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Special

Vol.00 デジタルシネマを捉える6つの視点を考える

2013-07-11 掲載

txt:江夏 由洋 構成:編集部

4Kという規格とデジタルシネマ

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時代は4Kへ。この解像度を十分に活かす映像こそがデジタルシネマである

2013年になってデジタルシネマの様相が大分整ってきた。特に4Kと呼ばれる新しい規格が、少しずつではあるが浸透してきているように思える。すでに家電量販店などでも4Kテレビが続々と発売され、その価格も大分下がってきているといっていいだろう。実際にSONYの55インチ4Kテレビなどは40万円を切る価格で、いわゆる「1インチ1万円」というボーダーを大幅に下回る勢いだ。ようやくHDという言葉が一般に定着した時期ではあるが、いわゆるポストHDの行く先は4Kという「高解像度」の世界になりそうだ。それに伴い、デジタルシネマという映像表現が活かされる機会は間違いなく増えていくことだろう。

大判センサーとシネマガンマが捉える世界

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センサーの大型化が生んだシネマの世界。S35mmサイズが現在のスタンダードだ

そもそもデジタルシネマという言葉は、映像制作のジャンルではまだまだ曖昧な意味合いが多く含まれる新しいジャンルである。ただ4Kというキーワードだけに捕らわれない多くの可能性を持つ、次世代の映像表現であることは間違いない。従来のフィルムによる動画撮影の延長にその価値があるとするならば、私が考えるデジタルシネマカメラに求められる技術的なスペックは2つだ。まず一つ目は大判センサーであるということ。最近はスーパー35mmのセンサーが主流となっているが、レンズ交換式の大判センサーカメラのトレンドはその勢いを増している。被写界深度の浅い映像は「シネマライク」と呼ばれることも多く、ボケを活かした撮影を行うにはセンサーがそれなりのサイズであることは欠かせない。

センサーが捉えた情報をなるべく多く保有し、ポストで色を編集する。そのためのLOGガンマを使った収録やRAWといった概念は、多くの可能性を与えてくれる。写真はBMCCで撮影したLOGとグレーディング結果のサイドバイサイド

そしてもう一つの求められるスペックは「色編集が可能な形で収録できる」ということだ。具体的に言えばLOGやRAW形式といった形などのファイル形式で収められれば、色編集の幅を非常に広くとることができる。ポストプロダクションにおける色編集は「カラーコレクション」や「カラーグレーディング」と言われることが多く、コレクション(correction)はあくまでも色を標準に整える・直すという手順を指し、グレーディング(grading)は作品の目的に合った色を作る作業とする場合がある。いずれにせよ色編集はデジタルシネマ特有の編集過程で不可欠なもので、最も醍醐味のある作業であると捉えている人も多い。

全ての人に開かれたシネマの世界

デジタルが可能にする”効率化”は、多くの人にチャンスを与える

おそらく従来のビデオ撮影と大きく異なるこの2つ新しい技術的な可能性こそが、デジタルシネマが持つ魅力だといえる。フィルムカメラでしか実現できなかったいわゆるシネマの映像表現がファイルベースで運用できるとなれば、一気に制作における作業やコストの効率化が進むことになるのは当然のことだ。フィルムカメラからデジタルシネマカメラへの変遷を、音楽でいうアナログレコードからCDへの移り変わりに重ねる人も多いが、その時を今我々は迎えようとしていると言っていい。もちろんあらゆることがデジタルに置き換えられることに抵抗があることもあるだろう。撮影という現場は人の感情を映し出す場所だ。個人的には想像を形に変えるという意味で、技術的な効率化でより演出に集中できるという見方をしたい。ただデジタルシネマはパソコンを中心としたワークフローを簡単に組めるため、今まで特権階級の限られた人たちだけに与えられていたシネマの世界が、映像制作に携わる全ての人に開かれたということは素晴らしいと思う。

