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[IBC2014]Vol.00 ITプロダクションの新たな幕開け / 4K実用機材が続々登場

2014-09-14 掲載

IBC2014開幕!欧州で連続開催される映像関連展示会の数々

オランダ・アムステルダムのRAI国際展示場で欧州最大の国際放送機器展 IBCが、9月12日〜16日の日程で今年も開催された。特に今年は、この後ドイツ・ケルンで2年に一度開催される、世界最大のカメラショー“Photokina”(フォトキナ:9月16日〜20日開催)が、近い場所で日程も続いて行われることもあり、メーカー関係者や参加者の多くがこのIBCに引き続き、Photokinaへの参加も予定しているようだ。そうした背景からか会場はどこも活気に溢れていた。PRONEWSでは、このPhotokinaと、その後ミュンヘンで開催されるドイツの映画製作用機材展“Cinec(シネック)”も後日レポート予定だ。今回は、まずIBC2014について見て行こう。

IBC2014がアムステルダムRAI国際展示場で開催!

IBC2014_00_Hall 全14ホールで構成され、複雑に入り組んだ会場はRAIの大きな特徴。初めて訪れた者は必ず迷う?!

今年4月の米ラスベガスで行われたNABが、まさに実用4Kへのスタートアップだったことを考えると、半年後のIBCはどういう展開になっているのか?特に日本としては、8月末の総務省発表による8K・4Kの高解像度放送開始までの前倒しスケジュールのタイムラインを考えると、それに関わる技術動向は大いに気になるところだ。

IBCは例年、アフリカやアジア諸国などへ向けても強いメッセージを持つ展示会で、該当諸国からの出展社、来場者も多い。これらの諸国がまだSDベースのアナログ放送・制作方式も根強く残っている現状を考えると、InterBEE等とIBCが大きく違うのは振り幅の広いソリューションが展開されていることだ。

北米や日本と欧州アジア圏ではかなり事情も異なるが、やはりこれらの国でも4Kへの興味は強まっているようで、素材撮影は4Kという動きは日本の4K創世記と変わらない兆しを見せているという。今年はそんな兆候を反映するように、4Kに関わるかなり実用的な製品や新たなテクノロジーも多く出展されていた。

高解像度化を超える高画質への挑戦

高解像度化が大きく取り沙汰されている中で、実際の高画質というがそもそもどういう物なのか?果たして解像度を上げるというだけで高い画質と言えるのか?という疑問の念は各所からわき上がっている現実もある。IBCでは、単に高解像度化とは違った次元での、新たな高品質画像の世界へと導く技術もいくつか見ることができた。

IBC2014_00_ARRI_2 普通のHD画質と『Dolby Vision』のHD画像の比較映像のデモ。HDRを活かした映像は、ポストプロダクションのカラーグレーディングルームで見る映像に限りなく近い物という印象もあり、一視聴者としてもかなり魅力的な映像に映った

例えば、ARRIのブースでは4Kの文字は見当たらず、変わって目を引いたのは、次世代のハイクオリティ映像を実現するためのドルビー社の新たな高画質化技術「DOLBY VISION」を搭載した、ハイダイナミックレンジ(HDR)を実現する上映方式を搭載したプロトタイプTVによるHD画像比較展示だ。

今年1月のInternational CESにおいて発表された、この「DOLBY VISION」は、制作者の意図を最終的に見る観客まで届けることを目的として、マスター画像の輝度やコントラスト、ダイナミックレンジを忠実に視聴ディスプレイまで届ける新しい伝送・表示方法。その目的はまさに『ダイナミックレンジの拡張』『コンテンツ制作者の意図した色表現』にある。

簡単に言えば、最近のデジタルシネマカメラはそのダイナミックレンジが12〜16ストップまで拡張されてはいて、フィルムに近づいたワイドダイナミックレンジの諧調豊かな映像撮影が可能になっている。しかし現存するTVモニター・ディスプレイ等で再現できる領域は、中間のポスト作業と伝送段階でのロス、そしてディスプレイの現状の再現能力の限界により、実際は6〜7ストップにまで削減されてしまう。

