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[Digital Cinema Bülow 2〜CineGear 2014]Vol.07 ハイエンド映像制作の立場から、いま一度、4Kそして8K制作を考察する

#CINE GEAR EXPO #cinegear

2014-06-30 掲載

4K作品制作の現場から

Vol.05のインタビューの続きとして、石坂拓郎氏に映画カメラマン視点での、現状における4Kオーバーの作品撮影、そしてこれからの4K仕上げと4Kオーバー作品の制作において何が最も重要か?という視点で話を聞いてみた。

石坂氏:これは本当に難しい問題ですね。4K、5Kで撮影、8Kもなんて話が最近は聞かれますが、本当に4Kが我々制作者にとって、どれ程の意味があるのか。「4Kオーバーで撮影して、4K仕上げは、シャープネスと階調が増して見える為に奥行きが出ていい」、「4K撮影で2K仕上げが、シャープすぎなくていい」など現在でも色々な意見があると思います。

ですが最終的にカメラとレンズと仕上げの体制で出てくる画が、その作品にあっているかどうか、という事に尽きるでしょう。もちろん解像度を追求するべき作品もあるでしょう。それよりも階調と色域をビット数をあげて豊かにする方が大切な作品もあるでしょう。

SONY、Canon、RED、ARRIとそれぞれ特徴の違うカメラが出て来ています。それぞれの特徴を理解し、それをどのように使っていくかが大切であって、4Kが大切な訳ではありません。4Kになった事よりも、ファイルベースになってくれた事の方が大事件な気がしています。

実際に、4Kカメラが出回っている中で、3KまでのARRI ALEXAが大人気になっていいます。これは、やはり解像度だけではない、滑らかさや階調の豊かさに重きを置いたALEXAの設計の賜物でしょう。また4Kの視聴環境が整わない現状の中、ARRIは3Kを今のセンサーで作った方が、ノイズ感、階調や色の豊かさを保てると考えたのでしょう。

この事はレンズにも言えます。カメラ側が解像度を上げていき、その中でレンズも解像度を一緒に上げていっていますが、近年は、解像度が足りていない古いレンズを4K、5Kカメラにつけるのが流行って来ています。こうして、どこかで柔らかさや、デジタルでない感覚を映像に取り入れていこうとする動きがあります。やはり人間を撮影する物として、あまりにも解像度が上がりすぎるだけでは、何も良い事がないという事がよくわかります。

問われている表示・上映機材の重要性

CGE2014_07_06.jpg 混迷を深める映画作りの世界。それでもなお多くの人が魅了され続けているのだ

石坂氏:芸術や表現者は、常に新しい技術の発展とともにありますから、4Kという新しい技術をどう使うかは、我々の方に掛かってくる問題でもあります。4Kを有効にどう使うかは、まずは4Kで見るのか見ないか?というところに大きく関わってきます。

しかもそれが映画館なのか?テレビなのか?でも大きく違うわけで、4K仕上げと一言で言うのは、無理ではないかと思います。今現在、アウトプット先が多様になって来ています、テレビ、映画館、だけではなく、パソコン画面、タブレット、携帯端末と様々です。4Kの恩恵を受けれるのは、この中でもテレビ、映画、パソコン画面まででしょう。

その中でも4Kを正確に再現できるのは映画とパソコンの画面であり、テレビの放送電波範囲ではかなり失われる物も大きいと思います。仕上げの際に4Kをどのようにしてどの端末用をメインターゲットにしていくかで、撮影から仕上げも変化させていく事が必要です。

作品が映画館で流れる場合は、映写環境で本当にシャープネス、コントラストも落ちていきやすく、大画面になればなるほどそれは、ひどくなります。以前に何度も、カラコレルームで見た映像がシャープネス含め、映画館で再現できないのが残念で仕方ない思いをしてきました。最近ではテレビの方がシャープで見やすく画面も大きいので、映画館での利点が少なくなって来ていますが、やはり映画は映画館で見るものですね。

映画館でのクオリティ向上を目指して作っていると、大画面になった時に解像度が悪くない方向に働く4K撮影は悪くは無いと感じています。ですが、色の階調表現などがさらに向上するように、アウトプットのフォーマットのビット数を上げることも努力して欲しいものです。4K映写でなくても、2Kで色情報が多いというチョイスが出来るようになれば、もっと表現が広がるでしょう。

今の時代だからこそ数字やスペックだけに捉われ過ぎずに、4Kを新しい表現方法として、しっかりとその利点、欠点を見極めて作品に使用していけば、問題ないと思っています。まだまだ無限に面白い事が出来るでしょう。そう思えば、オプションは多い方が良いので、新しい事には常に目を向けて、勉強していきたいと思います。

高解像度化は“体感”の増幅

CGE2014_07_01.jpg PanasonicもCineGear Expoへの出展を再開。次世代のシネマカメラとして大きな期待を寄せるVARICAM 35/HSの参考出品と発売直後のGH4の実機、4Kモニターなどの展示を行った

