あけましておめでとうございます!

2010年は、物事を見抜くように「レンズ」編からスタートです!

物事を見抜く「レンズ」とは?

業務や放送の現場でオートフォーカスレンズの普及は難しいといわれていた。常にピントを合わせたい被写体が画面の中央にあるとは限らないし、意図的にアウトフォーカスにしたい場合もある。こうした、作画上の問題があったからだ。また、技術的にもフォーカスの精度やスピードだけでなく、カメラマンが意図したところをどのようにオートフォーカスの機構に伝えるかといったマンマシーンインターフェースの問題もあった。カメラマンは狙った被写体に迅速にフォーカスを合わせるのが一つのスキルという精神論的な考えも業務用ユースへのオートフォーカス導入がためらわれた一因だろう。

現在、放送用のレンズへのオートフォーカス導入は、キヤノン、フジノンともに行っているが、いずれもレンズ内にオートフォーカス機構を組み込んで精度やスピードをクリアするとともに、箱型レンズではAFのON/OFFとAFモード(連続AF/モメンタリAF)の選択、フォーカスポイントの設定をフォーカスノブに配置して操作性にも配慮している。ただ、レンズからの光をフォーカス機構にも利用するため幾分暗くなる。

フジノンのオートフォーカスレンズは、PRECISION FOCUS ASSISTANCE SYSTEM(PF)という名称で、従来からある民生機のオートフォーカスとは全く異なる新しい方式を採用しており、一般に言われるオートフォーカスとは名称的にも差別化を図っているほか、PFを搭載したレンズのラインナップも箱型レンズだけでなく、ENGレンズタイプのレンズにも採用している。

オートフォーカスは、スポーツ中継など動きの速い被写体に迅速にフォーカスを合わせるために搭載されたという経緯があり、キヤノンでは中継で使われることの多い箱型レンズにオートフォーカスを搭載している。また、75倍以上の箱型レンズへは防振機構を標準搭載しているほか、ENGタイプのレンズHJ15e×8.5B KRSE-Vにも防振機構を搭載している。

キヤノンとフジノンでは、オートフォーカスに対する考え方が若干異なるようで、それは単に名称の違いというということだけでなく、製品ラインナップにも現れているようで、フジノンでは広角系のレンズHA13×4.5BRDへもオートフォーカス搭載モデルを用意しており、広角側でのピント合わせをアシストしている。ちなみに、フジノンはPF技術で2009年エミー賞を受賞している。

キヤノンマーケティングジャパン

オートフォーカス搭載レンズとして、DIGISUPER 27AF、DIGISUPER 86AF、DIGISUPER 100AFの3機種を、11月に発表したシフト式光学防振機構を搭載したENGタイプのレンズHJ15e×8.5B KRSE-Vを出展。

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HJ15e×8.5B KRSE-Vは、2枚のガラスに挟まれた液体の角度を変化させることにより、光軸を傾けてブレを補正するキヤノン独自の「バリアングルプリズム」の搭載により、広角端から望遠端までズーム全域での高い防振性能と幅広い補正角を実現。

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DIGISUPER 27AFは、DIGISUPER 100AFおよびDIGISUPER 86AFといった中継用のレンズではなく、スタジオ用ズームレンズにオートフォーカスを採用したもの。したがって、他の2機種のように防振機構は搭載されていない。

http://cweb.canon.jp/indtech/bctv/

フジノン

同社は、オートフォーカスレンズに力を入れているようで、すでにHA13×4.5BRD、HA22×7.3BRD、HA27×6.5BE、XA88×8.8BE、XA101×8.9BEの5つがラインナップされている。また、被写体を顔、形状、色と多角的にとらえターゲットを自動追尾する機能を新たに搭載したデマンドPF-19B-01Aを発表した。

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XA88×8.8BEは、フォーカスを探る事なく、瞬時にジャストピントに合焦することができる光路長差を用いたコントラスト方式を採用しており、動く被写体にもスムーズに追従。

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XA50×9.5BEP/BESM。ズーム範囲などを常用域に特化することで、コストダウンを図ったモデル。メカ式一軸二操作とフルサーボ操作の選択が可能。

http://www.fujinon.co.jp/

サークル

光映舎の虫の目レンズシリーズをいくつか出展。いずれも小型ビデオカメラ用のものだが、この手の特殊レンズとしては極めてローコスト。民生用カメラ用で¥10万ほど、PMW-EX3用のもので、¥388,500、水中用でも¥50万ほどだ。

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光映舎の虫の目レンズ。水中ハウジング本体はSeatool製を採用しており、水深50m以上での撮影が可能。カメラは、ソニーのHDR-XR500V/520Vで、カメラのレンズ先端に装着するアダプタータイプ。

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光映舎の虫の目レンズ。PMW-EX3の交換レンズとして開発されたもので、中折れ部分に正立ダハプリズムでピントはヘリコイドで調節可能。

http://www.circle-j.co.jp/

テックス/インテックス

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各種レンズマウントアダプター。2/3から1/2といったものからニコンから1/3、キヤノンEFからPMW-EX3変換など各種。

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フォノンの小型カメラ用コンバータレンズ。中央にある小さいのは、パナソニックPOVCAM AG-HCK10G用の0.6倍のワイドコンバージョンレンズで、アダプターリング43/37mmが付属しており、AG-HMC45やAG-HMC75のほか、ソニーのHVR-A1J/HVR-HD1000Jなどに適合する。

http://shop.intec-s.jp/

駒村商会

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Century小型カメラ用コンバータレンズ。左上からパナソニックAG-HPX175用1.6倍テレコンバータHD-16TC-AG、同0.8倍ワイドコンバーターHD-08CV-AG、汎用72mm0.8倍ワイドコンバーターVS-08CV-72、手前はソニーPMW-EX用で0.75倍ワイドコンバーターHD-75CV-EX3、1.6倍テレコンバータHD-16TC-EX1、0.5倍フィシュアイHD-FESU-EX1、0.6倍ワイドアダプターHD-06WA-EX1。

http://www.komamura.co.jp/



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WRITER PROFILE

稲田出

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。