PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > 特集 > [SoundScape2013]Vol.06 サウンドプロダクションの再定義

News

[SoundScape2013]Vol.06 サウンドプロダクションの再定義

2013-09-30 掲載

SoundScapeオフビート解説

映像制作におけるワンマンオペレーション/スモールプロダクションの中で、特にサウンドに関わる分野はなかなか各ユーザーの使用レベル、そして知識レベルが均一化していないため、どんな内容で、どの方向性の情報が有益なのか?という点が、我々PRONEWSのような媒体でも記事の表し方においても難しい。ライター陣を選出するにおいてもなかなか焦点を定めにくく、非常に見極めにくい分野であった。今回半ば実験的ではあったが、これまでにない新しい試みとしてこうした視点で掲載したこの特集『SoundScape』は、映像制作パッケージという一つの括りの中で必要な情報や新しい試み、またこれからの制作について廻るワールドスタンダードな考え方などを、とりあえず表に出してみた状況だ。

Vol.01~05までの今回のサウンド特集内容は、一見あちこちに飛んでいるように見えるが、ダウンサイズされたプロダクションスタイルの中における、様々なトレンドを多角的に考察・取材した。Vol.01Vol.02では、まだまだ広がるDSLRムービー等での映像制作において、基本的なサウンド制作の側面を今一度、2013年の現状として改めて捉えることで、新規ユーザーやサウンド初心者への再啓蒙を目的とした。Vol.03では、PAに関わる現場の再定義とともに、担当スタッフ自体の変化が伴っていることの確認、またVol.04では『ライブメディア』という新たな映像配信ビジネスにおける現場システムということで、“MAPS”によるワンマンオペレーションによる新たな現場配信スタイル(システム)をサウンドの専門家の立場からクローズアップして頂いた。

ちなみに今回の特集でもキモの部分となっているMAPSだが、その基幹システムのDAWとオーディオインターフェースとして採用しているMOTU(モツ)社(※)。MOTUとは、元々の社名である“Mark of the Unicorn(マーク・オブ・ザ・ユニコーン)”の略で、実は1980年に創設されたサウンドソフトウエア&デバイス関連の老舗メーカーだ。1984年よりオーディオ、ビデオおよび音楽制作のための製品開発を行っているが、最初に話題となったのはMacベースで動く最初のサウンド関連ソフトウェアとして有名な“Performer”だ。今回紹介したMAPSでは、この最新バージョンとなるDigital Performer 8を採用している。Performerは開発当時、アップルMacintoshの登場に触発されたMOTUの技術者が、Mac対応の音楽ソフトとして開発したことに始まり、1985年に正式リリースされた“Performer”はDAWのMIDIシーケンサーとして汎用的に使われて来た。現在は社名を正式にMOTUに変更。近年は音質重視のビデオソリューションも開発に力を入れており、NABなどでもアドビ、グラスバレー、ブラックマジックデザイン、AJAなどと同じフロアでの展示が目立ってきている。日本での同社製品の販売は現在、サウンド関連機器の専門輸入代理店、ハイ・リゾリューション社から販売されている。

※MOTU社:米マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠地を構える、コンピュータベースのオーディオ、そして近年ではビデオ制作のハードウェアとソフトウェアのメーカー

そしてVol.05では、ワンマンオペレーション&スモールプロダクションというには、いきなり真逆のハリウッドのサウンドデザインの話が語られたかのような印象もあるかもしれないが、要は制作系の映像の場合、その表現と演出にサウンドが重要かつ根本的な視聴者意識のコントロールの上で、いかに大切なリソースになってくるものかを、いま一度理解して頂きたいという思いで取り上げた事例である。とりわけ日本の映画制作では、カラーコレクション(カラーグレーディング)とともに世界的に貧弱だとされるサウンド面は、いま一度見直すべき部分である。さらにこうした音の面での演出感覚は、実はインディペンデント映画であれ、PVであれ、シネマティックウエディングビデオであれ、制作サイズに関わらず影響して来ることは、特にワンマンやスモールプロダクションで編集作業まで自ら行っている方には、よく理解出来る話だと思う。

サウンドクオリティにもっと関心を

音周りの機材情報ももちろん様々あるが、デジタルワークフローが枝葉のように派生していく現況では、メジャー製品の最新情報よりもいま現場で問題になっている事象について、これがあれば一発解決的な情報が最も重要視されるのもこの分野の特徴だろう。

SS_06_01.jpg PROTECHの「NC-400」

例えば、“PROTECH”ブランドで有名な、日本ビデオシステムの音声ノイズ除去装置、ノイズイーター「NC-400」は、スタジオやイベント会場の電源回り込みノイズをカットするのに便利な機材として重宝されている。例えば、コンパクトカメラヘッドとの組み合わせや、映画やCM現場でのプロキシ・アーカイブ用途など、様々な現場で多用されているパナソニックのハンディサイズHD-SDIレコーダー「AG-HMR10A」。

これは多方面で使用されている非常に便利で優秀なAVCHDレコーダーだ。この手のHDビデオレコーダーで問題になることが多いのは、電源回り込みノイズだ。アンバランス入力機器によるライン音声収録や電源状態がキビシイ現場など、特に多くの電源機材が混在しているイベント会場などでのビデオ収録時には、会場の電源状態や音声ケーブルの引き回し方によって、収録音声にノイズが乗ることが多々あり、現場のカメラマンにとっては悩みの種だ。そんなときに便利なのがこのノイズイーターNC-400だ。GND系を介して伝搬する音声ノイズを抑えるためにアース・リフト回路を搭載、さらに同社がフィールドミキサーで培ってきた音声用トランスによるノイズリダクション技術により、収録音声からノイズをカットしクリアな音声収録を実現する。

