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[High Resolution! 2014]Vol.06 4K、備えあれば憂いなし

2014-08-06 掲載

4KであればなおさらAdobeで勝負

HR14_06_01.jpg ネイティブのワークフローを支えるAdobeのアプリケーション。いかにスピーディーなフローを立てられるかが、大切なポイントだ

ここまでは最新のカメラを中心に4Kの映像制作を具体的に記してきた。どの場合も編集はAdobeのCreative Cloudを使った4Kワークフローにこだわっている。途中何度も出てきているキーワードではあるが、「ネイティブ」による編集手法をとることで4Kのように収録素材のデータ容量が大きいファイルであっても割と柔軟にワークフローを組み立てることが可能だ。

もし一度撮影した4K素材を中間コーデックなどに書き出すとすると、その作業には膨大な時間とファイルスペースが必要になってしまうことが予想されるだろう。そのため、ノンリニア編集に求められるのはAdobeのように「あらゆるカメラコーデック」をそのまま受け止められる能力なのだ。特にAfter Effectsが持つ実用的な数多くの機能は、クリエイティブ性の高い高品質なアウトプットには欠かせず、間違いなく映像制作の中心となる存在である。さらに進化が著しいPremiere Proとの組み合わせは、4Kにかかわらず最強であると実感している。SONYであってもキヤノンであってもPanasonicであっても、Blackmagic DesignであってもREDであっても、パソコンにコピーして即編集して、コンポジットできるのはAdobeだけであるといっていい。

更にクラウドによるサブスクリプション制度になって、PhotoshopやIllustrator、SpeedGradeといったクロスAPPによる作業効率は一段と進化した。クリエイティブに集中するための環境は、いかに頭の中にある創造を画に変えられるかというところにかかっている。そういった意味でPremiere Proで編集して、After Effectsでコンポジットするという流れは4Kであればなおさら鉄板であるといえるだろう。今年の6月にAdobe Creative Cloudは2014バージョンとなり、更に驚きの進化を遂げた。映像編集ツールは特に「4K」のワークフローを快適にするための機能強化が多くなっている。

HR14_06_02.jpg 映像編集の要をなすAfter Effects。次々と進化する機能を武器に、唯一無二のコンポジットソフトウェアの存在になった
※画像をクリックすると拡大します

4Kを支えるマシンとは

そして次に考えるのはマシンだ。いわゆる編集作業をするためのパソコンのことである。4Kを受け止めるとなるともちろん相応のものを考えなければいけないだろう。「従来のパソコンでも4Kできます」とはなかなか言えないのが現状だ。ただし、パソコンの進化も著しい。だから上手く環境を整えてあげれば、そこまでお金のかかるものにはならない。たとえば最新のMacBook Proなどは大変優秀な一台だ。15インチの上位機種などは4Kも当然いけるし、相応に速いし、私も愛用している。

HR14_06_03.jpg 撮影現場でも活躍するMacBook Pro。ノートとしては素晴らしいスペックを兼ね備える

パソコンを揃えるうえで一番大切なのは、しっかりとスペックを把握しておくことだ。たとえばハードディスクの容量はどれくらいあるのかとか、メモリがどれくらい積んであるのかなどである。4Kのデータは重いし膨大であるため、あっという間に内蔵ディスクを占有することになる。そのため、外付けに逃がしてあげる必要もでてくるし、その際にUSB3.0やThunderboltを使ってあげる必要もあるだろう。あるいはGPUも大切な要素だ。いろいろな処理をGPUで行うことで、作業は一気に効率化される。自分のパソコンのスペックをしっかりと知れば、4Kに対して「どこまで」対応できるかが分かることになるのだ。分かれば上手に4Kと付き合うことができるだろう。

