[InterBEE2010]株式会社KDDI研究所ブースレポート
2010-11-25 掲載

8K UHDTVリアルタイム圧縮伝送システム
KDDI研究所のブースでは「Beyond 3D TV」というテーマで将来の映像アプリケーション技術や高品質映像関連ソリューションの展示が行われた。
まず、技術展示として正面で大々的に行われていたのが「8K UHDTVリアルタイム圧縮伝送システム」だ。UHDTVとは、8Kフル解像度(7680画素×4320ライン)のことで、データ容量はハイビジョンの32倍もある。この高精細な8Kフル解像度の映像を投影して、シアターで実際に観覧することができるようになっていた。
この技術は情報通信研究機構法による委託研究「超高精細映像符号化技術に関する研究開発」で実施したものを展示したも。その中でKDDIが開発を担当したのは「いかに容量の大きなものを圧縮して届けるか」というH.264/MPEG-4 AVCに独自拡張方式を追加した圧縮コーデックの部分だ。NAB2010のときは90Mbpsだったが、今回は70Mbpsまで下げでデモが行われていた。
映像が巨大なスクリーンに投影されている。近づいても高精細だ
リアルタイム伝送システムに使用しているデコーダ
MP-Factory 5.0
製品展示として「MP-Factory」のデモが行われていた。MP-FactoryはH.264/MPEG-4 AVCによるHD解像度に適したHigh Profileまでのエンコードおよびデコードが可能なオーサリングキットだ。新しくエンコードした画像を評価する自動画質評価機能を追加搭載した。主観で高精度を自動に測定する機能やブラックアウト、フリーズ検出が搭載されたことにより、映像品質評価の負担を減らすことができるようになった。
自動画質評価機能を使えば、映像の特定の問題を自動的に検出して一覧してくれる
VistaFinder
地球上のどこからでも映像伝送が可能になる携帯型のライブストリーミングソリューション「VistaFinder」のデモも行われていた。
送信側の特徴としては、機動性の高いコンパクトシステムであること。ブースではカメラをヘルメットに付けてハンズフリーという形で映像を送信できることが紹介されていた。実際に、救急車からいち早く患者の状態を映像付きで伝えて応急処置の方法を確認をして救命率を高めるということにも使われているという。
伝送の特徴としては、インターネット網や携帯電話網のほかにインマルサットBGANサービスを選べる。ジャングルや孤島といった地球の裏側からでも映像を送ることが可能だ。 受信側の特徴は、新たらしく中継サーバを用いたVOD配信や複数拠点映像の同時受信などの機能が加わった。いままで放送局向けにピアトゥーピアだけで送っていたが、いろんな医療系や災害現場とかからマルチで受けれるようになった。
競合製品との違いは、ソフトウェア製品であるのでデジタルビデオカメラとネットワークがあればすぐにライブ中継が可能になること。上記で紹介したMP-Factoryを使っているので画質の品質がよく、新しくマルチ受けができるようになったのも大きな特徴だ。ソフトウェアなので、松下のTOUGHBOOKといった現場にあった特殊なマシンで使ったり、今後のPCスペックの向上により更なる能力アップが可能というのもメリットだ。さらに、スマートフォンによる簡易映像配信も可能になったこともアピールしていた。
カメラとPC、通信端末を組み合わせた送信側。ソフトウェアなのでTOUGHBOOKといった特殊なPCにもインストールが可能
送信機側のPCで動作する「VistaFinder Tx」
送信機側のインターフェイス。マルチ受けが可能になったので、用途が広がった
スタジアム3D自由視点
サッカーなどのスポーツ映像を、あらゆる視点から視聴できる技術「スタジアム3D自由視点」も展示されていた。自分の見たいシーンにコントローラを動かすだけでゴールキーパーといった特定の選手の視点で映像を見られる。どこでもぐるっと回ることもできるし、中に入り込んだり、ズームもできるというユニークな技術だ。仕組みは、多視点的な映像を補間したもので、カメラの台数が増えれば増えるだけスムーズで自由な映像を実現できる。足の裏など、カメラが届いていないところも補間を行っているとのことだ。
リアルタイム配信や合成を実現したスタジアム自由視点
ソーシャルリモコン
ソーシャルリモコンは、それぞれのTV番組に対してtwitter上で交わされている意見の量や内容から番組の注目度や満足度を算出し、Androidのタブレットに表示するシステムだ。ディスクレコーダーにテレビ番組を撮り貯めたのはいいが、どれを見たらいいのかわからないという経験をしたことが誰でもあると思う。そこで、コンテンツを評価して、どの番組が面白いのかをサポートしてくれるというものだ。
仕組みは、Twitterで投稿された番組に対してのコメントの内容を分析して、「面白い」「楽しい」「わくわくする」といったポジティブなキーワードがどのくらいあるかというのを分析して、満足度を算出するというものだ。また、見ているときも楽しめる機能として、番組に対するTwitterの生の声を見ることができる。優れたところは、その声を分析して、どういった趣味の人が見ているのか? 性別、10代や40代といった年代の肯定的な意見や否定的な意見の割合を比較してみる、ということもできる。
この分析の仕組みは、ユーザのプロフィール情報を取得して実現している。ただし、Twitterのプロフィール欄に年齢などを書いている人は統計によると1%ぐらいしかいないので、基本的にコメントの投稿内容の言語から年齢を推定して決めているという。コメント1つだと年齢を分析するのは困難だが、Twitterの仕組み上、投稿されたものにはIDがついていて、過去をたどってコメントを見ることができる。10代の人だったら、普段の生活の書き込みの内容に学校の話題といったライフスタイルが見えてくる。こうした分析により、精度は7割から8割ぐらいを実現している。統計的に10代の傾向、プロフィールがとれるというところで、かなりの反響を得ているという。
