開催二日目から関東地方は大雪に見舞われ、3日目の2月15日土曜日は悪天候のための交通機関の運航中止、運行遅れなどが目立ち、異例の開催中止となった。今回は会場の中に見られる注目の製品群を取り上げて行きたい。

DJI | 本格的クアッドコプターで注目のDJIがCP+に初出展

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今まで手の届かなかった空撮を容易に実現してくれるDJIのPhantom 2

クアッドコプターや空撮装置で有名なDJIがCP+に出展と聞いて驚いた人は多いのではないだろうか。実際にブースではさまざまなクアッドコプターが展示され、ブース中央の囲いの中でデモ飛行が行われていた。

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変更されたPhantom 2用のバッテリー

その中で注目製品はやっぱり「Phantom 2」だ。特徴はホバリングの安定性だ。実際にブース中央で実際に飛行している様子を確認できるよになっていた。バッテリーの形や仕様も変更されたのもポイントだ。形状が変更されたことによりセットしやすくなり安全性も高くなった。容量も大きくなってPhantom 1では最大飛行時間が10分だったのに対して、Phantom 2では25分に延びている。

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ジンバルにGoProを搭載したところ

本体の価格は75,000円で、ジンバルは40,600円だ。アマゾン内でDJI japanが直販を行っているというところも「おおっ!」と思うところだ。

RED | DRAGONセンサー搭載EPICやワークフローのデモを展示

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6KのDRAGONセンサーにアップグレードされたEPIC

昨年CP+に初出展したレッドディジタルジャパンだが、今年もCP+に出展していた。ブースの正面には6KのDRAGONセンサーにアップグレードされたEPICを展示していた。

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REDCINE-Xから4KのEIZOのモニターに出力した4Kのワークフローの紹介

ブース奥ではREDCINE-Xから4KのEIZOのモニターに出力した4Kのワークフローの紹介を行っていた。ブース側面は4Kシネマプレーヤーの「REDRAY Player」を通じて4K 85インチのパネルに4Kフッテージを流すデモが行われていた。

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REDRAYを通じて4K 85インチのパネルに4Kフッテージを流すデモ

REDRAYの特徴はHDMI 1.4の1本で試聴環境が作れるというところで、デジタルサイネージ関連で使われることが多いとのことだ。

GoPro NIPPON | 安定人気のHERO3+をアピール

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スポーツなどでのGoProの設置例も紹介されていた

今年からGoProもCP+に出展してきた。CP+でもGoProの展示らしくブース中央には市販車をベースに作り上げたスーパーマシン「GoPro モンスタースポーツ スーパースイフト」が展示されていた。メインの展示はHERO3+だ。ブース内には多数の大型モニターが設置されていて、実際にGoProで撮影した迫力のある映像が流されていた。GoProは非常に小型なボディだが、高品質な映像が撮れるということをアピールしていた。

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洗濯バサミのようなクランプマウントとフレキシブルアームがセットになった「ジョーズフレックス クランプマウント」とHERO3+を組み合わせた例。どこでもGoProの固定が可能になり、自分撮りなどがしやすくなるアクセサリー

TOAST-TECHNOLOGYはマルチファンクショナルターンテーブルをアピール

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タイムラプス撮影に対応したスライダードリーとTP-2を組み合わせ使用可能。横方向にドリー、さらに回り込むような移動ショットを実現することも

昨年11月に発売を開始したマルチファンクショナルターンテーブル「TP-2」が展示されていた。TP-2は、設置するスタイルによっていろいろなものに使えるターンテーブルだ。もともとは地球の日周運動に合わせて夜空の星を自動追尾し、長時間露光撮影時に星を点像に写すことが可能な天体撮影用自動追尾装置だが、タイムラプスムービーの撮影のための電動ターンテーブルにも対応する製品になった。

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天体撮影用赤道儀として使用した状態

例えば斜めに設置すると、星を自動的に追いかけてくれるモードになる。星、月、太陽など天体によって3種類のモードを選ぶことが可能だ。あとは自動で星の動きにカメラを合わせて追いかけてくれる。水平にセットすれば横方向に回転してくれるタイムラプスのマウントになる。

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市販のLブラケットと組み合わせて上下方向のチルティングに対応した状態

