Ust光学部、発足!新しい表現を求めて!

USTREAMで味わい深い映像をどうぞ!ただし音声はオフになっています

高画質で配信するのは、スペック競争でしかなくつまらない…。映像好きの輩が始めた次なる嗜好は…?シネルックへの飽くなき挑戦だった…。

金曜の夜の人形町に集まったレンズマニアの「部員」たち。彼らが会場のテーブルに次々と並べるレンズは、古めかしく傷だらけのニッコールやキヤノンに、M42、エギザクタ、ライカM、L、そして16mmフィルムカメラ用のCマウント、監視用のCSマウントなど、骨董品やら実用ジャンクの趣。やがてこれらのレンズを使ったおかしな宴会と中継が始まった。

USTREAM中継をHDでやる必然性はない。シビアな仕事でもなければ、コストやハンドリング上はSDが一番とすら言える。ゆえに突然、昨今コモディティ化してどこの家庭でも転がっているDVカメラの需要が一部では高まったのだが、ここに来て予想外の新規格が現れた。マイクロフォーサーズのミラーレス一眼カメラである。EマウントのSONY、NEXカメラである。

それは小型のボディに一時の業務用品質、35mmフィルムのレンズの「表現」をたやすく実装してしまった恐るべきガジェットであり、すでに静止画愛好者のおじさんたちの間では手持ちの「銘玉」レンズでのお遊びが流行っていた。だが映像として取り出して楽しむにはHDMIでHDフル解像度。と普通は考えられていたが、よく調べればNTSC形式のSD映像を出力する、あたりまえの機能も実装されていたのである。これは「銘玉」レンズの映像がUSTREAMで使えることではないか?

そこで試しに映し出してみた映像には、SD映像がHD映像に勝てなかった「良」画質を持っていた。それは20世紀を記録してきた、写真や映画やCMが表現されていた、美意識の品質そのもの。そしてとある中継にてゲストの有名女優を捉えたその映像は、「女優カメラ」と名付けられることになる。「Ustにマイクロフォーサーズカメラ、良いのでは?」「私のカメラ使えない?」「俺の古いレンズ見てみたい」…等々、夢が広がっていった。

レンズが繰り出す味わい深い映像を楽しむ

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そして「部員たち」が集まった目的は、ごく不純な動機である。皆がバラバラに持っている限りのレンズ、アダプターを、カメラをひとところに持参し、相性や機能の不明点、知りたいことを全部見てしまおうという目論見。アダプターの無いこのレンズもこれで味がわかるぞウッシシシ。

まずわかりやすいところではライカマウントから始めてみる。50mmといえばズミクロンF2だが、黒筒体の最近のもの、近接撮影できるDR(Dual Range)、さらに試作品らしきシリアルの枕胴版と、戦後から3世代がひと揃い。おまけに先代のズミタール、元はシュナイダー設計のf1.5、ズマリットも登場し、「S」で始まるライカ50mmの歴史はほぼ網羅する。一方ツァイスは戦前イエナのゾナーに始まり戦後のオーバーコッヘン、ヤシカ/京セラブランドの35,85、100の麗しい発色が見事に統一されたファーストレンズセット、コシナ産のZFと見て、旧ソ連産コピーたるインダスター、ジュピターまで、20世紀まんま振り返るようなテストを実行。光学の巨人のなんたるかを知る。

続いて16mmCマウントではボーリューやボレックスに付いていたアンジェニューとスイター。16mmフォーマットゆえの狭いイメージサークルも25mmでなんとか、75mmで完全に使えるレベルの像を結び、パリの街頭や科学実験映像で見ていた濃厚な色を映し出す。国産レンズではどうだろう。タクマー50mmの描写の深さに感心し、ニューニッコール24mmで「カッチカチ」硬調伝説に頷いた後はEFマウントLレンズの最新作で新茶のごときふくよかな「現在」を含んでニンマリだ。

全てのレンズで異なる「ボケ」と「焦点」のデザインを味わって酔いしれる一夜

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一同に満足する光学部部員たち…

今まで雑誌やwebで出てくる比較写真ではわかりずらかったものが、動画で連続して比較すると実によく見えることが面白かった。ボディではオリンパスPen、PanasonicGH-1,2,GF-1,2、それぞれの出力設定や裏コマンド、実際の操作性を確かめることが出来たことも収穫である。メーカーの想定を超える使用法ゆえ、実際に買って苦しみながら発見した操作方法を共有することができたことは大きいだろう。

そうして夜も更け、おじさんたちはニヤつきながら夜の街に散って行くのであった。 病は深まるばかりである。

で、ベストな使えるカメラボディ・レンズは何か?適正な中古価格適正維持のため、それはあえて伏せておこう。Ust光学部!はレンズグルメの貴方の入会をお待ちしています。

txt:鈴木健介 構成:編集部


Vol.02[USTREAM最終案内+]Vol.01