番組をレーティングで評価してくれる
番組に対する意見も収集してくれる
[ Category : SPECIAL, Inter BEE 2010 ]
[ DATE : 2010-11-25 ]
[ TAG : Inter BEE KDDI研究所 Inter BEE 2010]
この記事に関連する記事一覧
![]() |
PRONEWS Radio ”10周年記念InterBEE2017特集号”今年も好評!聞くだけでInter BEE早わかり! PRONEWS Radio InterBEE2017の見所まとめを最終日1回限りで“まるっ”と現地からラジオ番組でお届けします... 続きを読む |
![]() |
[InterBEE2015]会場を彩るイベントコンパニオン特集!InterBEE2015会場で見かけた、ブースを華やかに彩るコンパニオンさんをご紹介します。皆さん快く撮影に応じていただけました。ありがとうございました! 写真をクリックする... 続きを読む |
![]() |
[InterBEE2012]会場を彩るイベントコンパニオン特集!InterBEE2012会場で見かけた、ブースを華やかに彩るコンパニオンさんをご紹介します。皆さん快く撮影に応じていただけました。ありがとうございました! ... 続きを読む |
![]() |
Inter BEE 2012 スペシャルレポート国際放送機器展 "Inter BEE"(インタービー)が、今年は11月14日(水)から11月16日(金)にかけて千葉幕張メッセにて開催されました。PRONEWSでは今年もInt... 続きを読む |
![]() |
[InterBEE2011]出口調査InterBEE2011も無事終了しました。来場者の方々から率直なInterBEEの感想を直撃してみました。 出口インタビューに答えていただいた皆様ありがとうございました。や... 続きを読む |
![]() |
[Wonder7]miracle03:InterBEE3日目!最終日に映像新時代の夜明けを見た!小寺信良 @nob_kodera 時代はオールインワン? InterBEE2011最終日は、ソニーのコンパクトスイッチャー「MCS... 続きを読む |
![]() |
[Wonder7]miracle02:InterBEE2日目!お宝を掘り起こせ!高野光太郎 @takanok 2日目、前々から気になっていたGoPro2を銀一ブースに観に行って来ました。GoPro1との違いはHDMI... 続きを読む |
![]() |
[Wonder7]miracle01:InterBEE初日!すばらしき映像業界のお祭りへようこそ!高野光太郎 @takanok 今日はCanonブースでのEOS C300のセミナー仕込みに時間を取られ、残念ながら、ほとんど情報収集は出... 続きを読む |
![]() |
[InterBEE2011]会場を彩るイベントコンパニオン特集!写真をクリックすると拡大画像を別ウインドウで開きます。 ... 続きを読む |
- Inter BEE 2011 スペシャルレポート (2011-11-02)
- [InterBEE2010]株式会社新輝ブースレポート (2010-11-29)
- [InterBEE2010]株式会社アスクブースレポート (2010-11-29)
- [InterBEE2010]株式会社テクノハウスブースレポート (2010-11-29)
- [InterBEE2010]ティアック株式会社ブースレポート (2010-11-29)
- [InterBEE2010]株式会社東通インターナショナルブースレポート (2010-11-29)
特集記事
![]() |
ARRI, my love 映画機材界の雄であるARRI。日本での販売拡大に注目されるARRIの歴史から実用例までフィーチャーする。 |
![]() |
SXSW2021 3/16~20日にオンライン開催となった「SXSW2021」をレポートする。 |
![]() |
Virtual Production Field Guide 国内のバーチャルプロダクションの展開と、映像制作ワークフローへの影響について紹介 |
![]() |
CP+2021 オンライン開催のCP+2021で発表された新製品をレポート。 |
![]() |
新世紀シネマレンズ漂流:NewTrend 2021編 2020年末から2021年に発売されたレンズ新製品をピックアップする。 |
![]() |
映像基礎講座 Episode 2 2020年8月に公開された特集「映像基礎講座」続編。引き続き映像の基本や基礎知識を学ぶ。 |
![]() |
CES2021 オールデジタルのオンライン開催となったCES2021をレポートする。 |
![]() |
年末イッキ読み! 2020年に話題になった製品の特集やコラム記事をまとめて振り返る。 |
![]() |
PRONEWS AWARD 2020 激動の1年となった2020年の映像業界を、PRONEWS編集部が総括する。 |
![]() |
再現:Inter BEE 2020-Web Trade Show- 11月18日(水)からオンライン開催されるInterBEEを解説する。 |
![]() |
ぼくらのEDIUS X 約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「EDIUS X」の魅力を紹介。 |
![]() |
Broadcast & Cinema EXPO 2020 映像制作者、映像業界関係者向け情報イベント配信番組。 |
![]() |
ATEM WORLD ラインナップ充実のATEM Miniシリーズの選び方や使いこなしをご紹介。 |
![]() |
SIGGRAPH2020 オンライン開催されたVFXの祭典・SIGGRAPH2020をレポート。 |
![]() |
映像基礎講座 映像の基本や基礎知識を学ぶ。映像制作初心者はもちろん、熟練者ももう一度初心に立ち返ろう。 |