PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [CP+2013:新映像創世記]Vol.05 EOS-1D Cのファインダーから見たCP+2013
News

[CP+2013:新映像創世記]Vol.05 EOS-1D Cのファインダーから見たCP+2013

#Report NOW! #CP+ #CP+2013:新映像創世記

2013-02-10 掲載

1 2 3
txt:手塚一佳 構成:編集部

ますます加速するDSMCの流れ

CP+は本来スチルカメラの祭典だ。しかし、今回のCP+2013からは、ついにプロ向け一眼動画(HDSLR)専門のコーナーも設置され、CP+が動画、特にインディーズ系映画を内包するイベントになったことは誰の目にも明らかとなった。以前、私がコラムで書いたように、RED社の創設者Jim Jannard会長が提唱し、Canon EOS 5D mark 2から本格的に普及が始まったスチルムービー両用カメラ、DSMC(デジタルスチルモーションカメラ)の流れは、もはや誰にも止める事は出来ないのだ。

動画に対するスチルカメラの側からのアプローチは日本でも積極的で、今や、プロスチルカメラマンの7〜8割が動画撮影の経験があると言われている。実際、VimeoやYouTubeなどをみても、スチルカメラマンによる作品が多く上がっている。CP+でプロ一眼動画専用のコーナーが出来たのも当然の流れと言えるだろう。

CP2013_tezuka_01.jpg プロ一眼動画コーナーが設置され、CP+でも映像への本格的な取り組みが始まった。ミニブースの寄せ集めかと思いきや、講演ブースまで用意され、なかなかの人気!

ただ、ここで気をつけなければいけないのが、CP+での映像の扱いにおいては、ビデオカメラ系は少数に留まり、特に業務ビデオ機はほとんど意識されていないということだ。あくまでも、今、進行しているのは静止画を撮影するためのスチルカメラと、その静止画を毎秒24枚連続で撮影するシネカメラの融合であって、そこにはインターレースやブラーなどで一コマの画質を落としてでも動きを優先するENG的なビデオカメラは含まれない。そういう意味では、あくまでもCP+は写真のイベントであると言えるだろう。「活動写真」というのは映画の古い呼称だが、まさにそうした「連続で撮影した写真を並べることで動いて見える映像」つまり、DSMCとしての映像が、CP+の守備範囲なのだ。

CP+に展示されている動画カメラの大半がRAW、あるいはLogガンマ収録に対応している、いわゆるシネカメラばかりなのも、このあたりが関わっている。ビデオ系機材ではRAWやLogガンマというとハイエンドの印象があるが、RAWなどはスチルではありふれた機能であり、Logガンマも、今やHDRという名前で携帯やトイカメラにまで搭載されているごくありふれた機能だ。映画の世界でもこれは同様で、フィルムを取り込んだCineonファイルはLogガンマだし、業界標準になりつつあるREDカメラはRAW連番を売りにしている。

後処理に抵抗のあるものの多いビデオの世界とは事なり、スチル系カメラの経験者にとって、RAWやLogガンマをいじるのは、何ら特別なことでは無いのである。そういう点でもスチルカメラの世界は、DI処理が当たり前の映画の世界との相性は良い。思い返せば、そもそもDSMCの提唱者であるJim Jannard氏自身、スチルカメラマニアが高じてRAW連番シネマカメラ専業メーカーであるRED社を立ち上げたのだ。

CP2013_tezuka_02.jpgCP+はいわゆる「普通」のビデオ機材はあまり無く、REDやCanon 1D C、SONY F55のようなRAW、Logガンマのカメラの展示が目立った。これはスチルカメラユーザーとの相性による

DSMC機、EOS-1D Cでの取材を敢行

今回は私自身、自社所有のCanon社製新型DSMCシネマカメラCanon Cinema EOS-1D Cを手に、取材を行った。同機は、4K Canon Logガンマ収録の可能なCinemaEOSの名を名乗る本物のシネカメラでありながら、ベース機であるEOS-1D Xの機能を一通り揃えており、十分な写真撮影も行うことが出来るマルチロール機だ。もちろん、CP+会場にも同機は展示され、話題をさらっていた。