HR14_06_04.jpg 速いストレージとインターフェースは4K制作の大切なところ。SSDには大きな期待がかかっている

自分のパソコンは自分で構成しよう

いくつか具体的な例を挙げておく。私の場合アプリケーションが含まれるシステムと、素材やファイルなどのデータは別のディスクに分けている。4Kなどの作業はデータが大きいため、都度アーカイブやバックアップをとれるようにするためだ。容量がそこまで大きくならないシステムディスクにはSSDを使用し、素材データやプロジェクトファイルにはHDDのRAIDを使用している。また別途After Effectsのキャッシュディスクは別のSSDを使用し作業効率を上げている。メモリは48GBだ。CPUはそこまで早くないが、GPUにはNVIDIAのGeForce 780 Tiを使用。Premiere Proの再生エンジンであるMercury Playback Engineを最大限に活かすシステムだ。ちなみにWindowsとMacの違いを聞かれるが、正直どちらでもいい。私は両方使っている。個人的にはデスクトップPCであれば30万円くらいから4Kの編集環境はそこそこ整えられると感じている。

DG_vol20_09.jpg GPUにはこだわりたい。写真はNVIDIAのGeForce 780 Ti。コストパフォーマンスの高いカードだ

4Kアウトプットの可能性

HR14_06_06.jpg Adobe Media Encoderを使えばさまざまな4Kアウトプットを生成できる。目的に合ったコーデックを把握しておきたい
※画像をクリックすると拡大します

最終のアウトプットに関してだが、今は4Kを再生させるメジャーな機器がまだ確立されていないため、エンコードの選択肢は様々だ。展示会などではDPXの連番を再生させることもあれば、最近はXAVCを使ったものもある。パソコンからとなればH.264も4K再生できるし、Blackmagic DesignのHyperDeck Studio Proを使うパターンも多い。その場合はProResとなる。放送用としてはXAVCがメジャーになるだろう。またYouTubeに4Kでアップロードすることも可能だ。私はXAVCやH.264をつかってエンコードしたものをUPしている。クラウドで4Kに上げてしまうというのも面白い方法だ。

まだ4Kの再生に関しては千差万別の時代だ。目的に合ったものを自分でいろいろと探ってみるのもいいだろう。ファイルサイズは大きくなれば高画質が保たれるが、いかに上手に圧縮をかけてストレスのない再生をさせるかが、これからのトピックとなる。4Kのワークフロー自体まだまだ発展途上であることは否めないが、そこに私は面白さを感じている。今も4Kの映像制作を並行していくつか抱えているが、いかに4Kの解像感を活かしつつ、コンテンツ力のある作品を作れるかに挑戦する毎日だ。一つ言えることは「4Kは楽しい!」ということ。もちろん作業は大変になるが、一度始めたらやめられないくらい、4Kの持つ美しい映像に虜になってしまう。

とにかく実践あるのみ~4Kとしっかり向き合う

HR14_06_2913.jpg

今回は3台の4Kカメラを通じて、映像表現のこれからを考えてみた。数年前までは4Kという言葉は遠い未来の話だったかもしれないが、おそらく今年をスタートに、放送も踏まえた多くのビジネスモデルが次々と確立していくことになるだろう。一昔前にSDサイズの映像がHDへと移行する際に同様のことが起きたことを思い出す人がいるかもしれない。実に大変なことかもしれないが、我々映像制作に携わる者は、進歩する技術に足並みを揃えていくことで新しい表現の方法を身に着けていくことになるのだ。もちろんビジネスとしても大きな可能性がある。

効率的な4Kのワークフローは、間違いなく自身の仕事の幅を広げていくだろうし、相乗的に従来のHDスタイルのワークフローそのものも変えてしまう可能性がある。正直なところ世の中の4Kの需要はまだ1%未満のレベルの話かもしれないが、この1%という数字が今後爆発的に成長し、市場を活性化させることになる。そして2020年には東京オリンピックがやってくる。まだ6年も先のことかもしれないが、今から備えておくことで多くの可能性を考察したい。撮影できるカメラも、編集するノンリニア環境も、アプトプットの選択肢もすべて4Kで完結できる時代になった。だからあとはそれを実践すればいいということなのである!

txt:江夏 由洋 構成:編集部
Vol.05 [High Resolution! 2014] Vol.01

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[ DATE : 2014-08-06 ]
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