PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [Digital Cinema Bülow]Vol.05 カラーグレーディング前提のワークフロープランニング
News

[Digital Cinema Bülow]Vol.05 カラーグレーディング前提のワークフロープランニング

#Digital Cinema Bülow

2012-06-20 掲載

オンセット・デイリーシステムの最右翼

CGE05_a_OnsetDailies.jpg ステージ(屋内スタジオ)内に設置された1コマだけの小さなColorfrontのブース

フィルム撮影では撮影後にすぐにスタッフ用に作られるラッシュをデイリー(Daily)と呼ぶが、デジタル撮影におけるオンセット・デイリー(On-Set Daily)は、RAWやLogなどのすぐに再生してモニタリング出来ない映像データを、現場ですぐに映像再生するという意味である。

これからオン・セット・システムが重要になってくることは世界的な潮流だ。中でもRAWデータをリアルタイムに現場で現像でき、データトランスファーから再生、同期、カラーグレーディング、QC(クオリティ・コントロール)、オーディオ・シンク、メタデータ管理など、撮影現場における収録データの統合的なマネジメントを支える、デイリープロダクションの統合システム「On Set Dailies」「Express Dailies」などの製品を送り出して、いま世界的に注目を浴びているColorfrontには、今年のCine Gear Expoの会場にも多くの人が集まっていた。

CGE05_b_ExpressDailies.jpg 新製品のExpress Dailiesは毎時デモンストレーションに余念がない

今年は他にもオンセットのデイリーシステムのレンタル会社などいくつか出展していたが、FotokemやTechnicolorなどの大手ポスプロが手がけ、DITサービスまでも行うようなオリジナルシステム以外は、このColorfront社の「On−Set Dailies」のソフトウェアを活用したもののようで、フィルムからデジタルへ移行しようとしている映画制作業界には、いま最も必要とされているツールだといえる。

イメージサイエンスのエキスパートColorfrontは、東欧はハンガリーの首都ブタペストにあるポストプロダクションを経営するMark&Aron Jaszberenyi Brothers(ヤズベレニー兄弟:マーク&アロン・ヤズベレニー)によって、2000年に設立された会社。

元々ハンガリーなどの東欧諸国では、社会主義時代に政府のプロパガンダ政策の一環として、思想啓蒙のための社会主義思想の映画などが数多く作られていた。そのため、スタジオ施設や映画関係のファシリティがハリウッド並に揃っており、民主化した後も現在の映画産業の下支えとなっている。

その中でColorfront社は、当初からカラーグレーディングシステムを開発しており、初期の頃は大作映画にも一部使われたそうだが、その後”5D”というメーカーから発売になったものの、その後に販売を凍結、そして結果的にそのライセンスをオートデスク社が買い取って出来たのが、2005年に発売されたAutodesk Lustre(ラスター)である。ヤズベレニー兄弟も一時期はオートデスク社に身を置くものの、2007年には再びColorfront社に戻り、ポストプロダクション事業を再開する。その後2008年ごろから現在の”On-Set Dailies”のソフトウェア開発を始め、2010年の秋から販売を開始。これまでにハリウッド大手のテクニカラー社やEFILMなどを傘下にもつデラックスグループなど、DIを手がける大手ポストプロダクションへ製品出荷を行ってきた。

Colorfrontは、昨年のIBCでソニーとパートナーシップを締結、InterBEE2011ではSONYのF65などのデジタルシネマ製品にはすでに対応し、またこの際にヤズベレニー兄弟も来日を果たしている。さらにモジュール化されたソフトウエアのフレームワークで、最新のキヤノンC500やBlackmagic Cinema Cameraなどの新しいRAWデータ等にもすぐに対応できるという。

ちなみにオン・セットに対して、ニア・セット(Near Set)は、現場ではないがポストプロダクションとも違う中間位置のところで、RAW現像から仮編集、カラコレ等を行うことを指す。日本では撮影監督がプロダクション作業する場合に、いきなりポストプロダクションで作業する前に、そういったシステムを利用することも有効だと考えられる。

ポスロプロダクション・オリエンテッドの時代

CGE05_d_Rental.jpg レンタル機材ショップは、カメラシステムとDITシステムを同時レンタル(手配)するところも出現

これからのデジタルシネマのワークフローの中で、何が大きく変わるのか?この問いはその制作スタイルなど、そのケースに応じて些か状況が変わってくると思われる。制作ツールの進化によって今後、画像品質の設計の仕方が明らかに変わってくるからだ。

デジタル撮影においてもカラーグレーディングが前提とされる制作スタイルが強まってきた中で、その中でもとりわけオン・セット(撮影現場)などでのデータマネジメント、そしてオン・セット(現場)プロダクション的な作業は今後、必須となってくるだろう。