市販のLブラケットと組み合わせると上下方向のチルティングに対応できる。2台組み合わせると、パンとチルトを別々の速度、別々の方向が設定できてより複雑なモーションシミュレーションができる。スライダードリーと組み合わせるといったことも可能だ。例えば木があったら、木を回り込みながら星空が動いているような演出ができるシステムを実現できるようになる。

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2台組み合わせればパンとチルトを別々の速度、別々方向の設定が可能だ

記録メディア団体や記録メディアメーカー展示から4K時代の記録メディアを再確認

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スピードクラス10やU1は最低速度が10MB/秒だったが、U3は30MB/秒に設定されている

CP+には、フラッシュメモリーカードで最大手のサンディスクやSDアソシエーションやCFアソシエーションといった記録メディアの規格団体も出展している。その中でもSDアソシエーションのブースでは、4Kの記録に適用なUHSスピードクラス3の紹介を行っていた。UHSスピードクラス3はリアルタイム性が要求される連続データ書き込みを最低速度を30MB/秒とした規格で、4Kの動画データを記録するのに適している規格だ。4Kの動画データをSDカードに記録したいという人には要チェックの規格だろう。

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パナソニックのGH4とともにU3対応メディアが展示されていた

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U3対応カードはパナソニックのほかにも、パイソンやキングストンといったメーカーから発売中。4月にはサンディスクからも発売予定

サンディスクのブースでは、SDXCカードの高速転送規格「UHS-II」の速度をアピールしていた。まずは「UHS-II」とは何か?という話だが、リード280MB/秒、ライト250MB/秒のSDカードの転送規格だ。

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右がUHS-IIのカード。左が従来のカード。端子が異なっている

SDXCカードとサイズや外観は同じだが、接続端子部分が変更されている。UHS-II対応デジタルカメラは、現在のところ富士フイルムから発売されているデジタルカメラ「X-T1」だけだ。ブースでは、X-T1の画質モードをFINEで撮影したJPEG画像とRAWファイルの両方を保存する「FINE+RAW」に設定して、5秒間連写を行ってインジケーターランプが消えるまでの時間を「サンディスク ウルトラ」とUHS-II対応の「サンディスク エクストリームプロ」で書き込み速度を比較するデモが行われていた。

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UHS-II対応の「サンディスク エクストリーム」は18秒で書き込みが終了。非常に高速だ

結果はサンディスク ウルトラは1分6秒、UHS-II対応のサンディスク エクストリームプロは18秒と圧倒的にUHS-IIのほうが高速だった。ちなみに、パナソニックのGH4は「4K動画も記録可能なUHSスピードクラス3(U3)のSDカードに対応」ということを発表したが、UHS-II対応のサンディスク エクストリームプロもU3に対応している。4Kにも活用できることもアピールしていた。

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こちらはCFアソシエーションブースに展示されていたXQDカードの様子

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CFアソシエーションブースではコンパクトフラッシュの後継規格と言われているCFastカードの展示も行われていた。ARRI AMIRAが対応することで有名だ

プレミアム単焦点レンズに注目

■シグマ
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シグマの50mm F1.4 DG HSM。レンズ構成は8群13枚だ

CP+では、魅力的な単焦点レンズがいくつも展示されていた。まず注目はシグマブースに展示された35mmフルサイズフォーマット用大口径標準レンズ「SIGMA 50mm F1.4 DG HSM」だ。シグマは最高の光学性能を実現したレンズをArtラインシリーズと呼んでいるが、SIGMA 50mm F1.4 DG HSMはArtラインシリーズのレンズだ。

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50mm F1.4でありながらフィルター径は77mmと大柄だ

同社の従来製品の「50mm F1.4 EX DG HSM」からレンズの枚数も構成からすべて変更となり、画面の隅々まで解像するような新設計になっている。フィルター系は77mmと大柄で実際に持ってみるとズシリ重い。重量はプレスリリースでは未定となっていたが、ブースのスタッフは815グラムと紹介していた。

ライバルとなりそうなニコンの58mm f/1.4GやコシナのZEISS Otusと使い勝手の面で比較するならば、シグマのレンズマウントの交換が可能ということが挙げられるだろう。50mm F1.4 DG HSMの交換費用は未定だが、8,000円から10,000円でできるのではないかとのことだ。また、USBdockというものを使えばピントの調整ができるものシグマのレンズの魅力のところだ。価格は未定だが、同社の35mm 1.4と同じぐらいの値段になるのではないかとのことだ。発売日は未定だ。