CP2013_tezuka_03.jpg今回はEOS-1D Cでの取材を行った。同機は会場内Canonブースの他、CinemaEOS専用の展示室にも複数台実働展示され、注目を集めていた

面白かったのは、私が持っているEOS-1D Cが来場者にはさほど注目をされなかったことだ。1D Cを行列して見ている来場者の後で、彼らが見たいはずのその1D Cで撮影をしていることもあるのに、ほとんどのケースで気づかれることはなかった。CP+の特性上、Canon社のスチルカメラの最上位機種である1D Xを持っているユーザーは数多く、その外見上の違いである小さなCマークにはなかなか気づかれなかったのだろう。今回の取材テーマ上1D Cを持って行かざるを得なかったのだが、実のところ、注目されなかったのはありがたかった。やはり、一見普通のスチルカメラに見えるDSMCやその延長線上の1D Cには、シネマカメラを意図させないという、そのカメラデザインならではのメリットがあるのだ(もちろんカメラを目立たせたい時にはRIGを組んでマットボックスでも付ければ良いのだから、問題は無い)。

反面、プレスルームなどで、報道系の人々には一目で見抜かれ、質問や逆取材を受けることが多かった。デジカメ Watchのフェイスブックにも紹介され、知人たちに冷やかされたのは何とも気恥ずかしかった。

今回は1D Cに、三脚やRIGでは無く一脚を着け、主にスチル写真撮影用途に用いたが、そういうフレキシブルな使い方が出来るのもDSMCカメラの特徴だ。DSMCカメラとは、普段のスチル写真撮影に、ロケハンに、本番の映像撮影にと、常に携帯して使い続けるカメラであり、クリエイターの相棒としてそばに置いて活躍し続けるカメラ、ということになる。とはいえ、「万能のカメラは無い」とはよく言う言葉だが、実は1D Cには長時間連続の動画撮影に欠かせないセンサーの冷却機能が付いていない。つまり、ビデオ的な長時間動画撮影を切り捨てることによって、スチルと映画の高次元での両立を図った傑作DSMCカメラが、このEOS-1D Cなのだ。連続写真が撮りたければ、連写機能を使うだけではなく、4K動画を撮ってもいい。Motion Jpegで各フレームが独立しているので、フレーム書き出しさえすればそれはそのまま写真になる。Canon Logで撮っておけば、Photoshop上でガンマをいじるのも楽だ。

カメラによって、何を重視し、何を切り捨てるのかが異なるのも、発展途上のDSMCの面白いところだ。DSMCの元祖であるRED社のEPICやScarlet Xは、撮影機能の内、携帯性とバッテリーの持続時間を思い切って切り捨てて、常に三脚やRIGでの運用をすることでビデオと映画、スチル撮影の全ての機能の高次元での実現を図っている。REDのCP+初参戦の今回は、動画だけでなくそのスチル機能にもしっかり注目して欲しいと言うことで、動画ブースと合わせて計2ブースを出しての派手な登場となった。

CP2013_tezuka_04.jpgDSMCの元祖RED社は、スチルに力を入れはじめた。ひょっとしたら近々フラッシュ連動などのスチル機能強化も実現するかも知れない

もちろん、既存のスチルカメラメーカーもこうした動きを指をくわえてみているわけではない。例えばパナソニックは、その最新鋭機Lumix GH3で「旅カメラ」と題して、小型なマイクロフォーサーズの利点を生かした身軽なスチル写真と動画撮影の講演を行い、大盛況であった。DSMCというカメラスタイルは、まさにこうした両用撮影を意識したスタイルであり、中でもGH3のこのスタイルはアマチュア〜個人作品撮影向けのライトな撮影スタイルで、画素数や色数よりも楽に確実にワンマン撮影できる事を目指した独特の路線と言えるだろう。また、GH3の動画コーナーはプロ一眼動画コーナーに隣接して設置され、相乗効果で常に多くの見学者を集めていた。同カメラの前身GH2は、スチルカメラとしてというよりもファーム改造可能で極めて優秀なフルHDミニシネカメラとして名を馳せていたから、この配置には誰もが納得しただろう。また、SONYは同社製F55などの新型シネカメラを積極的に展示していたし、Nikonも、同社の新型カメラNikon 1 V2を利用した動画撮影術なども紹介していた。