各社素晴らしい技術を搭載したカメラが集結

SONY PMW-F55がいよいよ完成。おそらく4Kデジタルシネマカメラのスタンダードに

SONY、Canon、REDといったカメラプロデューサーによるデジタルシネマカメラのラインアップがいよいよ市場に一同を介することで、2013年デジタルシネマの世界が現実的なワークフローを伴うことなる。SONYは今年2月にPMW-F55、F5を完成させ、先月にはNEX-FS700の4Kモジュールも発売にこぎ着けた。

Ki Pro Quadが出荷となり、いよいよ本領発揮か?EOS C500

Canonは昨年にリリースしたEOS C500の記録部分となるAJAのKi Pro Quadがようやく出荷となり一年越しで安定した4Kソリューションを実現。そしてデジタルシネマのパイオニアであるREDはドラゴンセンサーの発表で、6Kという未踏の領域へ踏み出すことになった。

驚愕のコストパフォーマンスのBMCC。捉える映像は圧倒的

さらにはBlackmagic Design社がBlackmagic Cinema Cameraを驚愕のコストパフォーマンスでリリースし話題を呼んだ。30万円で購入できるこのカメラの画質は、正直信じられないほど美しいというのは個人的な感想だ。また今年のNABでは手のひらサイズのPocket Cinema Cameraと4Kスーパー35mmのProduction Camera 4Kをアナウンスするなど、BMDの勢いは止まらない。

カラーグレーディングはDaVinci Resolveの一人勝ちか?

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一気に市場を拡大するBMDのDaVinci Resolve。とどまることのない機能のアップデートには目が離せない

またデジタルシネマカメラが次々と発売される中で、色編集というステージも急速に拡大している。今最も注目されている色編集のソフトウエアはBlackmagic Design社のDaVinci Resolveだ。もともとハリウッドなどで使われていたハイエンドツールをBMDが買収し、大幅な価格改定を行った。完全なソフトウエア販売とする中で、価格を10万円程度に設定。また機能のほとんどを使用できるライト版を無料とし、あらゆるコントロールサーフェスも使えるようにした。直観的で使いやすいUIもすばらしく、GPUと効率的に動く設計はあらゆるシステムへの対応を可能にしている。

DaVinci Resolveの最も優れている点は「数多くのカメラコーデック」をネイティブで扱えるということだろう。残念ながらAVCHDという超汎用コーデックに非対応(おそらくライセンスなどの大人の事情)ではあるものの、そのほかのカメラコーデックにはほとんど対応している。それがREDのR3DRAWファイルであっても、EOS 5D MK2のようなEOSムービーであっても、GoProであっても編集用の中間ファイルに変換することなくそのままソフトウエアで扱うことができるというのは魅力的だ。更に非常に使いやすく、パワフルなUIや機能も評価は高い。編集機能を搭載したVer.10のリリースを間近にし、色編集ソフトウエアとしてあらゆるデジタルシネマカメラのハブ的存在になりつつある。

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Adobe SpeedGradeも大きくリニューアルした。もはや色編集は省くことのできないステップだ

一方でAdobeは6月にCreative Cloud(CC)をスタートさせ、その色編集ツールであるSpeedGradeのテコ入れを行った。同社のAfter EffectsやPremiere Proなどといった動画の編集ツールと並んで、ユーザーの拡大を狙っている。またAfter Effects自体における様々なプラグインを使った色補正やグレーディングも、非常にパワフルで多くの現場でのワークフローを支えている。

今回の特集では、デジタルシネマの世界を6台のカメラとともに、覗いてみようと思う。使用する6台のカメラは、 SONY PMW-F55、SONY NEX-FS700J、RED EPIC、Blackmagic Cinema Camera、Canon EOS-1D C、Canon C500である。ここではカメラ映像の比較を行うつもりではないことをご理解いただけると嬉しい。あくまでもそれぞれの個性を紹介する中で、あらゆるデジタルシネマの形を紹介していきたい。そのカメラの特徴やワークフローなどを中心に、その魅力や可能性をお伝えできれば幸いだ。


[High Resolution! 2013] Vol.01

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[ DATE : 2013-07-11 ]
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