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[RED flow Now]06: 『築城せよ!』全編でRED ONEを活用

2009-06-17 掲載

  映画『築城せよ!』 2009年6月20日より新宿ピカデリー他にてロードショー!!  (c)2009「築城せよ!」製作委員会

「築城せよーっ!」──そう過疎化が進む町・猿投(さなげ)で号令をかけたのは、400年前に城を完成させぬままに死んだ戦国武将・恩大寺隼人将。石崎祐一の身体を借りて現代に甦ってきた恩大寺は、ともに甦った家臣の勘鉄斎、権大夫とともに、築城完成を求めた。3日間という残された期間での築城に選んだ素材は段ボール。大学生の井原ナツキが棟梁となり、猿投住民たちの心もまとまっていく。しかし、築城現場は工場誘致の現場だった。町長一派の抵抗が始まる──。

6月20日から、東京・新宿ピカデリー、名古屋市・ミッドランドスクエアなどで順次公開される映画『築城せよ!』(古波津陽 監督)は、愛知県日進市と愛知工業大学の協力を得て製作された。この映画の全編を通してRED Digital CinemaのRED ONEを使用して収録された。

「数年前に自主制作の『築城せよ。』(60分)を製作して、米国のThe San Fernand Valley International Film Festivalに出品した(英題『Raise the Castle!』)ところ、2006年のBest Foreign Language Film Awardを受賞しました。益田祐美子プロデューサーと出会って、何度か凱旋上映をする段階で、愛知工業大学で開学50周年記念として映画製作をする予定があるので、『築城せよ。』リメイクの企画をタイアップさせるという提案をいただきました。2007年に製作をすることが決まり、1年間をかけて脚本を練り直し、自主制作のときから撮影をしてもらっていた辻さんと、どういう撮影をしたらいいのかを話し合ってきました。その段階で、RED ONEでの収録をしたらという案が出て、採用することにしました」(古波津氏)

愛知県・猿投で行われた撮影では、2008年9月末から40日間にわたって行われた。撮影監督を務めたのは、辻健司氏だ。RED ONEでの収録を決めた理由について、辻撮影監督は次のように話した。

「監督の話では、限られた日数でありながらも、大量な素材が必要になるだろうということでした。その撮影を実現するためには、機動力が生かせる機材である必要もありました。RED ONEは、発売したばかりで日本にほとんどなかったのですが、テストしたうえで2008年春に使用することに決めました。制作のワークフローは、ミューズテクス(東京都渋谷区)の伊藤さんに協力してもらいながら、やりながら構築していったという感じです。撮影は、合成する必要のない素材については2K解像度で行い、レンズはSUPER-16で、等倍のZEISS Sonnarとプライムレンズを使用しています。4K解像度の収録においてはRED社のレンズを使用しました」

撮影には2台のRED ONEカメラを使用。CF(コンパクトフラッシュ)カードを使用して、2K解像度をベースに収録した。VFX(ビジュアルエフェクト)やコンポジットが必要なシーン部分については、VFX/コンポジットを担当した太陽企画(東京都港区)のアドバイスを得ながら、4K解像度で収録している。収録後は、現場でメディア管理を担当するアシスタントがMacBook Proのハードディスクに保存。さらにその日の撮影終了後にREIDディスクにバックアップコピーされた。撮影時は、どうしても消去しないといけない場合を除いて、CFカードやMacBook Proのデータは残しておき、1日の撮影を終えてからデータ整理をすることで、データ消失を防いだという。

制作ワークフローをサポートしたオービット ミューズテクス事業部の伊藤格氏は次のように話した。

「40日間で、なるべく多くの素材を収録したいという要望があったので、データの保存にどのくらいの容量が必要になるか不安でした。結果的に40日間にわたって2台のRED ONEで収録したにもかかわらず、全データは1TBで収まってしまったことには驚きました。データ保存用のHDD環境には、eSATAで動作する4ベイのRAIDディスク環境を用意しました。1TB HDDを2台使ったRAID 1のミラーリングディスクを構築し、その環境を2セット構築しています。これで、外部からは2台のHDDがあるように見えます。1日の撮影を終えてから、この2台のドライブにバックアップすることで、合計4台のHDDにデータを保存できたことになります」

Final Cut Proで編集、Colorで現像/グレーディング処理

今回の制作では、監督自ら1台のHDDデータを持ち帰り、HDサイズのリファレンスファイルを使用してオフライン編集を行った。残った3台はいずれもミューズテクスに保管され、2台をバックアップ用に、1台をオンライン/フィニッシング用として活用している。

「『築城せよ!』は私が編集も担当しました。普段の制作と同様にFinal Cut Proを使って編集しました。友人が自宅に来ると『今どきは、自宅で劇場映画が編集できるんだ』といつも驚いていますが、今回やってみて自分でも驚きました」(古波津氏)

オフライン編集の開始からフィルム出力用データの納品まで約4カ月間しかなかったため、その期間を有効に使うために、編集、CG合成、楽曲制作を同時進行した。なかでも古波津氏がこだわったのは、楽曲とシーンのシンクロだという。

「普通はオフライン編集を終えて尺が決まり、楽曲制作という状況になるのですが、同時進行だと編集が変わるたびに修正しなければならなくなってしまいます。そこで、編集が固まった部分から楽曲制作をしてもらいました。楽曲の仕上がりが夜中であっても、すぐに映像のタイミングを調整していけるのは、MacBook Proを使った編集の強みですね。スタジオを押さえて編集するという作業がないぶん、楽曲担当者と密なやりとりができたと思います」(古波津氏)

このメリットは、太陽企画が担当したCG合成面でも生かされている。オフライン編集でCG合成が必要な部分のカットを太陽企画に送付し、合成後の素材を差し替えて確認するという作業を繰り返して、作品を仕上げていった。

古波津氏はオフライン編集が完了した段階でプロジェクトを書き出し、ミューズテクスの伊藤格氏にプロジェクトデータを送り、ミューズテクスでオンライン編集用のデータコンフォームを行っている。フィニッシングでは、辻氏がカラーグレーディングソフトウェアのColorを使用して、R3Dファイルの現像処理とカラーグレーディングを行っている。このデータをイマジカに持ち込み、最終フィルムグレーディング処理を行ったうえでフィルム出力した。

「今回の制作においては、IMAGICAの協力を得られ、ミューズテクスのモニタ環境とIMAGICAのモニタ環境とで、同じ色味を再現できるようにパラメータを統一することができました。フィルム出力する段階の色を、フィニッシング作業段階で再現できているという安心感は大きかったです」(辻氏)

────

『築城せよ!』は、Fianl Cut Studio 2をベースに制作された。データを複数のHDDに保存することで、バックアップとともに複数拠点での制作もしやすくした。さらに、現像処理やカラーグレーディング処理にColorを活用することで、オフライン編集からフィルム出力直前まで一貫した制作ワークフローが構築できたと言えるのではないだろうか。



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[ DATE : 2009-06-17 ]
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