映像業界最新事情を掌握する

Aコースは、今年の映像制作機器の最新トレンドの傾向を基本として押さえながら、現状の映像制作現場として見ておくべき新製品、ソリューションなどを中心に回るコース。やはり今年の核となるのは、昨年に引き続きテープレス/ファイルベースという視点と、そこに加えて成長著しいDSLR(デジタル一眼)ムービー、そしてより実用的な3Dといったところが挙げられる。さらには、USTREAMなどの個人発信が盛んになって、パーソナルなライブ放送が可能になったこの時代。ライブストリーミング放送やアナログ停波以降のマルチメディア放送、ワンセグなど、放送以外の新たな映像デリバリーに関連する、新たな製品も多く発表されそうなので、こちらにも目を向けておきたい。

ここに挙げたのは大手メーカーを中心とした映像制作機器トレンドリーダー的存在だが、この他に会場ではエンコード技術やいま一番の問題となっているファイルベース時代のアーカイブといった分野でも、新たなソリューション技術に関心を向けてみたい。まずは次世代のコンテンツ制作を支えるテクノロジーの『今』を見ていこう。

Inter BEE 2010の歩き方 オリジナルガイドマップ無料配布中!
1ローランド

(ブース#4601/5104)


V-1600HD他
wlk2010Roland.jpg IPTVサイズのソリューションに適した製品を送り出している同社では、今年も多くの新製品が展示される模様。ほぼ全ての入出力を備えた新製品のオールインワン・マルチビデオスイッチャーV-1600HDを始めとして、同社のREAC機器と、他社製品のMADIとの互換性を可能にするコンバータの新製品S-MADI、またマルチカメラのスイッチングを省スペースで可能にする、マルチビューワー/スイッチャーの新製品MVS-15などを中心に、映像/音響/ITなどの垣根を越えた、次世代の映像制作プラットフォームに向けたソリューション機器を展示。
2アビッドテクノロジー

(ブース#5214)


Media Composer 5
wlkAvid.jpg 今春登場した新製品Media Composer 5は、現存するメジャーな映像コーデックをリアルタイムで取り込めるNLE界の中心的存在。またこのところアビッドテクノロジーが推進している『ビデオとオーディオワークフロー統合』への足跡として、今年5月に買収したEuphonix(ユーフォニクス)も初めて統合展示される中で、Appleのcolorに対応するコントローラーMCカラーなどにも注目。その他、サウンドクリエーションの要、ProToolsや、ライブサウンドシステムのVENUEなどのサウンドデザイン機器を揃えるなど、ビデオ&サウンドNLEの統合を目指す新しいソリューションに注目。
3ソニー/ソニービジネスソリューション

(ブース#6311)


PMW-500など
wlkSONY.jpg 放送・業務用機器をワークフローから提案する新会社、ソニービジネスソリューションを4月に設立。今回はその新体制になってから初の大規模展示となる。効率化とともに品質を落とさないというテーマで、放送局向けの統合ソリューション『メディアバックボーン』などを中心に展開。XDCAMとXDCAM EXが融合した4:2:2 50Mbps対応のメモリーカムコーダーPMW-500などの新製品を展示。さらにHDCAM SRの新たな展開としてファイルベースのSStPによる新展開、また来春以降に登場する35mmアフォーダブルカメラ、2眼式ショルダータイプ3Dカメラなどの業務用カメラ新製品にも注目。
4朋栄

(ブース#6416)


LTR-100HS
walkFor-A.jpg ファイルベースソリューション『メディア・コンシェルジュ』を推進する朋栄の注目製品は、アーカイブメディアとして注目のLTO-5による、ビデオアーカイビングレコーダー「LTR-100HS」。その他、HDバリアブルフレームレートカメラ「VFC-7000」、3D/HD/SD マルチパーパスシグナルプロセッサ「FA-9500」、マルチフォーマットプレーヤ「MBP-100MP」などにも注目。また会期中、USTREAMによる同社会場からのライブ中継も計画中。
5KDDI研究所

(ブース#7209)


wlkKDDI.jpg エンコード技術などIPTV、モバイルTV時代に必須のテクノロジーを数多く展示。10月に発表されたサッカースタジアムなどの大空間で撮影された映像に対して、視聴者が選ぶ自由なアングルからの3D映像をリアルタイムに合成する、世界初のトータルシステム技術など開発。その他、最新のデリバリー方式に合わせた各種フォーマットへのエンコードシステムなど、通信と放送の融和のキーテクノロジーなどを展示。
6フォトロン

