[After Beat NAB SHOW 2014]Vol.01 NAB2014最新カメラを中心に収録環境を俯瞰する
2014-05-19 掲載

実り多きNABshow2014を経て
NABshow2014が閉幕して早くも1ヶ月となるが、その興奮も覚めやらないくらい今年は豊作とも言えた。編集部では、4Kに関するソリューションや三軸ジンバルを応用したスタビライザー、空撮などに注目が集まると予想していたが、それを超える多くの発表が今年のNABを盛り上げた。とにかく話題に事欠かなかった非常に興味深い展示会となった。
予想された発表もあるがその中でも、AJAやBlackmagic Designから発表されたカメラ群は、まさに第三勢力側からのカメラの発表となり大いに会場を湧かせた。今回は、ある意味予想を裏切る結果となり、非常に面白い回であった事は言うまでもない。今回はそんなNABshowから見えてきた事と昨年から国内で開催されているAfterNAB会期前に、今年のNABをいくつかの視点で振り返ってみたいと思う。今回の特集のラインナップは以下の通り
- Vol.01 NAB2014最新カメラを中心に収録環境を俯瞰する
- Vol.02 進化し続ける編集ソフト。各社それぞれの特性とは
- Vol.03 カメラサポート〜撮影を拡張させる製品群
- Vol.04 ワイヤレス化が進む周辺機器
- Vol.05 オーディオ編〜かわらない音、新しい技術を求めて
- Vol.06 さらに注目すべき製品ライナップ編
- Vol.07 After NAB Show Tokyo 2014レポート01
- Vol.08 After NAB Show Tokyo 2014レポート02
最新カメラ案内
4Kカメラは、需要が見込まれるようになった今、カメラメーカー以外の各社からもそれぞれ特徴のあるカメラが今回のNABshowで発表された。
従来4Kはデジタルシネマ用途に向けで、劇場用映画や個人クリエイターを対象とした製品が多かったが、今年は放送やイベントなどにも適した製品へとその幅が広がり、様々な用途に対応できるようになってきた。たとえば、JVCではセパレートタイプのカメラが、パナソニックはウェアラブルカメラが、Blackmagic Designは大型のLCDモニター一体型のカメラを出展していた。REDでは、ブロードキャストを掲げるなど各社の動きに注目が集まった。
こうした流れは各国が放送に向けて動き出す時期ということもあるが、4Kセンサーの入手が比較的容易になった技術的な背景もあるだろう。特にBlackmagic DesignやAJAが今回発表したカメラには従来CMOSセンサーの宿命ともいえるローリングシャッター現象のないグローバルシャッター方式のセンサーが採用されている。ただ、ダイナミックレンジは両社とも12ストップとなっており、パナソニックVARICAM 35などのカメラメーカーが制作用として発表しているカメラは14ストップだ。ホワイトバランスの調整範囲や感度、SNなどの要素もあるため一概に比較はできないが、センサーの性能に由来した特性の問題だろう。こうして制作用に作られたカメラのセンサーサイズはたいていAPS-CやSuper 35となっているが、実際の撮像面のサイズは各社各様となっている。
特にAPS-Cは、マウントに関しての規格は規定されているがセンサーサイズに関しての規定は明確に規定されていない。実際ニコンとキヤノンでは同じAPS-Cのカメラでもセンサーサイズは異なるし他メーカーも違うサイズであったりするのが現状だ。Super 35はSMPTEやANSI、DINなどきちんと規格で決められているものの、4パーフォレーションフルアパーチャーやワイドの場合は3パーフォレーションや2パーフォレーションがあり、アスペクト比を含めサイズが異なっている。センサーがSuper 35サイズといってもどれを基準にしているかで異なるということになる。
またセンサーサイズと実際の撮像面とが同じとは限らないので、厳密な画角計算を行う場合や比較をする場合は注意を要する。Super 35とかAPS-Cはマウントとの兼ね合いやそのカメラのユーザー対象を想定したメーカー側、またはそのカメラの位置づけを表していると考えたほうが良さそうである。APS-CやSuper 35は元々フィルムの規格であり、デジタルカメラになり、アスペクト比などの兼ね合いなどからフィルムとは違ったサイズとなり各社がレンズの互換性を担保するために便宜的に使っているのが現状といえよう。
そうした中でちょっと特異な存在なのがJVCの4Kカメラだ。いずれもSuper 35センサーを採用しているが、レンズマウントはPLとマイクロフォーサーズを採用した機種がある。センサーの詳細サイズは公表されていないが、ピクセルサイズは公表されており、これを基に計算するとPLマウントを採用したショルダータイプのGY-LSX1は4096×2160と3840×2160、マイクロフォーサーズを採用したミニカメラシステムGW-SPLS1とハンドヘルドGY-LSX2は3840×2160の4Kということになりそうだ。
マイクロフォーサーズシステムの基準対角長21.63mmを1mmちょっとオーバーしており、発売の際には何か変更になるかもしれない。ただ、レンズのイメージサークルは一般的に基準より広いため実用上問題ないということなのかもしれない。
4Kによる収録は記録フォーマットやワークフローを含めてほぼ完成の域に達している。いま問題なのはライブに関わる伝送やインターフェースである。現状ではHDMIやDVI、HD-SDI×4が一般的だがいずれも長距離伝送には適していないので、SD時代のトライアックスに代わる伝送方法として光ケーブルによる伝送装置が出始めており、徐々に解決しつつある。
ただ、インカムや送り返し、タリー、カメラコントロールなども含めてということになると選択肢は狭くなってしまう。また、この場合カメラの出力やスイッチャーの入力はHDMIかHD-SDI×4だが、ライブの場合直接大型モニターに送ったり放送したりするのでRAWでは都合が悪く、カメラによっては対応出来ないものもあるようなので注意したい。なお、スイッチャーの機種は少ないものの4K対応の製品が出始めている。
その他にも使い勝手、設定項目、対応レンズ、インターフェースなど様々な要素がからみ単純に横並び比較が出来ないのが現状だ。4Kカメラを選択する場合は、ワークフローを含め運用性やどのような用途で使うのかなどを充分考慮が必要な時期になったといえよう。また、今後参入するメーカーもあると思われ、そうした情報収集も重要だろう。
Blackmagic Design






AJA


Panasonic







Sony





ASTRODESIGN


JVC KENWOOD




FOR-A

Grass Valley


txt:稲田出 構成:編集部
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2014-05-19 ]
[ TAG : After NAB Show NAB2014 After Beat NAB Show 2014]
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