PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [IBC2014]Vol.03 放送関連の近未来技術とライブの機動性を上げるサービスなど
News

[IBC2014]Vol.03 放送関連の近未来技術とライブの機動性を上げるサービスなど

#IBC #Report NOW! #IBC2014

2014-09-18 掲載

放送機器展ということになっているIBCであるが、ここ数年、機器ではないソリューションやアプリケーションの展示がますます増加している。このレポートではそんなモノではなく展示で気になったものを幾つか紹介しておきたい。

同一周波数の電波でHDと4Kを同時に送信可能に

韓国のETRI(韓国電子通信研究院、Electronics and Telecommunications Research Institute)が同一周波数(バンド幅は6MHz)で異なる複数の放送を同時に行う技術のデモンストレーションを行っていた。

注目ポイントは、将来的にモバイル向けのフルHD放送と固定向けの4K方法を、同一周波数で異なる番組を異なる送信所から同時に送ることができる可能性がある。有限な電波資源を最大限に活用できるわけだ。

IBC2014_03_1000805 ETRIのCloud Transmission Technologyの展示 IBC2014_03_1000870 想定している利用シーン。同一周波数で異なるテレビ局が異なる番組を放送するといったもの。具体的にはモバイル端末向けのフルHDとテレビ向けの4K放送を想定している IBC2014_03_1000868 デモンストレーション環境

オブジェクト型放送とは何か

BBC R&Dはオブジェクト型放送のデモを行った。オブジェクト型放送というのは、これまでの放送が映像、音声、テキスト等が一つにまとまった完パケ状態でリニアに伝送され、リニアに視聴されるものであったのに対して、オブジェクト型放送ではこれらがバラバラなパーツとして伝送され、視聴側で最適なものを再構築するというものである。タイムシフトやプレイスシフトのさらにその先の技術とサービスである。

IBC2014_03_1000873 これまでの放送とオブジェクト型放送の概念比較

たとえば陸上競技のスタジアムで同時進行で複数の競技が行われている場合に、競技場全景を4Kで撮影し、個々の競技を行っている部分をタッチするとカメラが切り替わり、競技に関連する情報が表示される。またラジオドラマの場合では、リスナーの選択によってストーリーが変化していくというものだ。

IBC2014_03_1000822 タブレット上でスポーツ中継を再現したもの。競技を選択するとカメラと詳細情報が切り替わる。テレビ用とは異なり小画面に最適化されている IBC2014_03_1000875 ラジオドラマでの利用説明図

これらのデモだけでは、オブジェクト型放送のユースケースがはっきりとは見えてこなかった。この技術はユーザー側の意思によって全く違うコンテンツ(ストーリーと言ってもいい)が端末側で再構築されるというよりは、テレビとスマートフォンなど、画面サイズや接触態度に応じて最適化されるというあたりが今イメージできるものだろう。

あるいはダイジェスト版が簡単に生成できるというのもありなのかもしれない。タイムシフトもプレイスシフトも、結局は作り手側の作ったものをそのまま見る前提であるが、オブジェクト型放送の世界では必ずしもそうではないという発想である。一部インタラクティブな教育コンテンツではすでにそういったものが主流になっているが、果たしてそれを「放送」という枠組みでやるのが適切かどうかという議論はあると思う。

クラウドだけでテレビ局を実現させる

放送システム関連では、局内IP化に関しても展示は昨年からさほど進展している感はない。そんな中でユニークだったのは、イギリスのVesetのクラウドベースのリニアなチャンネル送出システムである。素材のインジェストから素材チェック、メディアアセット管理、テロップなどのセカンダリー、スケジューリング、プレイアウトを全てクラウド上で実現させるというもの。

IBC2014_03_Product2 クラウドベースプレイアウトの概念図

放送業界目線ではいまのところなかなか理解されにくいと思うが、よく考えればデジタルサイネージは、プレイアウトの手前まではすでにこれがほぼデファクトスタンダードだ。サイネージはローカルの端末側に素材を予め伝送してプレイリストだけを更新させて編成しているわけだが、放送的サービスだとローカル側に予め素材を送るのは現実的とはいえない。

そこでプレイアウトは従来の放送と同じようにリニアに送出を行うのが現実的で、伝送路は電波であってもインターネットであってもどちらでもいい。何でもかんでも簡便に、クラウドに持ち込むのが正解かどうかはともかく、こういうことがすでに問題なく可能である。

放送局がこれを採用するかどうかではなく、こういうものを利用する事業者と競合になるわけだ。何といってもVesetのブースには何もモノが無く、「Everything is in the cloud」と言い切られてカタログすら置いていなかった。

