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[Digital Cinema Bülow 2〜CineGear 2014]Vol.00 新しい技にかける、いまも昔も変わらない情熱

2014-06-11 掲載

毎年6月はデジタルシネマの特集だ。今年もハリウッドで開催されたCineGear Expo2014のレポートを中心に、PRONEWS視点で2014年のいまのデジタルシネマ考察をしてみたい。2012年の特集「Digital Cinema Bülow」では、近年PRONEWSが追い続けているハイレゾリューションの世界を映画製作視点で追った。あれから2年。シネマの世界はどう進化しているのか?

技術革新とともに歩む映像制作の世界

CGE2014_00_01.jpg CineGear Expoが行われる、Paramount Studios内のNY Back Lotセット。映画を作る雰囲気そのままの展示会は制作者にとっても意気の上がる場所だ

映画の歴史を振り返ると、話題作が上がるごとにそこには必ず新たな技術革新があった。最近では「ゼロ・グラビティ」の傑出したVFX技術が話題になったが、あの作品の後、正確な宇宙空間を描くときに適当なウソはつけなくなったという声も多く聞く。そこには多くの技術、というより映画を作るための新しい色々な技が試されているのだが、映画の進化の過程にはいつの時代にも必ずこうした技術革新、もしくは新たな閃きが映画を未来へと押し進めて来た。

CGE2014_00_02.jpg いつの時代にも新たなアイディアが求められ、それを支える技術が生まれる。それが“映画”だ

昨年(2013年)12月14日にこの世を去った、アイルランド出身のハリウッド俳優ピーター・オトゥール。彼の名とともに誰もが知る名作として記憶されているのが、ハリウッド映画の金字塔となった「アラビアのロレンス」である。そう、映画撮影の世界ではアナモフィックレンズの話をする際には必ず登場する作品である。まさにこの作品が作られた1962年は、ワイドスクリーン(=シネマスコープ等)作品全盛頂点の時期でもあり、近代の映画撮影技術が最も進化した時代だったといえるだろう。

しかし、星の数ほどあるハリウッド映画でも、たったワンシーンの撮影だけのためにレンズを特注したというような作品は数少ない。この映画はこのようなハリウッド神話を残した作品であり、劇中でハリト族の首長である“アリ”役のオマー・シャリフが、広大な砂丘の向こうから登場する90秒ほどのロングカット(これは後に「映画史上最長の登場シーン」といわれる)において、イギリス出身の撮影監督のフレディ・ヤングは、482mmの「Mirage Lens」と言われる特注レンズを使用した。

このシーンだけのために開発したと言われるこのレンズは、2004年に米国アカデミー協会が、ハリウッド映画界の功労者に授与するゴードン・E・ソーヤー賞を送った唯一の日本人であり、Panavision社の創業メンバーでレンズ技術者であったTak Miyagishima(宮城島卓夫/1928~2011)氏が開発したものだ。こうしたエポックメイキングな作品があったからこそ、その後の映画技術が大きく飛躍するといった歴史が繰り返されて来たことも事実だ(ちなみに筆者は宮城島氏の生前、Panavision社を何度か訪れた際に、宮城島氏に直接社内をご案内頂き、このエピソードも直に本人に伺ったことがある)。

CGE2014_00_03.jpg 会場で唯一見かけたフィルムカメラはPANAFLEX。やっぱりハリウッドでPanavisionの名前が出て来ないと寂しい限りだ

その時期からPanavision社は、一体型アナモフィックレンズを開発、それまで問題だった左右の歪みを抑えたその性能の良さから、同社がその後の映画産業に大きな功績を残したのは周知の通りだ。今年はそのPanavisionが創設60周年を迎え、しばらく出展を離れていたCineGear ExpoでもCanon、GoPro、Blackmagic Designとともにゴールドスポンサーに名を連ねている。今でもARRI ALEXAを250台も抱え、ハリウッドの映画機材レンタル会社のトップとしての権威を誇っている一方で、一時あまり良い噂を聞かなかったが、最近は経営陣も変わり、今後何かしら変革が起きるのかもしれない。

CGE2014_00_05.jpg 動物も特機として利用される時代が来るのかも?映画作りの情熱が生み出すアイディアはまだまだ無限大

ハリウッドでは近年、映画撮影自体も以前ほど行われなくなったという。撮影もさることながらポスプロも海外へ転居しており、ヘッドオフィスを残すのみといった企業も多い。そんな映画の変革期を迎える中でも、映画制作の世界はいまだ新たな手法が模索され、人の手によって改良され、また進化をし続けている。デジタルワークフローが当たり前となり、いよいよ4K制作が本格化しようとしている現在、映画の世界もまた新たな“ゲームチェンジャー”が登場したりと、現代の変革も粛々と進んでおり、映画に関わる人々の新しい技にかけるその情熱は、色々と形は変われど失われてはいないのである。

CGE2014_00_06.jpg ケータリングもロケの楽しみの一つ。In-N-Out Burgerのケータリングトラックにはいつも長い行列ができる

6月4日~7日で米ハリウッド、パラマウント・スタジオ内で開催された、今年で19回目を迎える映画撮影機材の専門展示会、CineGear Expo 2014のレポートと、現在の映画制作の現場から、2014年におけるデジタルシネマ制作の現況とこれからについて考えてみたい。

CGE2014_00_07.jpg エッセンシャルな映画の技術として重要なライティング関係のメーカーも数多く出展。ライティング一つでコメディも恐怖も演出できる醍醐味は、いつの時代にも興味が尽きない txt:石川幸宏 構成:編集部
[Digital Cinema Bülow 2] Vol.01

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[ DATE : 2014-06-11 ]
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