引き続き会場からお届けする。初日の午前中は特別招待者・プレス関係者・プレミアチケット持参者のみという限定された人たちだけが入場できる時間帯。穏やかな快晴ということもあり、多くの来場者で賑わった。昨年はニコンやキヤノンがフラッグシップデジタル一眼を発表したこともあり、初日の登録来場者は11,711人。今年は10,692人と1000人ほど少ないが会場の熱気は昨年以上といった印象である。先ごろキヤノンは2013年12月期の連結営業利益が前年比26.6%増を発表しており、円安による景気回復の兆しがこうしたイベントでも現れているのかもしれない。

CP+は、主催者の変遷とともにカメラショーや用品ショーなどを融合したフォトイメージングエキスポからCP+へ変革を遂げ、時代とともに出展の内容も毎年のようにリニューアルしているが、今年はプロ向け動画エリアを新設した。そのためなのか、既にスチールカメラで動画が撮影できることが特に目新しいことではなくなったせいか、各社のブースも動画を前面に打ち出すこともなく、単に機能の一つとして動画撮影をアピールするようになったようだ。

今年から新設されたプロ向け動画エリア

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新設されたプロ向け動画エリアにはどのような製品が出展されているのだろうか、まずはそこから見てみよう。今年から新設されたプロ向け動画エリア。InterBEEやNABでお馴染みのメーカーが出展しているが、カメラメーカーの出展はなく、周辺機器メーカーで構成されている。

NEP

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オンボードLEDライトCOBERシリーズ。色温度5600KのCOBRA-56シリーズ、3200KのCOBRA-32シリーズの他、白色LEDとの組み合わせで色温度が可変できるシリーズがある。

平和精機工業

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デジタル一眼でもシネスタイルで動画撮影を行う場合LCDモニターやマットボックスなどを装着するとそれなりの重量になる。RS-450はそうした用途にも最適な三脚だ。

グラスバレー

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EOSムービー対応や10bit対応のカラーコレクション、4Kプロジェクトプリセットの追加、3D編集機能、マルチフォーマットのリアルタイム混在編集、ラウドネスメーターなどの機能が追加されたEDIUS Pro 6.5。

銀一

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小型ビデオカメラ用バッテリーやDタップによる電源供給が可能で、調光やワイヤレスリモートにも対応したCINEROID LEDライト。タングステンタイプのL10C-3KとデーライトタイプのL10C-5Kの2タイプがある。

IDX

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DSLRカメラ向けビューファインダーAlphatron EVF-035W-3G 。HD-SDIやHDMI入力に対応したほか、ライブビュー/録画/再生の設定に応じて画像をスケーリング表示するDSLRスケール機能を搭載している。

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DタップやUSB端子を装備しており、12V系のほか5V機器への電源供給ができるVマウントタイプ リチウムイオンバッテリーDUO-150。3月発売予定。

Blackmagic Design

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当初発表のEFマウントのほかMFTマウントモデルが使いされたBlackmagic Cinema Camera。MFTマウントはフランジバックが短いので、アダプターを使用することで、様々なレンズを装着することが可能。

レッドディジタルジャパン

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5KのMysterium-Xセンサーを搭載したRED EPIC。6KのDRAGON センサーへはアップグレードか周辺機器を含めた購入価格$50,000を越えた場合に提供されるという。静止画は無料ソフトウェアRedcine-X Proにより動画から抽出する。

KPI

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参考出展されていたミラーレスVCC。キヤノンやニコンのデジタル一眼レフカメラ用VCC Proシリーズのミラーレス一眼用対応のもので、スチールカメラ用の各社のレンズを装着してアオリ撮影ができる。KPIは駒村商会のビデオ事業部を引き継ぎこうした商品も扱うようになった。

テクニカルファーム

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キヤノンEFレンズのデジタルシネマ用改造サービス。スチールカメラ用のレンズをデジタルシネマとして使う場合フォローフォーカスのギアの問題のほか、F値の表示やフォーカスリングにストッパがなく回ってしまうという問題があったがこの改造によりシネ仕様のレンズとすることができる。改造価格は20-30万ほど。

テイク

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HDMIによりデジタル一眼の動画をProResまたはAvid Codecsで記録できるレコーダーATOMOS NINJA 2。小型軽量、明確簡単な操作のほか実売10万以下で購入可能なので、デジタル一眼と組み合わせて使用するのは使い勝手、価格バランスともにぴったりといえよう。

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ATOMOSのHDMI to SDIコンバーターとSDI to HDMIコンバーター。小型ビデオカメラ用のバッテリーで駆動できる小型コンバーターで、HD-SDI装備の業務用機器と民生用で多用されているHDMI機器と接続に便利。

EOSによるデジタル一眼によるデジタルシネマ撮影のスタイルは、スチールカメラ用レンズの利用のほか、様々な分野へ波及し、すっかり定着した感がある。こうしたコーナーが元々スチールカメラのイベントだったCP+の中にできたということは興味深く今後どのように発展していくのか楽しみである。

CP+の本流から見えるものは?