IBC2014_03_1000824 Vesetのブースには放送機器は一台もない

ニュースの機動性を上げるDalet

IBC2014_03_1000819 DaletのNeweSUITE。左画面は右から取材ステイタス表示、ニュース番組内の運行表、黄色い部分がDalet On-the Goを経由して送られてきた原稿が即反映される。右側はオンエア中のデモ

フランスのDalet社はNAB2014でトランスコーダー技術に優れるAmberFin社の買収を発表し、さらにラインナップを充実させている。DaletはMAMを中心とした局内ソリューションを幅広く提供しているが、特にニュース向けのソリューションである「NewsSUITE」と「NewsPACK」はニュース項目の管理、取材の指示、編集、テロップ入れ、ニュース番組の運行までもこなすパッケージである。

「Dalet On-the-Go」というスマホやタブレット向けのアプリ単体で撮影とニュース原稿を入力して、素材とともに局にダイレクトに伝送することができるので、取材の機動性が大いに上げる。Dalet社はまもなく日本の大手放送SI会社と提携を行うとのことだ。

スマホだけで安定したライブ中継が可能に

IBC2014_03_1000775 ニューフォリア、Skeedブース

こうした素材伝送に関しては、日本のニューフォリアとSkeedが、共同でIBCに出展をしていた。ニューフォリアはデジタルサイネージやハイブリッドアプリ開発支援プラットフォームである「applican」などを提供しているが、Skeedのファイル高速化ソフトウェアである「Silver Bullet」をアプリに組み込んだ2つのサービスを初公開した。

IBC2014_03_screenshoot1 展示内容

一つはスマホ単体でライブ中継を実現させる「TimelyCast PRO」だ。通常の3GやLTE回線の速度を最大限引き出すことで、安定した動画ライブ配信を可能にしている。すでにイタリアとトルコのテレビ局から具体的な引き合いがあるという。

もう一つは、まもなく一般向けに公開される「SpeedGate」というアプリだ。これはDropbox、Facebook、Google Driveといったクラウドサービスへのファイル伝送を高速化する無料アプリだ。これは各クラウドサービスのネットワーク上の近くにSpeedGate用のゲートサーバーを構築してあり、スマホからそこまでの間をSilver Bulletで高速化し、そこから先はダイレクトにFacebookなどのサーバーに接続しているのでトータルとしては相当の高速化が図れる。

IBC2014_03_screenshoot2b SpeedGateからFacebookへ動画を投稿する。テキスト入力も可能 IBC2014_03_screenshoot3b 21メガの動画を17秒でアプロード完了

デモではスマホからFacebookに動画をアップロードしていたが、およそ10秒、21メガの動画ファイルをわずか17秒で投稿完了させていた。対応クラウドサービスは順次追加されていくとのことだ。

マル研のSyncCastがIBCデビュー

IBC2014_03_1000761 講演タイトル

さまざまなカンファレンスが開催された中で、日本人として今回ただ一人、読売テレビ放送の矢野健太郎氏がマルチスクリーン型放送研究会のセカンドスクリーンサービスSyncCastの紹介を行った。同セッションは「New consumer trends – the rise of social media and second screen technologies」で、テレビのソーシャルメディアやセカンドスクリーンの活用事例に関するセッションである。

矢野氏のプレゼンテーションは、「Constructing a Second-Screen Platform Led by Broadcasting Stations」で、テレビ局主導によるセカンドスクリーンプラットフォームであるSyncCastに関して、実際のオンエア映像も含めて紹介した。セッションでは参加者から、「これだけの連動コンテンツを制作するには相当の労力がかかっているのでは?」という質問も出て、制作ツールによってわずか1名で非常に簡単に実現できると説明があった。

IBC2014_03_1000765 実際のオンエア事例を交えてプレゼンテーションを行う読売テレビ矢野氏

こうしたセカンドスクリーン連携についてはいくつかのサービスが各社から提案されているが、既存の局内システムに全く手を入れること無く、極めてローコストで実現できている例は他にはない。またテレビ局が自ら主導的に取り組んでいるのはBBCくらいと思われるので、講演後もテレビ局関係者から質問が続いていた。

txt:江口靖二 構成:編集部
Vol.02 [IBC 2014] Vol.04

[ Category : , ]
[ DATE : 2014-09-18 ]
[ TAG : ]

この記事に関連する記事一覧

[CES2020]Vol.11 Crystal LEDとAtom Viewで実現するヴァーチャルセット最前線~まさにリアルを超える?!

txt:西村真里子・猪蔵・編集部 構成:編集部 リアルとバーチャルの境目がなくなる影像制作 CES 2020はそれまでのCESの歴史から大きくシフトを宣言している年であ... 続きを読む

[CES2020]Vol.10 テレビ局が不在でも完全に8Kが主流のCES2020

txt:江口靖二 構成:編集部 CES 2020の主流が「8K」となった理由 CES 2020では完全に8Kが主流である。グローバルで市場を牽引する中国とアメリカでは、... 続きを読む

