについてはプロジェクタが先行しており、液晶ディスプレイ環境はこれからという段階だったはずだ。本来であれば、4Kコンテンツのアスペクト比は統一できた可能性もあったかもしれない。結局、ディスプレイの基本は、パネルを設計しやすいハイビジョンの4倍という流れになってしまった。デジタルシネマをリアルに表示できる液晶ディスプレイは限られたものになってしまいそうだ。

こうなると、制作者としては、4K制作をどの解像度で行うのかという問題も出てくる。最終的に主な視聴環境をディスプレイにするのかスクリーンにするのかで、4K相当で制作するかリアル4Kで制作するかを選択せざるを得ないようだ。

────

さて、現在4Kコンテンツを利用しているのは、科学館や博物館、美術館など、まだまだ限られてはいる。今回の特集では、前半で科学館での4K映像制作の取り組みを紹介する。1つは平面スクリーン上映を行った実写作品であり、もう1つはドームスクリーンを使った全天周上映を行うための3DCG作品だ。2つの作品に共通しているのは、ポストプロを利用せずにフィニッシングを行っていることだ。既存システムで4K映像の制作も可能ということともに、現時点で制作にかかるハードルも知っていただけたらと思う。

特集後半は、デジタルシネマの国際的認証機関として認定された慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の取り組みと、その研究から生まれた人材創出機関としての大学院メディアデザイン研究科についてレポートする。

今後、ハイビジョンが標準解像度になり、CM制作も16:9で制作することが本格化していく段階で、よりハイクオリティな4K映像素材を使って収録していくようなケースも出てくるだろう。制作システムについても、より対応が進んで一般的になっていくと考えられるが、現状では制作環境の処理スピードが足りないとの指摘もある。4K制作はまだまだ始まったばかり。しかし、ここでの技術の積み重ねが、4K制作本格化の段階のクオリティー向上に着実に生きるはずだ。来るべき4K時代に備えることは、決して無駄なことじゃない。




[ Category : ]
[ DATE : 2009-05-13 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[CineGear 2013]Vol.06 見えてくるDigital Cinemaの今と未来〜技術とクリエイティブのシンメトリックな関係〜

txt:石川幸宏 構成:編集部 映画の都でふと思いを馳せる。その光と影 今年もCine Gear Expo視察のために訪れた6月のロサンゼルスは、いつも通りの乾いた空気と晴天に恵ま... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.05 世界でつながるプロダクションシステム~Company 3 / デジタル・ガーデン:カラーコレクションの明日~

txt:石川幸宏/猪蔵 構成:編集部 ユニバーサル化するポストプロダクションその現状 先述のとおりポストプロダクションの現状としては、世界規模でのユニバーサル化は日々進展しているよ... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.04 デジタルシネマの現場から01 〜STARGATE STUDIOS:Sam Nicholson氏に聞く〜

txt:石川幸宏 構成:編集部 デジタルシネマ、4K、そしてハリウッドのこれから CineGearExpoではそれほど4Kは盛り上がっていなかったものの、ソニーが開催した4Kシアタ... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.03 会場で見た製品情報(DIT、カラーグレーディング、周辺機器etc)

txt:石川幸宏/猪蔵 構成:編集部 映画の世界にも来るべき新潮流 Cine Gear Expo(以下:CGE)を振り返ってみると2000年代中盤まではパナビジョンやARRI、コダ... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.02 CineGear会場で見た新製品情報(レンズ関連)

txt:石川幸宏 構成:編集部 カメラの要、それはレンズにあり! "レンズは資産"という考え方は、個人のレベルでも写真の世界だけでなく、映画の世界でも共通のものになりそうだ。 こ... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.01 CineGear会場で見た新製品情報(新製品&特機関連)

txt:石川幸宏/猪蔵 構成:編集部 機動性&コンパクトに焦点 例年通り、今年も5月31日と6月1日の二日間、米ハリウッドのパラマウント・スタジオの中で開催されたCine Gea... 続きを読む

[CineGear 2013]Vol.00 見えてくるDigital Cinemaの今と未来

txt:石川幸宏/猪蔵 構成:編集部 デジタルシフトがもたらす物とは? 「デジタルシネマ」というキーワードは、もしかするとすでに形骸化しているのかもしれない。20世紀FOXでお会... 続きを読む

[NAB2013]ソニー、4Kマルチビューワ技術を参考出展

ソニーは、NAB2013でアプローチした4K中継ソリューションの1つとして、4Kマルチビューワ技術を参考出展した。 2台の独自プロセッサ(PBP-4000)にベースバンド(3G-S... 続きを読む

[NAB2013:クリスティ・デジタル・システムズ]業界初の4K 60fpsプロジェクターを披露

クリスティ・デジタル・システムズブースレポート 米クリスティ・デジタル・システムズはNAB2013の会場で、デジタルシネマ向けの業務用3板式(3-Chip) 最新の4K DLPプロ... 続きを読む

特集記事

Camera Preview 2020 Camera Preview 2020
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
BIRTV2019 BIRTV2019
中国・北京の中国国際展覧中心で開催された展示会「BIRTV 2019」をレポート。
SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。

トップ > 特集 > [4K Ready!] 00:来るべき4K世界に備えて!