『DOLBY VISION』はこれを制作時に意図された諧調や色情報を12bitの色深度で再現して、末端の観客にまでその豊かなダイナミックレンジを届ける技術だ。

仕組みとしては『DOLBY VISION』に準拠したカラーグレーディングを行ったマスター映像を『DOLBY VISION』専用のエンコーダーで圧縮して伝送する。このとき2つのレイヤーに別れ、1つは通常の8bitの色深度のままのベースレイヤーとして、もう一つは12bitまでの差分となる4bit分の差分データをメタデータとして伝送する。

これをディスプレイ側のセットトップボックスもしくはディスプレイ内のデコーダーでデコード&合成して、元の12bitによるフルダイナミックレンジの画像を表示するというものだ。もしディスプレイ側に専用のデコーダーが無くても、ベースレイヤーだけで普通のTVと同じ映像再生は可能だ。当初はIPベースでの配信で対応してくとのことで、対応コーデックもMPEG-AVC/H.264、そして4Kでの使用が予定されるH.265/HAVCでも可能だそうだ。

もちろんこの実現には様々な障壁があり、ライセンシーによる専用のエンコーダー/デコーダーの配置と、再生するディスプレイ側にもHDR映像を再現合成するためのディスプレイマネジメント回路を備えたLSI搭載が必須であったりと、各所に導入のための諸条件は必要になる。各TVメーカーがドルビーのライセンスを受け入れるかどうかといった、ビジネス的な問題もある。

がしかし、そもそも解像度アップ自体は、見る人の体感でしかなく、初期の技術注入の割には、高解像度を見慣れしまったらそれでおしまいで、更には高解像度化による商業的メリットといえる具体的なCM収益の向上や、映像作品のポテンシャルアップといったことにはつながりにくく、やがて評価されなくなるのではないだろうか?少なくとも現状において、そうした結果になりかねない一抹の不安はあるだろう。本来の高画質とは『DOLBY VISION』のようなダイナミックレンジの再現性と高色域の確保が伴ってこそ、明らかに違う次元での“真の高画質”が実現される。この展開は、映像文化の将来に大きなヒントを与えてくれそうだ。

ITベースプロダクションへの本格的なシフト

一方、放送の世界でもデジタルテクノロジーのイノベーションが、映像世界を著しく進化させてきたこの10年。4Kなどの高精彩画像制作がベースとなってくる今後において、高品質=ビッグデータ時代が到来することは明白であり、それに伴ってこれまでのプロダクションのあり方も大きく変わろうとしている。そこにはもうスペックアップグレードだけではない、ベースとなるあらゆるプロダクション部分のIT化は避けられないようだ。

IBC2014_00_sonyIP

ソニーはNABに引き続き、IPベースのリアルタイム伝送のリモートライブプロダクションのデモとして、アムステルダムのIBCソニーブースと、隣国ルクセンブルクの会場を4Kでリアルタイム常時接続したIP伝送によるライブ放送のデモを行っていた。

IBC2014_00_GVstratus

グラスバレーのGV STRATUS PLAYOUTは、セントラルキャスティング(同番組コンテンツで地域別CMを結びつける放送形式)における新たなソリューションとして、XDCAMの50Mhzのクオリティでクラウドベースによる地域別でのCMコントロールをサブスクリプションで提供する、ITベースの新しい放送形式を実現しているのが話題になっているという。

こうした流れは放送分野、制作分野の随所で見られ、ベースバンドで行われて来たカルチャーがITベースで新たな形に具現化されてきている。ITベースプロダクションはもはや放送の世界でも、ユージュアルな設備になる予感を強く感じた。

次回からはさらに会場から気になる物を取り上げて行こうと思う。

txt:石川幸宏 構成:編集部
[IBC 2014] Vol.01

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[ DATE : 2014-09-14 ]
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