[CES2020]Vol.09 「次の10年のエンターテインメント・プラットフォーム」とは?〜モバイル向け動画配信サービスQuibiスタート直前

txt:加藤薫(博報堂DYメディアパートナーズ) 構成:編集部 モバイル向けストリーミングサービス「Quibi」とは? 生活を変えるテクノロジーのショーケースとして... 続きを読む

[CES2020]Vol.08 日常が“つながる”と意外なものがメディアになる?未来の生活を彩るものたち

txt:平野陽子 (大広) 構成:編集部 2020年1月7日~1月10日、米国ラスベガスにて「CES 2020」が開催された。すでに多くのメディアで語られているが、再度振り返... 続きを読む

[CES2020]Vol.07 人工人間、身体性が問われるテクノロジー「NEONプロジェクト」

txt:西村真里子 構成:編集部 CES 2020で注目のテクノロジー「NEON」とは CES 2020の日本のスタートアップが出展するEureka Parkに... 続きを読む

[CES2020]Vol.06 目の付け所がAIなプロダクトが続々登場〜会場から見えてくるAIプロダクト達

txt:江口靖二 構成:編集部 進化する画像センサーがより良い未来を作る サムスンの「Ballie」は目の付け所がサムスンなプロダクトだ。百聞は一見にしかず、サムス... 続きを読む

[CES2020]Vol.05 航空会社として初基調講演。デルタ航空が考えるイノベーション〜パラレル リアリティ ディスプレイ

txt:江口靖二 構成:編集部 航空会社として初めての基調講演 CESでのキーノートには、例年家電メーカーであったり、インテルやクアルコムのようなチップ系のメーカー、最近では自... 続きを読む

[CES2020]Vol.04 より多くの人を集めるために〜CESにおける「見せ方」と「ブランディング」効果とは?

Audiのブースは上からキラキラしたリボンが無数に装飾されており、否が応でも足を踏み入れたくなる txt:清水幹太 構成:編集部 来場者の気を引く“見せ方”は多種多様 ... 続きを読む

[CES2020]Vol.03 一般化を迎えたカテゴリーに花開く、味わい深いプロダクトたち〜展示会スタート

txt:清水幹太 / 編集部 構成:編集部 いよいよ展示会が始まる MediaDayが終わり、CES展示会場での展示がいよいよ始まった。CESの他の展示会と大きく違う点... 続きを読む

特集記事

Inter BEE 2019 ぼくらのEDIUS X
約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「EDIUS X」の魅力を紹介。
InterBEE 2019の歩き方 Broadcast & Cinema EXPO 2020
映像制作者、映像業界関係者向け情報イベント配信番組。
ATEM WORLD ATEM WORLD
ラインナップ充実のATEM Miniシリーズの選び方や使いこなしをご紹介。
SIGGRAPH2020 SIGGRAPH2020
オンライン開催されたVFXの祭典・SIGGRAPH2020をレポート。
映像基礎講座 映像基礎講座
映像の基本や基礎知識を学ぶ。映像制作初心者はもちろん、熟練者ももう一度初心に立ち返ろう。
	
Shoot with Vlog cam Shoot with Vlog cam
個人の動画ブログ「Vlog」が隆盛するいま、Vlog用カメラを通して映像を撮ることを数回にわたり考える。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part II
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
Camera Preview 2020 Camera Preview 2020 Part I
2019年から2020年春にかけて発表された話題の新製品やカメラシステムを紹介。
AfterCOVID-19 映像業界サバイバル AfterCOVID-19 映像業界サバイバル
社会的危機となっている新型コロナウイルス拡大の状況を分析し、今何が起こり、何が必要で、その後に何が訪れるのかを考えてみる。
Film Shooting Rhapsody 上映編 Film Shooting Rhapsody 上映編
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。今回はフィルム現像から紹介する。
再現:NAB2020 再現:NAB2020
米国ラスベガスにて開催予定だった世界最大の放送機器展覧会 2020 NAB Showでお披露目される予定だった内容を再現していく。
Film Shooting Rhapsody Film Shooting Rhapsody
16mmフィルムトライアルルームの荒木泰晴氏によるフィルム特集第2弾。
再現:CP+2020 再現:CP+2020
開催中止となってしまったCP+2020をPRONEWS誌面上で再現して行く。
CES2020 CES2020
米国ラスベガスで開催された世界最大の国際家電見本市 CES2020をレポート。
PRONEWS AWARD 2019 PRONEWS AWARD 2019
2019年は映像業界にとってどんな年だったのだろうか。PRONEWS AWARDで部門ごとに振り返る。
  1. トップ
  2.  > 
  3. 特集
  4.  > 
  5. [IBC2014]Vol.03 放送関連の近未来技術とライブの機動性を上げるサービスなど