ハイブリッド革命が今起きている!

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2月下旬発売になるハイブリッドカメラ「GC-PX1」。60pの動画撮影や、高速静止画連写、ハイスピード撮影が可能。32GBの大容量内部メモリーで300fpsのハイスピード撮影が2時間撮影可能

先頃、行われたカメラと映像写真の総合イベント『CP+』(横浜:パシフィコ横浜/2月9日〜12日)は、元々昔のカメラショーから発展した展示会イベントで、スチルカメラを中心としたデジタル一眼(DSLR)など最新カメラの動向が窺える。今回4日間の合計来場者数は4万9千人という多数の観客を集め、その盛況ぶりを見せた。

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参考出品されたJVCの4K2Kカムコーダー。3840×2160/60fpsでの撮影が可能で、記録フォーマットはH.264/MPEG-4 AVC、ビットレートは144Mbps。モニターなどと接続するにはHDMI×4本が必要

ここでもDSLRムービーを始めとする、動画と静止画が同時に撮影可能なカメラが新製品発表の主軸となり、改めてカメラの”ハイブリッド化”が進んでいる事を実感することができた。業界初の動画と静止画の両方を高速で信号処理を行う次世代ハイスピードプロセッサー『FALCONBRID(ファルコンブリッド)』を搭載した、日本ビクターのHDハイブリッドカメラ『GC-PX1』はその象徴とも言える。このハイブリッドカメラ時代を支えるレンズラインナップとして注目されるのが、パナソニックとオリンパスが開発を進めて来たマイクロフォーサーズと、ソニーのEマウントだろう。

ソニーが展開するEマウントの魅力とは?

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まず大きく注目を集めたのは、CP+の会期直前に発表された、ソニーのEマウントに関する話題だ。同社のコンパクト一眼レフカメラシリーズ『NEXシリーズ』に搭載されているEマウントレンズの仕様が、いよいよこの4月より他社へ無償公開されるということで、すでにソニーブースでは他社から発売されるであろうEマウントのレンズシリーズが参考展示され一躍脚光を浴びていた。

Eマウントの基本仕様は口径58.9mm、フランジバック18mmという完全電子制御のレンズマウント。この仕様を他メーカーへ無償開示することで各レンズ/マウントアダプタメーカーは、Eマウントに準拠する製品の効率的な開発が可能になり、現在発売されているソニーのコンパクト・ミラーレス一眼カメラ「NEX-3」「NEX-5」や、Eマウントのレンズ交換式デジタルビデオカメラ「NEX-VG10」でも、メジャーレンズメーカーのレンズバリエーションが増えることになる。

現在、このEマウント規格に参画を予定しているレンズ/マウントアダプタメーカーは、カールツァイス、コシナ、シグマ、タムロンの4社。ミラーレス等によるコンパクト化が進む中で、今後このEマウントもマイクロフォーサーズのライバルマウントとして期待されるところから注目度も高い。また昨年のInterBEEで発表され、先に発売されたPMW-F3と同じ、スーパー35mmサイズのCMOSセンサーを搭載したレンズ交換式 NXCAM HDカムコーダーにもこのEマウントが採用されることから、今後プロビデオ界における期待値も高い。ブースでの参考展示では、NEX-VG10にカールツァイスのコンパクトプライムレンズが装着されたものなど、各社想定のモデルが参考展示されていた。

また会場ブースでは、昨年9月にドイツ/ケルンで行われた世界最大のカメラ展示会『フォトキナ』で発表されたソニー製の7本の新たなEマウントレンズシリーズも参考出品された。これらの発売時期のロードマッップも発表されており、2011年内発売予定は望遠ズーム/55〜200mm、マクロ30mm、ポートレートレンズ50mm、カールツァイスレンズ広角単焦点24mmの4本。2012年発売予定のものとして、中望遠、Gレンズ高性能標準ズーム、広角ズームの3本が予定されている。

マイクロフォーサーズの可能性

デジタルカメラ専用のレンズマウント規格として、すでに欠かすことのできない存在が、オリンパス/パナソニック勢の推進するマイクロフォーサーズだ。こちらも、パナソニックのラインナップを始め、オリンパスのレンズブランド『ZUIKO』のマイクロフォーサーズシリーズ、M.ZUIKOレンズからも多彩な新レンズが次々と発表されるなど、更なるラインナップの拡張に意気込みを見せている。

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ここ最近のマイクロフォーサーズレンズで最も注目されているのは、何と言っても昨年の11月末に発売された『NOKTON 25mm F0.95』だ。コシナ初のマイクロフォーサーズ専用大口径単焦点レンズとして、フォクトレンダーブランドから発売された、F0.95という破格のF値を持つレンズで、オリンパス/パナソニック以外のメーカーから発売された初のマイクロフォーサーズ規格レンズでもある。昨年の発売以来大変な人気で品薄も続いているという。ちなみに”NOKTON(ノクトン)”は開放値F1.5以上の大口径レンズに与えられる名称だ。

Home Cooking…avec le GH2! from Philip Bloom on Vimeo.

会場では、パナソニック『LUMIX DMC-GH2』などに装着された展示が行われていたが、すでにネット投稿ビデオを見てもこの組み合わせで素晴らしい映像を写し出しており、世界的にも話題となっている。何と言ってもその開放値F0.95という明るさに魅了される人は多いようだが、マイクロフォーサーズではこれまで明るい単焦点レンズが少なかったこと。そして、やはり35mmフルサイズと比べると撮像素子が小さい分、ボケ味では些か劣る面も指摘されてきたが、このF値であれば夜間に強くさらに相応のボケ味が期待でき、また価格も95,000円というこの仕様のレンズとしては手頃な価格なこともあり、今後DSLRムービーでの動画撮影にも大いに活かされてくると予想される。

最短撮影距離0.17m、最大撮影倍率で1:3.9、レンズ構成は8群11枚、絞り羽根10枚、もちろん電子制御などできないのでフルマニュアル操作ということになるが、それでもマイクロフォーサーズでこれだけの描写を表現出来ることは、その可能性を改めて多くのユーザーに感じさせた逸品だろう。

DMC-GH2の24pシネマモードで撮影されたムービーやその他すでにAG-AF105で撮影された動画も公開されているが、ユーザー各位はその描写力を果たしてどう評価されるか?マイクロフォーサーズシステムの今後を占うレンズといえるだろう。


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