CineGear Expoでは、パナソニックがブース出展を復活し、最新のVARICAM 35におけるカメラ内カラーグレーディングのデモンストレーションを行っていた。扱いやすそうでシンプルかつ便利なこの機能をはじめ、これまで登場してきたシネマカメラが抱えてきた様々な問題をクリアにする、最新テクノロジーが搭載された期待のマシンの登場に、多くのハリウッド映画人も興味を惹かれていた。

CGE2014_07_02.jpg VARICAM 35のカメラ内グレーディングの簡単な仕組みとその後のワークフロー図を公開

ところで、4K映像の最初の品質を入口から出口まで、完全にキープしたまま一気通貫できる制作フローというのは、残念ながら現状ではまだ存在していない。何かしらの圧縮か変換、もしくは上映時のダウンコンバートが介在し、実働的に無理である。そもそも「4K制作など本当に意味があるのか?」という禅問答を頭に巡らせてしまうのだが、今回の取材を通して得た物として、いくつか気になるキーワードを見つけた。

まず、そもそも人が識別している「解像感」というのは、ほぼその個人の脳の過去の経験に依存しているということだ。通常、人の視野いっぱいに広がるような画像を見たときは、通常はほとんどの部分がボケていると脳が認知している。それが高解像度の映像を見続けていることで、段々ボケていない映像が視界全体を占めてくると、次第に体感が変わって来るのだという。つまり4K、8Kの解像度画像を多く見ることで、視野全体の映像がハッキリと見える経験が多くなってくると、その人個人の体感が変わって来るというわけだ。

CGE2014_07_03.jpg カメラ内グレーディングはiPad等でその処理フローを外部コントロールできる。映画関係者の期待も大きく、今後のシネマカメラの新たな潮流となるか?

たしかに言われてみれば、最近、自身も4K画像等の高解像度映像を見慣れてきていて、その体感が変わっていることに気づかされる場面も少なくない。そこで4K、8Kの映像にとって大事になってくるのが、色数とダイナミックレンジだ。これは先のNABやCineGear Expoでも散々論議されている。実は4K本来の品質を保つには、解像度よりもこちらの再現性の追求のほうが重要な情報になってくる。

特に映画人の関心はいまそこにある。例えば、小さな画面で解像度が高い映像を見ても人間の目の解像度にすでに追いついていないため、その解像度を感じるのは難しい。しかし人間の脳は色情報における少しの色差を感知 / 認識する能力が高いので、解像度よりも色情報をより強く感じる事ができる。画質の良さは、色情報やダイナミックレンジの幅があるほど、より良い画像だと感じるわけである。

CGE2014_07_04.jpg VARICAM 35では、4Kフォーカシングをサポートするアイマグ(部分拡大)サポートも、iPadでのビューイングしながらのコントロールが可能

さらにもう一つの疑問として、高度な人間の肉眼でようやくとらえる事の出来る4K以上の画像情報を、カメラ、そしてレンズは果たして正確に捕まえることができるのか?カメラ機構のテクノロジー部分はまだしも、レンズに関してはどうなのか?8Kに対応するレンズを磨いて作りだす事ができる職人がいるのか?という部分である。これは4K制作への実験が繰り返された初期の頃はフィルム時代のレンズで撮影されていたが、そもそもフィルム時代は解像度に基準を置いてレンズ開発などされていない。

アンジェニューにしてもツァイスにしても、あの柔らかい、しっとりとした雰囲気を映し出す映画用レンズは、まさに演出目的のレンズであり、MTF等の数値を見ても当然4K解像度などには至っていないのである。デジタル用のシネマレンズとして数値的にも4K解像度に追いついた量産型レンズが出てきたのはつい最近のことだ。

CGE2014_07_07.jpg CineGear Expo(West)は、来年もまた2015年6月5~6日にParamount Studioにて開催される

だがしかし!である。高解像度の画こそが果たして映画人の求めている画なのか?というと、それだけではないことは周知の通り。またさらに、4Kになるとこうしたレンズの特性までも映り込んでくるわけだが、残念ながらこうしたレンズの光学特性までを、正しく補正加工出来るポストプロダクションのシステムも、これまた難しい現状がある。様々な“変数”が介在する現状の4Kワークフローにおいて、一言で4K制作というのはまだまだ非常にあいまいな状況だ。

しかしだからこそ、高品質映像の次なる大きな可能性も秘めた世界でもある。それ故に関わる多くの人を魅了している部分なのであろう。4K、8Kは、これまでのSDやHDのようなベースフォーマットではなく、やはり表現手段の一つの技術として捉えるべきなのだろうか?それとも何かしら基本のフォーマットとして根付く時代が来るのだろうか?

4K制作の技術進化と探求はまだまだ続いてゆく。

txt:石川幸宏 構成:編集部
Vol.06 [Digital Cinema Bülow 2] Vol.00

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[ DATE : 2014-06-30 ]
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