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Vol.00 ファイルベースへの道のり

2011-03-10 掲載

ファイルベースの進化は、VTRの進歩とともに現在に繋がってくる。1950年代に開発されたVTRを起点にその流れを簡単にさかのぼってみよう。そこから見えてくるものは明るい未来なのだろうか。それとも悪夢なのだろうか。いずれにしてもファイルベースへの道のりを歩む上で避けては通れない道のりなのだ。

VTR時代の編集の歩みについて紐解く

nab2006_014.jpg

2008年のNABで久しぶりに2インチVTRに出会う。動態保存されているのには驚いた

テレビ放送が開始された初期にはビデオの記録にはフィルムが使われていたが、時差放送を行う目的でアンペックスが2インチ幅の磁気テープを使ったビデオテープレコーダーを開発。編集が必要な場合は映画のフィルム編集と同じようにテープを切ってつなげるという今にして思うと原始的な方法が取られていた。もっとも幅5cmのテープが毎秒38cmで走行するため、接続部分の強度の問題やテープの価格が高価ということもあり、この方法で編集されることはほとんどなかったようである。

その後、VTRからのビデオ信号をVTRで記録するいわゆる電子編集が開発され、従来の切った貼ったの編集作業から電子的な編集へと移行していく。対応する編集機が開発され、従来の編集と区別するためEED(ELECTRONIC EDITING)といわれた。

編集を行うためには、画面のコマごとに絶対番地が必要となるが、そのためにタイムコードが導入され、その後1インチVTRが開発されてから本格的な編集が行われるようになる。ちなみに広く普及した1インチVTRはタイプCという規格であり、BやDという規格の1インチVTRも発売されたが、主にCMバンクなどに導入されたに過ぎなかった。1インチタイプCのVTRが編集に採用されたのは、静止画像や正逆再生時に画像の確認ができるということが大きな理由だったようである。

さて、1インチVTRとともに編集作業を行うポストプロダクションが数多く設立され、単なるカット編集だけでなく、スイッチャーを使ったABロール編集や特殊効果装置を使ったデジタルビデオエフェクト(DVE)などが行える高価な機材が導入された。いわゆるリニア編集の最盛期である。

VTRを使ったこうした編集では、ワイプなどで2つの画面を切り替えるだけでも、2台の再生VTRと録画用VTRが最低限必要で、計3台のVTRは同期している必要がある。1つの画面に4つの動画を合成する場合は再生VTRが4台必要になるわけだ。また、1つのテープの映像同士をワイプなどで切り替え編集することはできないので、必要な部分は別のテープなどにコピーする必要がある。いわゆるやりくりといわれた作業が必要になるのだが、ここでデジタルディスクレコーダーが登場し、飛躍的に作業性が向上した。

デジタルVTRも開発され、ポストプロダクションは一気にフルデジタルとなるもののワークフロー自体はテープのままであり、アナログとそれほど差はなかった。記録媒体はアナログ、デジタルともにテープが主流だったが、パソコンで動画が扱えるようになり、オフラインやマルチメディアへと発展していく一方、ハイエンドの編集や合成を伴う作業に向けたシステムも開発され、現在のノンリニア編集システムへと繋がっていく。

SDでは放送電波に乗せるビデオフォーマットは国による違いはあるものの国内では1つしかなく、編集や撮影もこれを基準に考えていればよかったので、VTRのフォーマットが増えようがアナログがデジタルになろうがシステムもワークフローも劇的に変わるようなことはなかったといえる。さらに撮影も局納品もテープであったことからその中間の作業だけをノンリニアにするにはそれなりの必然性が必要だったということもあるだろう。

信号形式の乱立の元凶はなんなのか。

VR-3000という2インチVTRを担いだ撮影。本当にこんなんで撮影したのだろうか?

1インチVTRは編集や局の送出などに使われていたが、当時は取材用としてはUマチックが使われていた。1インチVTRもBVH-500というポータブルタイプのものがあったが20kgほどの重量があり、ニュースなどの取材にはほとんど使われることはなかった。

ちなみに2インチVTRもVR-3000というポータブルタイプがあったが、1インチVTRより大きく重くとても1人で担げるようなシロモノではなかったし、高価かつ記録時間も10分しかなかったので、国内ではほとんど使われることはなかった。

国内でのニュース取材は16mmのフィルムカメラが長い間使われることになるが、ビデオもVTRとカメラが一体になったものが開発された。パナソニックがVHSカセットを使ったMビジョンが放送局の取材用として発表される。ベータカムはその1ヶ月後の1981年4月の発表だが、いずれもそれまでのVTRとは異なり、輝度信号と色信号を独立したヘッドで記録するコンポーネント記録方式が採用されていた。ここで、VTRの入出力にコンポーネントが登場することになる。

1インチVTRと2インチVTRは、コンポジットのビデオ信号をFM変調して記録しており、入出力コンポジット。Uマチックも輝度信号はFM記録で、周波数の高い色信号のみ低域変換して記録していた。特殊ではあるがUマチックVTRにはUダブ端子というものが装備されていた機種もあり、これは周波数変換された色信号と輝度信号を独立して入出力できるようにすることで、ダビング時の信号劣化を少なくしようというものだが、色信号の周波数がUマチックの低域色変換周波数である688.374kHzだったので、Uマチック同士でしか使えなかった。

デジタルVTRは、D1、D2、D3などが開発され、入出力もコンポーネントとコンポジットがあったが、同軸ケーブル1本で接続できるSDIに最終的には落ち着いたといえる。このようにビデオの入出力はVTRのフォーマットに依存したところが大きいが、小型ビデオカメラでは、HDMIやアナログコンポーネント(D端子)が装備された物もあり、レコーダーもこうした入出力に対応した機種もある。

ビデオカメラに装備されたHDMIやアナログコンポーネントは、民生機器のモニターに接続するために装備されたもので、違法コピー排除の観点から民生用のハイビジョン機器からアナログコンポーネント端子が廃止されてしまったため、現在ではHDMIが主流となっている。

業務用では、SDのカメラでもコンポーネントに対応した機種もあるがこれは、クロマキー合成を行うため古くから装備されていたという歴史的な流れと業務用は基本的に著作権などが絡まないためといえる。

ファイルベースの時代になるとVTRという足かせがなくなり、こうした先人の苦労は解消されるのであろうか。実はあまり変わっていない部分もある。例えば、撮影のフォーマットと編集のフォーマットはVTRの時代から別だったし、ビデオの入出力なども基本的にはVTR時代のものを引き継いでいる。このあたりを基礎知識としてコーデックやワークフローについて引き続き考えていこうと思う。


txt:稲田出 構成:編集部


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[ DATE : 2011-03-10 ]
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