■ライカ
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立体感とアウトフォーカス部の柔らかいボケ味を楽しめる大口径・中望遠レンズの「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2」

パナソニックブースに展示されていたマイクロフォーサーズ用AF交換レンズ「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2」もCP+の注目製品だ。ライカの厳しい性能評価基準をクリアしたLEICAブランドをレンズ名に冠にしていることと、大口径、高品質レンズのDNAを引き継ぐレンズとしてライカより「NOCTICRON」と定義されたことからこの名称になっている。

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ブース内にLEICA DG NOCTICRONを実際に撮影できる体験コーナーが設けられていた

特徴は35mm判換算で85mmとなる42.5mmにF1.2と非常に明るいところだ。レンズ鏡筒の絞り専用リングを搭載しているところも面白いところだ。価格は20万円だ。

■コシナ
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55mm 1.4ながら大きくて重量のあるOtus 1.4/55

コシナのブースには35mmフルサイズフォーマット用の一眼レフカメラレンズ「Otus 1.4/55」が展示されていた。コシナのサイトでは「現時点で世界最高のレンズ」と紹介するほどコントラスト再現性やシャープネスに優れているのが特徴のレンズだ。フィルター径は77mmでレンズ構成は10群12枚、質量はニコン向けのモデルで960グラム、キヤノン向けのモデルで1,010グラムとヘビー級な仕様を備えている。米国などでは昨年11月より発売が開始されていたが日本でも5月発売と発表された。価格は税別で42万5,000円だ。

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カットモデルも展示されていた。レンズ構成は10群12枚だ

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Touit 2.8/50MはXマウント用とEマウント用がリリースされる予定だ

同じくコシナのブースでTouitシリーズの第3弾となるAPS-Cシステム向けのレンズ「Touit 2.8/50M」が展示されていた。富士フイルムのXマウント用とソニーのEマウント用がリリースされる。価格は税込みで11万2,500円。発売は3月を予定している。

■ツァイス
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ツァイスのコーナーにはシネマレンズがSCARLETやBlackmagic Cinema Cameraなどに取り付けられて展示されていた

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こちらはツァイスのCPレンズの展示

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フォクトレンダー側のコーナー。新製品はNOKTON 25mm F0.95 Type II。動画対応の絞りクリック切替え機構も搭載

■ケンコー・トキナー
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AT-X 16-28 F2.8 PRO FXをベースとしたシネマレンズ「16-28 T3.0」がBlackmagic Production Camera 4Kと共に展示

ケンコー・トキナーのブースでは1月に発売したばかりのシネマレンズ「16-28 T3.0」のEFマウントモデルが展示されていた。価格は58万円だ。16-28 T3.0はギヤシステムやフォローフォーカスを用いて撮影時のピント合わせや絞りを精密に操作することが可能だ。ブースでは、Blackmagic Production Camera 4Kに16-28 T3.0 EF、MOVCAMのBMCC Cage KITやフォローフォーカスMF-1などと組み合わせて展示されていた。

クリエイティブ向けの4K対応ディスプレイが登場

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24型4Kワイド液晶ディスプレイ「MultiSync LCD-EA244UHD-BK」

いくつかのメーカーがディスプレイの展示を行っていた。その中で気になったのはNECディスプレイソリューションズの4K対応モニターだ。PC接続の4KディスプレイというとEIZOが199万5,000円で販売している36.4インチ「FDH3601」を連想する人が多いのではないだろうか。そのために非常に高嶺の花というイメージが付きまとっていたが、ここ最近はデルが23.8インチ液晶モニター「UP2414Q」を約10万円で販売するなど大幅な低価格化が進んでいる。

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こちらは32インチの4Kワイド液晶ディスプレイ。発売は秋を予定

CP+の会場でもNECディスプレイソリューションズが4K対応モニターを2モデル展示していた。1つは24型4Kワイド液晶ディスプレイ「LCD-EA244UHD-BK」だ。特徴は、QFHD(3840×2160)の解像度やAdobe RGB相当の広色域を実現する「GB-R」白色LEDバックライト採用していることだ。価格はオープンプライスで、実勢価格は30万円から20万円台になる可能性もあるとのことだ。4Kで23.8インチ液晶モニターというと現在デルが非常に安く販売中だが、「写真やグラフィックの作業に耐えうる製品で4Kでということになるとうちのものが一番安い」とアピールをしていた。発売は5月末を予定している。もう1つは32インチの4Kワイド液晶ディスプレイだ。価格はLCD-EA244UHD-BKの倍以内で発売は秋を予定している。