初日12時の開場を待つ一般来場者の列

昨年大々的にCINEMA EOS SYSTEMを前面に出していたキヤノンも会場内のブースでは控えめな展示となっていた。ただ、別室で特別展示を行ったり、デジタルシネマカメラEOSで撮影された映画を上映するなど、一般へのアピールの方法が変わったものの力の入れようは昨年以上とも言える。一方、デジタルシネマの普及に弾みを付けた元祖とも言えるREDも今回のCP+で初出展を果たすなど、動画とスチールのボーダーレス化が進んできたのか、既に各社ともにHD動画の先を見越した戦略が既にあり、4kや8kあるいはそれ以上の製品投入がすでに射程距離にあるという見方もある。

CP+はスチールカメラ中心のイベントであり、当然その本流も見逃せない。HDの次のステップや新たな機能や使い勝手、デザインなどで工夫を凝らすコンパクトデジカメの世界を覗いてみよう。

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昨年CINEMA EOS SYSTEMをブース前面に大きく展開していたが今年はかなり控えめな展示となった。とはいえ一眼レフメーカーにとってレンズのラインナップは大きな資産であることに変わりはなく、今年はイベントステージ脇に並べられていた

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別室で披露されたデジタルシネマ仕様の装備を施したEOS C500。キヤノンだけでなく昨年と異なり会場内でこうした装備をした展示はなく、CP+は本来の展示に加えて動画は新設されたコーナーか別室でという住み分けがなされ、見やすくなったといえる

総務省は次世代の高画質テレビ規格4Kの放送開始時期や8Kのスーパーハイビジョンの試験放送を前倒しすることを発表しており、余りある解像度を有するスチールのカメラはHD解像度は既に過去のものということだろうか。今回のREDの出展もそうだが、ソニーでも民生用4kカメラを参考出展しておりある意味すでにその兆しは見えてきているのかもしれない。

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EPICのB&W仕様RED EPIC M。EPICにはキヤノンやニコンといったマウントの違いやセンサーもMysterium-XとDRAGONがあるなどいくつかのラインナップがある。RED EPIC Mはモノクローム専用機でCP+会場内のレッドディジタルのブースで展示されていたもの

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参考展示のソニーの民生用4Kカムコーダー。すでにCESでお披露目は済んでいるものの国内では初展示となる。今年中に発売が予定されており、先に発表されたXAVCフォーマットで記録される

多機能化は当たり前のコンパクトデジカメ

コンパクトデジカメはすでに撮影するだけのカメラではなく多機能化が進んでいる。記録媒体としてフィルムを使っていた時代は使い捨てカメラに駆逐されそうになったりもしたが、デジタル時代になり息を吹き返した。ただ撮影するだけでは携帯電話やスマホでも充分になった現在では、デザインや機能、使い勝手も向上しWi-Fiの搭載やスマホとの連携、顔認識、GPS機能の搭載など、機能という面では実に多彩だ。ユーザーが選択するうえで最も難しく、各社が差別化に最も力を入れている部分でもある。もちろん新製品の数も多く毎年新たなデザインや新機能を搭載した製品が発売される。また、ミラーレス一眼も昨年のキヤノンの参入により各社から出揃った。ミラーレス一眼はコンパクトデジカメなのか、一眼レフのジャンルなのか迷うところだが、キヤノンの参入により独立したジャンルと言えるようになったといえよう。

SIGMA

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今月発売となるシグマSIGMA DP3 Merrill。APS-CサイズのFoveon X3ダイレクトイメージセンサー(ジェネレーションネーム “Merrill”)を搭載し50mm F2.8のレンズ(35mm換算で75mm相当)を採用。広角域の撮影はSIGMA DP1 Merrill、標準域の撮影はSIGMA DP2 Merrillと、カメラを使い分けることで様々なシーンに対応。

Panasonic

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パナソニックDMC-SZ3。カネボウ化粧品とのコラボレーションで開発したビューティレタッチ機能を搭載。撮影後にファンデーション、リップ、アイシャドウ、チークを一度にメイクアップできるというもの。

PENTAX

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qの公開を記念して4月に各カラー1500台限定発売のペンタックスQ10。カラーはホワイトを基調としたTYPE00:レイ、バイオレット基調のTYPE01:初号機と写真のTYPE02:アスカの3機種。

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受注生産で100種類ものカラーバリエーションが選べるペンタックスQ10(ボディカラー20種にグリップ10種類)。Webでカラーコーディネートをシミュレーション。カラーナンバーとともに注文するというシステム。

RICOH

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センサーとともにレンズも交換という大胆な発想のリコーGXR。センサーもAPS-C、1/2.3CMOSと1/1.7のCCDがあり、3月23日にRICOH LENS A16 24-85mm F3.5-5.5が発売。

Canon

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1回シャッターを切ると、構図や色を変えた6種類を一度に撮影するクリエイティブショット搭載のキヤノンPowerShot N。ソフトフォーカスや魚眼レンズ風などある意味撮影後の結果が楽しみな機能。シャッターとズームはレンズ根元のリングで行うという操作性といった面でもユニークだ。4月発売。

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往年のレンジファインダー式カメラを彷彿させるデザインの富士フイルムX20。最速0.06秒の高速オートフォーカスや独自のカラーフィルター配列を採用した2/3型X-Trans CMOSセンサー IIを搭載。モアレ抑制のために使用されていた光学ローパスフィルターを取り除くことで、センサーサイズを超えたワンランク上の画質を実現。オールドな外観でも中身は最新の技術が搭載されている。

Nikon

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レンズ交換式アドバンストカメラNikon 1の新ラインナップNikon 1 J3のほか、防水、耐衝撃、耐寒仕様モデルAW110、高倍率ズームとレンズシフト方式+電子式手ブレ補正機能搭載のL820、L28。さらにCOOLPIX S9500、S9400、S6500、S5200、S31、P520が2月に新製品として発売される。Wi-FiやGPS、高倍率ズーム、耐衝撃・防水性能を向上したモデルなど順列組み合わせであらゆるニーズを網羅するという戦略だろうか。もちろんカラーバリエーションもあるので、機種モデルは相当なもの。写真はWi-Fiを中心とした相関図だが、昨年はデジタル一眼を今年はコンパクト機に力を入れたという印象だ。


Vol.01 [CP+2013:新映像創世記] Vol.03