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[IBC2013]Vol.01 粛々と4K撮影、4Kワークフロー、4K伝送

2013-09-16 掲載

4K粛々と

IBC2013_DSC03376.JPG

先週のベルリンでのIFAに引き続いて、今週はアムステルダムで欧州最大の放送機器展であるIBC2013が開催されている。ここ数年のNAB、IBC、InterBEEを巡回してる立場から、引き続きIBCでの放送業界全体の傾向を俯瞰したいと思う。

IBC2013の傾向を一言で表すとすれば、粛々と4K撮影、4Kワークフロー、4K伝送。といったところだろうか。撮影から制作のワークフロー、インターネットや放送をに関して業界全体が粛々と進んでいるといった印象である。これはHD化の時はデジタル化とほぼ同時に進行したため、アナログからデジタルという大きな壁を越えるための大きな変革があった。それが一巡したあとに3DTVに期待をかけたのだが、不完全燃焼に終わる。これらを受けて昨年辺りから本格的に4Kが登場してくるわけだ。これらはまずカメラとディスプレイという流れの両端が先行し、真ん中のワークフローと伝送に課題がありというのが昨年までの状況であった。

BlackmagicDesignの4Kラインナップ

今年のIBCを体験して感じるのは、派手さはないが、だからといって沈んでもいない。各業務レイヤーごとに、各会社ごとに粛々と4Kに向かっているというのが印象だ。会場内には4Kの文字が踊るわけでもなく、しかしながら、かなり多くの展示内容は4Kに対応した、あるいは関連製品であるといえる。4Kは3Dと違ってセールストークにはならない。当たり前の話であるから4Kそのものは売りにもキャッチコピーにもならない。こうしたことをいちばん端的に表しているのがBlackmagicDesignである。今年のNABでは4Kカメラを登場させたが、すでに粛々とカメラとデッキ、スイッチャーやスコープからオーディオモニターまで4Kラインナップを充実せており、そしてそれらはこれまで同様に驚くほど低価格だ。

4Kカメラのフォーカス問題

個人的にカメラについて気になるのが4Kのフォーカスの話だ。フォーカス担当が付けられる現場は決して多くはないし、ファインダー側にも限界がある。このあたりをカメラメーカー何社かに話を聞いてみたが、やはりプロカメラマンにはオートフォーカスに対する嫌悪感は相当強いようだ。この問題がどのような方向に進むのかについては非常に興味がある。カメラスタビライザーがOKで手ブレ防止レンズがNGとか、ズームモーターがOKでオートフォーカスはNGというのはどうかと思うのだが。

ARRIの「AMIRA」

4Kではないが、今回ARRIは「AMIRA」というドキュメンタリーカメラを発表した。これは日本で言うところのENGカメラのような使い方を想定したもの。これまでARRIが扱ったことがない撮影スタイルを、同社のALEXAのセンサーのクオリティーで継承するという。テレビ局というよりはプロダクションやカメラマンが好むのではないだろうか。価格は未定だが、プロダクションが十分購入できる価格とのことだ。

パナソニック4K VariCamのプロトタイプ機

またパナソニックは「4K VariCam」のプロトタイプを公開した。35mmセンサーを搭載し、24pから100/120pまでに対応。記録メディアとして新しい256GBのUltra P2カードを用意する予定で、2014年の発売を目指しているという。

ソニー4Kサーバー「PWS-4400」

その他の4K関連製品としては、ソニーの「PWS-4400」は4K×4ch対応で、4K/HD記録ができるマルチポートサーバーだ。2TBのディスクに(8TBまで増設可能)4K60P 600Mbps XAVCで5時間記録可能だ。サムスンはHEVC 4K対応のSTBを公開した。

サムスン4K対応のSTB

SDIとIPの融合とワークフローのモジュール化

SDIとIP信号をライブスイッチングする「Cinegy Live」

IPベースのリアルタイムAVミキサーにも4K対応のものが登場している。Cinegyの「Cinegy Live」だ。SDからHD、4KまでのIPとSDI信号をソフトウエア上でミキシングやスイッチング可能だ。

IBC2013_DSC03597.JPG

ソニーが考える局間や中継のIP化

これを更に進めていくと、HD映像伝送の標準規格であるHD-SDIとIP技術を融合させ、複数のケーブルで行っている機器間の映像音声や制御同期信号を、ネットワークケーブル1本で行うというのが今後重要になってくると思われる。これはコストダウンと同時に、テレビや映像の世界の完全IP化が見えてくることになるだろう。

IBC2013_DSC03600.JPG

ソニーの考える局内のIP化

またCinegyの「Cinegy Workflow」はアーカイブ、コンバート、インジェスト、プレイアウトといった一連の作業をモジュール化したオープンなプラットフォームとして提供。APIを公開することで他社システムや機器類と接続が出来る。こうしたワークフロー系のシステムは、モジュール化して提供されることが主流になりつつある。

4Kの伝送と放送

NHKブース

HEVCに関してはほとんどの会社が対応済みで、あっという間にそれだけでは全くウリにはならない状況だ。しかし今年初めにH.265が規定された以降、大きな変化や新たな提案は今回は出ていない。このあたりは来年のNABに期待したいところだ。放送の対応については、衛星会社SESとEutelsatが4K伝送をすでに開始していることは日本ではあまり伝えられていない。NHKのスーパーハイビジョンとハイブリッドキャストも展示があった。今回のSHVのデモはNABや技研公開に比べるとプロジェクターの画面が小さいので、インパクトはもうひとつだったかも知れない。

IBCから近未来予測をしてみると

ではちょっと気が早いだろうが、4Kの先には我々の世界には何が来るのか。そこはまだ正直はっきりとは見えてこないが、制作ワークフローとコンシューマーサービスの両方にクラウドの利用が加速するのだろうと思う。すでにワークフロープロセスの一部ではクラウドが利用されつつある。ソニーの「メディアクラウドサービス」が欧米ではスタートしているがまだまだ発展途上だ。

IBC2013_DSC03621.jpg

Ciscoのマルチスクリーン対応のクラウドDVRシステムのデモ

コンシューマー向けサービスには、Ciscoがマルチスクリーン対応クラウドDVRを提案するなど事例も徐々に動きつつある。先ほどのSDIとIPの融合が具体的かつ現実的になり、放送のエコシステムが完全にIP化に向かうのには、もうあと数年かかるのだろうか。

txt:江口靖二 構成:編集部


[IBC2013] Vol.02


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[ DATE : 2013-09-16 ]
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