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会場で展示されていたColorEdgeシリーズの中の1つである24.1インチモデルの「CX240-CNX」。標準でキャリブレーションが可能

EIZOブースでは最新ColorEdge全ラインナップが展示されていた。ColorEdgeシリーズには4K対応ディスプレイなどは存在しないが、カラーマネージメントソフトウェアと専用センサーがセットになったモデルが発売されているなど、色の管理にこだわられているのが特徴だろう。

中判デジタルカメラの新製品も注目

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CMOSセンサー搭載でライブビューが可能になったPhaseOneのデジタルカメラバック「IQ250」

今年のCP+は、各社のCMOSセンサーを搭載した中判デジタルカメラの新製品が早速展示されていた。中判デジタルカメラは映像の撮影はできないが、中判の新製品は今年のCP+のメイントピックの1つなので紹介しておこう。

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一眼レフカメラのライブビュー機能のように、デジタルカメラバックの背面液晶モニターでライブビューが可能に

一番の注目はDNPフォトルシオのブースに展示されていた5,000万画素のPhaseOne IQ250だ。操作を体験できる実機が展示されていた。特徴は最大感度が6,400、常用で800に設定しても問題なく撮影ができるところだ。連写性能も強化されていて、今までのCCDモデルは画像の転送が遅かったりバッファメモリが小さかったりしたが、IQ250のバッファメモリは2倍の2GBを搭載するようになり連写性能も向上している。新しく実現できるようになったライブプレビューも強力だ。CCDモデルでライブプレビューをしようとするとカクカクした動きになっていたが、中判デジタルでも一般的なキヤノンやニコンの一眼レフのようなライブプレビューができるようになった。

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PCと接続してRAW現像ソフトのCapture One上でもライブビューを確認することが可能

ハッセルブラッドもCMOSセンサーを搭載した中判デジタルカメラHasselblad H5Dの「50C」を展示した。1月に発表されたプレスリリースでは「仕様を3月に発表」としていたが、急遽日本のCP+で実機を展示。世界初公開として展示されていた。注目のセンサーだが、PhaseOne IQ250と同じ33×44mmの5,000万画素だ。特徴は高感度に対応だ。まだ開発段階だが上限は6,400で、3月に発売される頃にはさらに感度が上げられるようになるかもしれないという。このほかに、長時間露光も強化される予定とのことだ。発売の予定は3月で、価格が260万円ぐらいを予定しているとのことだ。

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3月に仕様発表を予告していたが、CP+で急遽実機が展示されたHasselblad H5Dの「50c」。外観は従来モデルの「50」に「c」の文字が追加されたのみ

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中判ではないが、ハッセルブラッドブランドのフルサイズ35mmカメラHasselblad HVも展示されていた。なんといってもデザインが特徴的

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こちらはHasselblad stellar。高級感漂うデザインが特徴だ

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ブースに展示されていたPENTAX 645D 2014(仮称)

リコーのブースでもCMOSイメージセンサーを搭載した「PENTAX 645D 2014(仮称)」が展示されていた。稼動はしていなくて、触れることも一切できない状態の展示だった。ライブビューができるか?といった質問などをしても「まだ未公表です」という返事のみ。価格に関しても「正式発表までお待ちください」とのこと。ちなみに現在発売されているペンタックス645Dのユーザー層の比率を聞いてみると、圧倒的にハイアマチュアが多い。それに加えて、最近はプロの方も使う人が増えてきているという。参考出品発表のプレスリリースで「多彩な撮影用途に対応するために高速レスポンスを実現する予定」と明記されていたが、最近増えているプロの方を意識した改善になるようだ。発売は2014年春頃を予定している。

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チルト式液晶モニター部分も間近でみることができた

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新レンズも展示されていた。こちらもレンズも画角も含めた仕様は一切未公開。現在発売されている645Dで使えるズームレンズとして33-55mmという非常に広角なワイドズームレンズが発売されているが、645Dにつけると平凡なワイドズームになってしまう。そこで645Dでも超ワイドで撮影できるようなズームレンズだと予想される




Vol.01 [CP+2014:新映像創世記] Vol.03