CP2013_tezuka_05.jpgGH3のコーナーは塙真一氏による「旅カメラ」講演等の新しいテーマで大変な盛り上がりを見せた。身軽にフルHD動画が撮れるのもDSMCならではの利点だ
1 2 3

[ Category : ]
[ DATE : 2013-02-10 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[CES2020]Vol.11 Crystal LEDとAtom Viewで実現するヴァーチャルセット最前線~まさにリアルを超える?!

txt:西村真里子・猪蔵・編集部 構成:編集部 リアルとバーチャルの境目がなくなる影像制作 CES 2020はそれまでのCESの歴史から大きくシフトを宣言している年であ... 続きを読む

[CES2020]Vol.10 テレビ局が不在でも完全に8Kが主流のCES2020

txt:江口靖二 構成:編集部 CES 2020の主流が「8K」となった理由 CES 2020では完全に8Kが主流である。グローバルで市場を牽引する中国とアメリカでは、... 続きを読む

[CES2020]Vol.09 「次の10年のエンターテインメント・プラットフォーム」とは?〜モバイル向け動画配信サービスQuibiスタート直前

txt:加藤薫(博報堂DYメディアパートナーズ) 構成:編集部 モバイル向けストリーミングサービス「Quibi」とは? 生活を変えるテクノロジーのショーケースとして... 続きを読む

[CES2020]Vol.08 日常が“つながる”と意外なものがメディアになる?未来の生活を彩るものたち

txt:平野陽子 (大広) 構成:編集部 2020年1月7日~1月10日、米国ラスベガスにて「CES 2020」が開催された。すでに多くのメディアで語られているが、再度振り返... 続きを読む

[CES2020]Vol.07 人工人間、身体性が問われるテクノロジー「NEONプロジェクト」

txt:西村真里子 構成:編集部 CES 2020で注目のテクノロジー「NEON」とは CES 2020の日本のスタートアップが出展するEureka Parkに... 続きを読む

[CES2020]Vol.06 目の付け所がAIなプロダクトが続々登場〜会場から見えてくるAIプロダクト達

txt:江口靖二 構成:編集部 進化する画像センサーがより良い未来を作る サムスンの「Ballie」は目の付け所がサムスンなプロダクトだ。百聞は一見にしかず、サムス... 続きを読む

[CES2020]Vol.05 航空会社として初基調講演。デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティ ディスプレイ

txt:江口靖二 構成:編集部 航空会社として初めての基調講演 CESでのキーノートには、例年家電メーカーであったり、インテルやクアルコムのようなチップ系のメーカー、最近では自... 続きを読む

[CES2020]Vol.04 より多くの人を集めるために〜CESにおける「見せ方」と「ブランディング」効果とは?

Audiのブースは上からキラキラしたリボンが無数に装飾されており、否が応でも足を踏み入れたくなる txt:清水幹太 構成:編集部 来場者の気を引く“見せ方”は多種多様 ... 続きを読む

[CES2020]Vol.03 一般化を迎えたカテゴリーに花開く、味わい深いプロダクトたち〜展示会スタート

txt:清水幹太 / 編集部 構成:編集部 いよいよ展示会が始まる MediaDayが終わり、CES展示会場での展示がいよいよ始まった。CESの他の展示会と大きく違う点... 続きを読む

特集記事

ATEM WORLD ATEM WORLD
ラインナップ充実のATEM Miniシリーズの選び方や使いこなしをご紹介。
SIGGRAPH2020 SIGGRAPH2020
オンライン開催されたVFXの祭典・SIGGRAPH2020をレポート。
映像基礎講座 映像基礎講座
映像の基本や基礎知識を学ぶ。映像制作初心者はもちろん、熟練者ももう一度初心に立ち返ろう。
	
Shoot with Vlog cam Shoot with Vlog cam
個人の動画ブログ「Vlog」が隆盛するいま、Vlog用カメラを通して映像を撮ることを数回にわたり考える。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part II
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part I
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
Inter BEE 2019 Inter BEE 2019
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2019の歩き方 InterBEE 2019の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [CP+2013:新映像創世記]Vol.05 EOS-1D Cのファインダーから見たCP+2013