CGE05_c_Lightiron.jpg “OUT POST””LILY PAD”といったオンセットシステムのレンタルサービスを行う、LIGHT IRON

そこにはDIT(Digital Imaging Technician)といわれる人たちが必要である。PRONEWSでも時代に先んじて、すでに今年1月に山本久之氏によるコラムとセミナー「[Do it]今求められるDIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)とは?」で、DITの仕事内容とその必然性については述べられているので、詳細はこちらを参照頂くとして、DITはハリウッドでもまだまだ新しい職種であり、認知されていない部分も多いという。2、3年前の撮影現場におけるDITは、フィルムカメラの撮影時にフィルムのマガジンを交換する役目の「Loader(ローダー)」という人たちが、単にフィルムの代わりにメモリーカードやHDD/SSDを抜き差しするだけに変わっただけの場合も多かったようだ。ここ近年になってからようやく本来のDIT的な職種=データマネジメント&カラーマネジメントの専門家といった人が現れてきたという。

こうしたデータ管理、いわゆるデータマネジメントが重要になってくると、最終的な作品の仕上がりは、むしろポストプロダクションが重要な位置を占めることになる。信頼出来るDITがいるならば、DPとDITがデータと画質の主導権を取るべきであり、品質管理という点では、カメラの選別までその影響は及ぶ。近年、ポスプロの衰退が叫ばれて久しいが、フルデジタルになったこれからこそ、逆にポスプロ重視の時代になると予想する。ただしここには機材オペレーション&不動産業(箱貸し業)だけのプロは存在し得ない。DIT、データマネージャー、エディター、カラリスト、DIコーディネーターなど、これからのデジタルワークフローの専門性を活かすべく、各職種がプロのクリエイターとしてしっかり機能しなければ存在価値はないのである。

日本のこれまでの映画製作スタイルから、ここをどう創造/実現できるかは非常に興味深いが、デジタルワークフローを飲み込んだ今、映像製作はむしろこれから、”ポストプロダクション・オリエンテッド”な製作スタイルの時代に突入したといえる。

txt:石川幸宏 / 猪蔵 構成:編集部
Vol.04 [Digital Cinema Bülow] Vol.06

[ Category : ]
[ DATE : 2012-06-20 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.16 会場で気になったあれこれ

txt・構成:編集部 美しい肌の色調と滑らかなボケ味を実現したPLプライムレンズ「Sumire Prime」 キヤノンは、NABで発表したSumire Prim... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.15 SmallHD/Teradek:ワイヤレスプロダクションモニターやカメラコントロール対応モニターを展示。両社の技術が新製品に集結

txt・構成:編集部 撮影現場での映像確認やDITに最適な17インチワイヤレスプロダクションモニター「17RX」 TeradekやWooden Camera、Sma... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.14 Cine Gear Expo 2019〜ATOMOS:オンセットやスタジオ用HDRシネマモニター/レコーダー「NEON」を展示

txt・構成:編集部 オンセットやスタジオ向けのHDRシネマモニターレコーダーが登場 ATOMOSは、Cine GearでHDRシネマモニター/レコーダー「NEON」を... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.13 富士フイルム、100メガピクセルのラージフォーマットミラーレス「GFX100」やシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」を展示

txt・構成:編集部 話題のラージフォーマットミラーレスカメラとシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」との組み合わせがユニーク 富士フイルムブースの注目は、... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.12 きれいなフレアとボケ味が特徴のプライムレンズの新製品「Tokina Vista One」シリーズを展示

txt・構成:編集部 シングルコートが特徴のフレアを実現したVista Oneシリーズをデモ 今年のTokina Cinemaブースは、昨年よりも大きくなっている。メイ... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.11 ニコン、フルフレームミラーレスカメラで12ビットProRes Raw出力対応「Z 7」を展示

txt・構成:編集部 3:2のフルフレームセンサーを16:9に上下カットした形で収録可能予定 Cine Gear展示エリアに、ニコンはブース出展していない。しかし、AT... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.10 パナビジョン、NDフィルターの度合いを調整できる6ストップ「LCND」フィルターシステムを展示

txt・構成:編集部 スタンドアロンでもワイヤレスでも濃度の調整が可能な「LCND」 パナビジョンは、レンズ、カメラ、フィルターから制作ワークフロー、ポストプロダクショ... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.08 Leitz、プライムレンズのThalia-Tシリーズに新ラインナップを検討中

txt・構成:編集部 ライカユーザーならお馴染みのTHAMBAR 90mmがThalia-Tシリーズとして登場 2019年8月発売予定のThalia-T 90m... 続きを読む

[Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019]Vol.07 カールツァイス小倉氏にラインナップが充実してきた「Supreme Prime」の魅力について聞く

txt・構成:編集部 Supreme Primeの拡充から見えてくること Cine Gear展示会場の見どころは、やはりほぼすべてが出揃っているレンズメーカーの展示だ。... 続きを読む

特集記事

	
Shoot with Vlog cam Shoot with Vlog cam
個人の動画ブログ「Vlog」が隆盛するいま、Vlog用カメラを通して映像を撮ることを数回にわたり考える。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part II
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part I
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
フィルム撮影の経験をしたい人に向けてフィルム撮影で必要な各種の工程について解説していく。
IBC2019 IBC2019
欧州最大の業務用映像・音響の専門展示会「IBC2019」をレポート。
新世紀シネマレンズ漂流 新世紀シネマレンズ漂流
シネマレンズを中心に一眼やミラーレスデジタルカメラの動画撮影機能と組み合わせて使われる交換レンズの最新動向を紹介する。
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [Digital Cinema Bülow]Vol.05 カラーグレーディング前提のワークフロープランニング