こうしたノイズリダクション機材を撮影現場に準備することは、従来のビデオカメラマンでは当たり前のことだが、シネマウェディングなどの現場が増えて来た現在においては、実は収録音声の質感も重要なリソースになる。あまり馴染みの無かったスチルカメラ系のムービー制作者にも、こうした部分でサウンド収録にもBGMだけでなく、ぜひ気を使って制作に当たって欲しいと思う。

また従来からのビデオ制作者も、それこそ今後は4K収録など高解像度映像の時代に突入し、サウンド面に関してもよりハイビットレートでの高音質収録を求められる一方で、効率化、縮小化が進みつつもクオリティを落とすことはできない。その中でいかに最新機材の利便性を自分のフローに取り入れて行くかが、個人個人の今後の課題になっていくだろう。また時を改めて、その時期にあった様々な視点から、ワンマンオペレーション/スモールプロダクションにおけるサウンド作りについて、紹介してみたいと思う。

txt:石川幸宏 構成:編集部
Vol.05 [SIGGRAPH 2013] Vol.00

[ Category : , ]
[ DATE : 2013-09-30 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[SoundScape2013]Vol.05 日本映画のこれからのサウンドデザインを考える

米LAのカルバーシティにあるメジャースタジオ、ソニー・ピクチャーズ・スタジオ。ここで10年以上も第一線で活躍されている、日本人サウンド・エフェクト・エディター、石川孝子さん。これま... 続きを読む

[SoundScape2013]Vol.04 最新スキーム/ライブメディア事業における最小ユニット化と音の役割の重要性について

ライブメディアでの必須事項は"コストダウン"と"スペースファクターの更なるコンパクト化"だろう。しかも品質は維持したままでだ。機材の規模を縮小する事はこの2点に合致する。機材自体の... 続きを読む

[SoundScape2013]Vol.03 プロサウンド現場の変貌 PA、音声、収録など各分野の孤立化

プロサウンド現場の変貌とは? 現場にはPA、音声、収録など各分野の音響として様々に専業化し孤立する傾向にある様に見える。それらは必要最小限の機材、人員で運用コストをギリギリまで圧... 続きを読む

[SoundScape2013]Vol.02 DSLR撮影のための機材とは?

すでに使い慣れている方々はご存知のように、デジタル一眼レフカメラ=DSLRは音声が弱点だ。これだけDSLR動画が普及しても、やはり基本は静止画撮影の為のカメラであり、動画機能は二の... 続きを読む

[SoundScape2013]Vol.01 ワンマンオペ、スモールプロダクションサウンド収録の留意点

いつの頃からだったろう、NLEソフトの進化と低価格化のせいで、ディレクターが自分で編集することが当たり前になってきた。最初は粗辺粗編などと呼ばれ、ザクッと全体像が分かる程度の物だっ... 続きを読む

[SoundScape2013]Vol.00 分業化・細分化が進む映像制作〜それに伴うサウンドプロダクション変貌とその問題点

ハイクオリティ・サウンドプロダクションへの回帰〜 2020年の東京オリンピック開催招致も成功し、国内での映像界での2013年度後半のキーワードとして、さらに際立つ存在になった「4K... 続きを読む

特集記事

SIGGRAPH2019 SIGGRAPH2019
世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会SIGGRAPH2019をレポート。
QBEE2019 QBEE2019
九州放送機器展(QBEE)をいつもの会場練り歩き方式でレポート。
4K・8K映像技術展Report 4K・8K映像技術展Report
東京ビッグサイト青海展示棟にて開催された4K・8K映像技術などの最新技術が一堂に出展する「通信・放送Week2019」をレポート。
DSJ2019 DSJ2019
幕張メッセで開催された国内最大のデジタルサイネージの展示会「DSJ2019」をレポート。
Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019 Digital Cinema Bülow VIII~Cine Gear 2019
米国ハリウッドのパラマウントスタジオ内で開催された映画撮影機材の専門展示会「Cine Gear Expo」をレポート。
After Beat NAB SHOW 2019 After Beat NAB SHOW 2019
東京・秋葉原のUDXにて開催されたAfter NAB Show 2019をレポート。
NAB2019 NAB2019
米国ネバダ州ラスベガスにて開催される世界最大の放送機器展覧会「NAB2019」をレポート。
SXSW2019 SXSW2019
テキサス州オースティンで開催されたSXSW2019をレポート。
CP+2019 CP+2019
パシフィコ横浜にて開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2019」をレポート。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
いまだから知っておきたいフィルムの現状や伝統的な技術などを紹介する。
CES2019 CES2019
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2019をレポート。
PRONEWS AWARD 2018 PRONEWS AWARD 2018
2018年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
10万円以下のジンバル選び 10万円以下のジンバル選び
一層注目が増している小型カメラジンバルをDJIやZHIYUN、FEIYU TECH、FILMPOWERの4社5機種に渡って比較紹介。
Inter BEE 2018 Inter BEE 2018
千葉幕張メッセにて開催される国際放送機器展“Inter BEE“をレポート。
InterBEE 2018の歩き方 InterBEE 2018の歩き方
今年もInterBEEの歩き方をジャンル別にピックアップし、6種類のコースを紹介。

トップ > 特集 > [SoundScape2013]Vol.06 サウンドプロダクションの再定義