(ブース#7414)


DaVinci Resolve
walkPhotron.jpg ブラックマジックデザイン社のカラーコレクションターンキーシステム『DaVinci Resolve』の販社として、実際のシステム展示を行う。また、今年のNABで発表されて以降、各方面で話題の低価格カラーコレクション・ソフトウェア『Resolve for Mac』などの詳しい展示なども予定。また同社独自開発の高画質HSカメラ『FASTCAM』などの展示も行う。
7パナソニック

(ブース#7210)


AG-AF105
walkPanasonic.jpg 注目は9月のIBC2010で正式発表されたマイクロフォーサーズレンズ交換式カメラ『AG-AF100』シリーズ。国内型番はAG-AF105。4/3レンズ以外にマウント変換で多彩なレンズを利用でき、DSLR的な被写界深度を得られることが売りだが、これまでの同社P2カムコーダーで培ってきたバリアブルフレーム(VFR)対応など、メモリー記録式デジタルビデオカメラの利点も多く活かされている。またこのAG-AF100からはVFRも1080/収録に対応、1080フルHDでのバリアブルフレームレート収録を20段階の設定から収録可能。またハンドルやグリップも脱着可能で、様々な撮影現場にフレキシブルに対応できる。その他2眼式コンパクト3Dカメラ『AG-3DA1』や、P2HD、AVCCAMのラインナップなどファイルベースカメラ、スイッチャーなどの豊富なラインナップに注目。
8キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン

(ブース#8411)


XF305/300
walkCanon.jpg 主要展示となる放送用、業務用レンズでは、昨年技術展示されて話題を呼んだ、世界初の防振機能付きHDポータブルズームレンズ HJ15e×8.5Bが製品版として初出展。またワイヤレスレンズコントロールボックスWB-10T/WB-10Rなども展示予定。またDSLRムービーの火付け役EOS 5D markⅡを筆頭に、EOS MOVIE関連を強化し、新製品60Dを中心とした展示を展開。さらにビデオカメラ製品では、この春に発表されたMPEG2 4:2:2 50Mbpsで収録可能な『XF305/300』や新製品なども出展予定。
9アスク

(ブース#8311)


KiPro mini
walkASK.jpg いよいよAJA Video Systems社の新製品『KiPro mini』が日本初登場。KiProの機能そのままに、頑丈なエアクラフトアルミ製で筐体を小型化しカメラ等への取り付けを容易に。CFカード2スロットを装備し、コンパクトフラッシュを使用しての10bit 4:2:2 フル解像度のApple ProRes 422収録が可能。ライン/マイクレベルを選択可能なスイッチを持つ2ch.バランスドXLRオーディオ端子を搭載、SDI、HDMI経由で8ch.のエンベデッドデジタルオーディオ対応。その他の新製品では、Mac/PC両対応のビデオ・オーディオ入出力ハードウェア「KONA 3G」。SD/HD/Dual-Link HD/3G/2Kに対応、10bit非圧縮対応の3G/HD/SD SDI入出力、民生用3DディスプレイでのS3Dモニタリングを可能にするHDMI1.4a出力、8チャンネルのAESデジタルオーディオと16チャンネルのSDIエンベデッドオーディオなどの豊富な入出力端子を装備。また2系統の3G-SDI入力を様々な方式の3Dフォーマットに結合し、HDMI 1.4aやSDI入力を持つ3DモニターやプロジェクターシステムでS3Dプレビューするための新しいコンバータ「Hi5-3D」も展示予定。
10ナックイメージテクノロジー

(ブース#8207)


ALEXA PLUS
walknac_Image.jpg 4月に発表され、世界の映画界から注目を浴びるARRIのファイルベース・デジタルシネマカメラ『ALEXA』は、早くもバージョンアップ版の『ALEXA PLUS』を発表。収録メディアにソニーS×Sカード、記録方式はARRI RAWとProRes422という、新たなコンセプトのデジタルシネマカメラとして世界から注目され、現在来春3月までバックオーダー待ちという人気ぶりだ。『ALEXA Plus』は、標準感度800、感度設定160〜1600、さらに新機能として、WiFi経由でのカメラ設定が可能になりケーブルなしの運用ができる。iPad/iPhoneからの設定も可能になった。

Inter BEE 2010の歩き方 オリジナルガイドマップ無料配布中!